続・論理プロレス論考

観戦の感想、レスラー個々、そしてプロレスを見る私と、様々な角度からあれこれプロレスを語りたいブログ

今年は有明のNoah新年興行

個人的に恒例になっているプロレスはじめとて、ノアのビッグマッチへ。

 

昨年までは日本武道館だったが、今年は有明アリーナとのことでクラスアップか。

 

カードも新日本とのマッチアップも含めてなかなかの好カードが並ぶ。

 

ちなみに、私はノアは1年に1回、このタイミングしたまともに試合はみたい程度のファンということはあらかじめ伝えておくが、今日の大会は結構色々と思うところがあったな。

 

 

メインはGHCヘビーを抑えて丸藤vs飯伏のスペシャシングルマッチだ。

 

カード発表時から批判もあちこちから出ており、社長自らこの順番の意図を説明するなど一部で波紋を呼んでいた。

 

それでも内容で見せられるだけの自信もあったのだろう、何せ丸藤と飯伏だ。

 

しかし、結論から言えば新年早々に大きなつまづきをしてしまうことになる。

 

ただ、個人的にはそうした実際は確かにがっかりものではあったが、一方でファンと団体の在り方としてはいい空気感があるんだなと思ったのと、ある意味でプロレスらしさを感じられる大会でもあった。

 

こちらは後述しようと思う。

 

 

ざっと試合を振り返ると、1試合目からジュニアタッグのベルト戦、最近トレンドなのか3way戦だったが、いずれに選手も動きはいいし、純粋生え抜きはいないまでもいい選手が出揃っていた好カードだった。

 

ただ、個々の身体能力に頼っている印象もあり、試合そのものはちょっとお約束感もあったと思うが、まあ第1試合だし、その意味では悪くはなかった。

 

そして新日本vsノアのシングル2連戦、1戦目は石井vs北宮だ。

 

個人的に北宮がなぜこんなに支持されているのか本当にわからなくて、ガタイもいいし動きも悪くないし、基本的な技術もしっかりしているのもわかるけど、とにかくみていてワクワクしないのだ。

 

その理由は、結局マサ斉藤をトレースしているような動きが単におもしろくないだけなんだけどね。

 

試合自体は石井もいるからいい試合だったんだけど、でもやっぱり北宮ももっと北宮自身で勝負してくれよって、本当に思うんですよね。

 

続くは潮崎と小島だ。

 

私はどちらも20年くらい前から見ているし、それぞれに思い入れは持っているつもりだが、どちらも口惜しいと思っている存在だ。

 

まず小島はあれだけコンディションもいいのは体を見れば明らかなのに、謙虚さと卑屈を履き違えたような各方面での発言が気に入らない。

 

お前にだってファンはいるんだぞと、チャンピオンとしてもっとばちばち若手に大人気ない姿を見せてほしいと思っているんだぞと。

 

聞き分けのいいサラリーマンレスラーなんて誰が見たいのよ。

 

頼むぜって。

 

片やの潮崎、ご存知しょっぱいレスラーの代表格だが、体格もいい、ビジュアルもいい、師匠もいいのになんでこいつはこんなにパッとしないのか。

 

隙間的に誰もいない時にポッとチャンピオンになれる以外に活躍の道がない。

 

デビュー当時の期待値はどこへやらだ。

 

試合は潮崎の勝利、パッとしない試合だった。

 

試合後は謎のユニット新結成らしいが、勝ったら言いたいことがあるとか事前に言っていたらしい。

 

そのくせバッチリ揃いのTシャツも作っちゃっているし、メンバーはヨネと小峠なんていうザ・パッとしない奴らの代表格だ。

 

いいものを持っているのに活かしきれていない、残念の宝庫だ。

 

ファンにまでリストラ対象と揶揄されている奴らと組んで、Noahに足りないものを云云と叫んでいるが、まずはお前に足りてないものをちゃんと自覚しろよとしか思えない。

 

ちなみに、潮崎はこの後もまじで寒々しい滑り芸を披露することになる。

 

 

そして最近定番化している女子の試合、ここではムタの娘という選手が初登場。

 

どんなもんか・・・とみんな見守ったわけだが、ここでは何も言わない。

 

次にスペシャルタッグマッチとて小川・ザックのかつての師弟タッグvsHAYATA・棚橋という謎の組み合わせ。

 

1.4の前哨戦を無理やり捩じ込んだ感は否めないが、ともあれ新鮮さはあるし、意外と面白い展開もあって結構よかったね。

 

そして小川・ザックのタッグも飛んだり跳ねたりのジュニアとは当時から一線を画した戦い方は、今見ても面白かった。

 

そしてHAYATAには是非BOSJにも出てほしいなと思うよね。

 

 

次は急遽決まった新日本のヒールユニット、HOTと急遽決まったNoah・新日海野の混合タッグ戦、ちなみに金丸は久しぶりのNoah参戦か。

 

試合自体は清宮が鮮やかにしめて見せたが、注目の一つだった海野・成田のマッチアップは終始から回っていた。

 

そりゃノアの大会だからね、知らんがなという感じか。

 

特に成田は存在感がかけらもなくて、何をしにきたのかのレベルだ。

 

まあ、これからに期待としよう。

 

その中で清宮はいよいよ皮がむけ始めた印象で、あとは体がもっとしっかり大きくなれば本当にプロレス界のトップ戦線も見えてくるだろう。

 

頑張ってほしいところだ。

 

 

そしてセミファイナルは拳王vs征矢のGHC戦だ。

 

なぜ所属の団体最高峰ベルト戦がメインじゃないのか、そんな鬱憤を晴らすように試合は白熱したものになった。

 

といいつつ、やっぱり征矢って勿体無いなとつくづく思った試合だった。

 

いつもこうなのか知らないが、技が打つ切れで単発だし、流れが全然作れていない。

 

一方の拳王は打撃主体すぎるのは気になるが、やっぱり彼は色々考えているんだなと感じる。

 

最後の畳み掛けも見事で、無事防衛を果たした。

 

試合後、塩崎が下手くそなマイクで次回挑戦アピールをいきなりかましていたが、それを仕切り直して拳王がまずは征矢へ言葉を向けたのは流石だった。

 

そこから改めて潮崎へマイクをしたのだけど、その間ずっと突っ立っているだけの潮崎、もはやファンの誰もその存在を忘れてしまうのではないかというくらいだ。

 

結局拳王が喋っている間に静かにリングを降りて退場していたが、この時点ですでに新ユニットがパッとしないことも明白だし、次のチャンピオンシップも拳王防衛だ。

 

拳王はいいレスラーになったよね。

 

 

そしてメインだ。

 

かつて流れに流れた丸藤・飯伏のシングル戦、過去の経緯も煽りまくってストーリーは悪くない。

 

私も二人がタッグを組んだり、まだ飯伏がデビュー間もない頃に丸KENタッグと戦っていたのも見ていた。

 

それでもなお今このタイミングで、この大会でのメインかと言われれば、私でさえ疑問に思うが、ともあれあとは試合で見せてくれればいい。

 

会場のファンもきっとそう思っただろう。

 

しかし、入場したその瞬間に不安が過ぎる。

 

飯伏幸太の体がダルダルなのだ。

 

あのバキバキにキレまくったグットシェイプが見る影もない。

 

しばらく欠場していたせいもあるのかしら、とは思いつつもその落差にまずびっくりだ。

 

そして試合開始しても、どうも動きがモッサイ、どころかあの身軽さは陰を顰めるどころか別人かと思うレベルで動けていない。

 

セカンドロープに上ることすらまごついているし、走ってもトロイ、蹴りもぬるい、なんだこれはと。

 

挙句場外に飛んだ際に着地をミスったのか足首を痛める始末。

 

どうやら試合前からすでに痛めていたらしいが、だとしたら大会前にもっと何かできなかったのか。

 

これは飯伏だけのせいではないが、せっかくのビッグマッチでこれでいいのかと。

 

しかも試合は無理矢理感の否めない形で飯伏が勝ってしまう。

 

試合時間30分超、途中悲鳴にも近い飯伏への声援もなくはないが、「もう終わらせろ!」というヤジも飛ぶ始末。

 

年初のビッグマッチでそれまでの熱量を一気に冷ましてしまった。

 

私は試合が終わったら早々に退場したが、その後ジェイクと清宮がリングに上がってコメントしたらしく、せめてファンの溜飲を少しでも下げたらしいが、本当に残念な一戦だった。

 

丸藤があれこれ動きながらなんとか成り立たせた格好で、切なかったね。

 

 

と、駆け足気味に振り返ったが、冒頭に書いたことを改めて。

 

ちょっと嫌な言い方をするが、ノアファンの多くはノアがプロレス界のトップじゃないことはちゃんとわかっているし、レベルで言えばまだまだなのもわかっている感じだ。

 

その中で、いい選手がいるのは間違いないし、拳王のように意思のある選手が頑張っていることもわかっている。

 

だからこそ、今は耐えどきとばかりに見守っているところもたくさんあるのかななんて思った。

 

それで全てを甘受するわけではなくて、潮崎には素直な反応もしてみせるから、本当にもっと大きくなってくれって願っているんだろうね。

 

まだ若い清宮、外から来たものの団体の中心格になったジェイクへの反応も、本当にこの団体をもっと大きくしたいと思っている選手には素直に応援しているのかなと。

 

だからこそ、このメインの結果って本当にやるせないだろうと思うわけだ。

 

怪我とはいえ1年以上の欠場、相手は団体の象徴たる丸藤、その丸藤相手に不甲斐ない試合をした上で勝っている、あの試合内容でだ。

 

あえてあれこれ言わないけど、あれだけ好試合を展開したベルト戦を差し置いての試合であの体たらく、どうなんだと。

 

まして試合後のマイクもなく救急車で搬送されたとか、怪我は仕方ないけどもう少しだけ意地を見せてくれって思うよな。

 

実際SNSの書き込みも、大半はあれはないだろという不満だらけだった。

 

怪我は仕方ないし、ビッグマッチで穴を開けられないのもわかる。

 

でも、今日の飯伏には気迫もなければ必死さもなくて、ただずっと痛そうな顔だけが印象的で、あんなに冷え切った会場はこの大会で随一だった。

 

あんなの見たくないよね。

 

 

まあ、半ばは私の妄想だが、私もプロレスファンの端くれだ。

 

最後以外はいい試合も多かったので、なおさらだ。

 

ともあれ、また今後の試合の中で、団体として見せていくしかないわけですがね。

 

とりあえず、飯伏は怪我したならしっかり治して、体も作って、ちゃんとここにありを示してほしいね。

もがく人

週刊プロレスで隔週連載している中野たむのコラムで、今週はスターライト・キッドについて書いていたのだけど、共感的に感じたところもあったので少し触れてみようと。

 

このコラムでは以前にもMIRAIを取り上げており、その時は当時W王者だったので、白のベルトの前段階で書いていたのだが、ファン目線ではなかなか的を射たことを書いていると思ったのだけど、それをプロレスラーの目線で書いているのが面白い。

 

プロレスというのは、ある意味難しい競技だと思っていて、フィジカルなパフォーマンスは大前提としながらもそれだけでは観客は喜ばない。

 

そこにある種演劇的な要素が加わる場合もあるし、凶器を使ってみたりアクロバティックをしてみたりと、言って仕舞えばなんでもありだ。

 

プロスポーツの中でもエンタメ要素が最も強いし、まあ、これ以上は一旦置いておくとして、いずれにせよレスラーは何を表現するかがとても重要だ。

 

中野たむは宇宙一かわいいを自称してぶりっ子キャラを貫いているが、なかなかどうして本質はぶち抜けたメンヘラみたいなマインドなので、毎回ドロドロのボコボコになっている。

 

文字通り身を削るような試合は、いつの間にか団体でもトップの位置を得るようになった。

 

それこそコズエンを組み始めた当時は、正直私は好きじゃなかったし、みていて痛々しいなと思っていたけど、今は全然見方は違っているからな。

 

そのことを敢えて以前書いてみたが。

back-to-motif-2nd.hatenablog.com

つまるところ覚悟の違いというのがよく表れているんだと思う。

 

NewBloodでの石川奈青との試合でもそれがよく出ており、中野たむここにあり、という感じであった。

 

 

さて、一方のきっちゃんことスターライト・キッド、スターダムの生え抜きで、キッズレスラーとして早くからデビューしており、年齢の割にすでにキャリアは10年くらいだろう。

 

AZMとは双方ともにライバルと言っているが、まさに同期で苦楽をともにしている仲だろう。

 

元々は超ベビーフェイスで、岩谷の妹的なポジションだったが、数年前にユニット強制移動でヒールターン、今はすっかり黒いコスチュームも板についている。

 

レスラーとしての実力もさすがで、技も綺麗だし正確、動きもいいし技のバリエーションも多く、入場から華もあり小さい体ながらにそれを補ってあまりある運動量で、受けもできるからレスラーとしての素質は極めて高い。

 

最近では地上波含めて露出も多く、またマスクレスラーなのにSNSでは外した姿もフルではないにせよまあまあ晒しているので、そうした面も支持されて人気レスラーである。

 

何せマスクレスラーなのに写真集も出して、グッズの売り上げもトップクラスだとか。

 

 

しかし、私は個人的にはなんだか惜しいなとみていていつも思う。

 

ヒールになってから一生懸命ヒールっぽい言動をしているが、根の真面目さがどうしても滲み出ているように感じる。

 

というか、ヒールってこういうもの、という感じが出てしまっている。

 

なので、真面目というよりは勉強熱心なのかもしれないが、いずれにせよ言ってしまえば突き抜けないのだ

 

たむのコラムでもこの辺りを彼女の目線で書いている。

 

実際タッグではベルトをちょいちょい取っているけど、いまいち話題になりきれない。

 

言い方は悪いが、タレント的な活躍は著しいがレスラーとしては停滞している感じ。

 

先にも書いたけど、動きはいいし、体は小さいとは言えそれが圧倒的ハンデになっているわけでもない。

 

かつてのノアに見られたサラリーマンレスラーみたいな感じでもなくて、彼女なりに必死になっているのは伝わってくる。

 

でもなぜか彼女がシングルチャンピオンになって団体を引っ張っていくイメージが持てないのだ。

 

ちなみに、私はAZMについてはもはやスターダムだけで試合をやっているレベルの選手ではないと思っているし、そろそろシングルチャンピオンになって欲しいと本当に思っている。

 

単純な技術だけで言えば二人に大きな差があるわけではないのかもしれないが、でもプロレスラーとしてのレベルは差ができてしまっていると思っている。

 

それってなんだろうというと難しんだけど、一つは軸がどこにあるのか、ということかなという気もする。

 

これは勝手に私が思っていることなので、実際はどうかわからないが、AZMにせよたむにせよジュリアにせよ、トップどころの選手はレスラーとしての在り方みたいなものが内側から出てきているように感じる。

 

一方のスタラキは、その軸が別のところを参照しているような、そんなイメージ。

 

平たくえいば、憧れる誰かモデルがいて、その背中を追いかけているような感じか。

 

それ自体は悪いことではないのだけど、特にプロレスみたいな世界では、誰かになりたい人よりも、まさのその誰かである人にこそ惹かれるものだ。

 

私のプロレスを見る目線が、その選手の人生とか価値観とか、そういうものがどれだけ滲み出ているか、それを感じられるかが大事と思っているのだけど、それがなかなか見えない。

 

まあでも、そうしてもがいているからこそ支持される場合もあるから、これが正解というものではないのだろうが、ただ本人がどうありたいかだし、何が支持されるかは結果論なので、狙うとまたそれも違うからな。。。

 

 

ただ、これって我々のような一般社会と呼ばれる界隈にも結構あって、仕事もできるし人間性もナイス、みんなから信頼もされているし実際に結果も出しているんだけど、意外とそこまで評価されていないとか、何かあった時に一番に名前が出てこないとか、そういう人って少なくない。

 

その人は落ち度みたいなものは何もないし、努力もできるし、本当にいいやつだったりするけど、それとは別の軸で何かが違うのだ。

 

これって言語化も難しいんだけど、いずれにせよ突き抜けていくある種の天才と秀才の差なんだと思う。

 

私もどちらかと言えば秀才タイプの人間なので、そう感じる瞬間はたくさんあったしね。

 

 

ともあれスターライト・キッドだ。

 

たむも暗にコズエンへの勧誘をしているが、多分ヒールがどこまでいってもキャラにしかできないから、キッドに取ってはそろそろその枠組みが厳しくなっているのではないだろうか。

 

それこそ刀羅ナツコが本当の意味でヒールを極めていくという中で、対比的にも厳しい。

 

ある意味渡辺桃の方が粛々とやっている印象もあるので、無理が見えない。

 

まあ、個人的には実力は団体トップクラスだと思っているので、桃にはもう少し、マジで実力でトップに上がって、それこそ杉浦貴みたいな存在になって欲しいのだが、この子はこの子でいまいちそういう野心がないみたいなので、口惜しい限りだ。

 

いずれにせよ、コズエンはまたちょっと違うと思うけど、違う枠組みの中でやった方が良いのではないかと勝手ながら思う。

 

努力家で勉強家でもあると思うので、逆に言えばその枠組みがマッチすればトップにぽんっと躍り出る瞬間もあるかもしれない。

 

いうても年齢もまだ若いし、先の大会でレジェンドと絡んだことで割と素直な言葉も出せるんだし、まだまだ伸び代はあるはずだ。

 

なまじ完成している部分もあるから余計に難しくなっているところもあるんだろうけど、ブレークスルーは訪れるはずである。

 

そのきっかけがどう訪れるかだろうな。

 

清宮とMIRAI、プロレスの難しさ

ここ数ヶ月でいくつか気になるトピックが。

 

まず一つは夏の祭典、新日本プロレスの開催するG-1クライマックスだ。

 

 NoahのN-1も同時期に開催されているが、やはりバリュー的にも認知度的にも歴史的にも前者に軍配だ。

 

それはともかく、今年の注目の一つはやはりNoah清宮の参戦だろう。

Noahでは若くして団体の中心選手、GHCの戴冠もしており、武藤から技を正式に継承したとしても話題だ。

 

しかし、Noahにあってはどうしても坊ちゃん感が拭えないし、先の対抗戦ではオカダとの実力差をまざまざと見せつけられて人目も厭わず泣きじゃくる姿が話題となったが、そんな清宮がようやく新日本のリングに上がることに。

 

ブロック的には新日本の若手同世代と同じところ、元チャンピオンのSANADAもいるとはいえ、扱いについては明らかだ。

 

 

そんな中だが、結果的に清宮はその存在感を存分に発揮し、新日本のファンにも十分に見せつけただろう。

 

年齢的には同じくらいの海野、辻、成田との戦いも、忖度ありの結果だが試合自体は圧倒していた。

 

中途半端な結果になってしまったのは残念だったが、ともあれやっぱりそれなりのものを背負ってやってきた選手なので、その力は十分に見せつけただろう。

 

ただ、そうはいってもリーグ戦が終わった後の試合で、粛々とやっているような様はちょっと残念だ。

 

もっとギラギラして欲しいし、もっと噛み付いて欲しい。

 

舐めんなっていって欲しい。

 

仮にも団体のチャンピオンになった選手だ、主力になっている選手だ。

 

まだ名前もない新人とタッグで組まされて第一試合をやっていることに、もっと反骨心を出して欲しい。

 

そこが彼があと一歩前に出られないポイントではないかとも思う。

 

ともあれ、実力は十分に示せただろう。

 

あとは、本当の意味でのプロレスラーになれるかどうかだ。

 

個人的にも清宮を見直すには十分だった、あと少しのきっかけではないだろうか。

 

 

そしてもう一人はスターダムの鹿島沙希

 

先の試合で負けたことで大江戸隊を追放、そして朱里率いるGod'sEyeに合流となった。

早々にYoutubeでもネタ動画が上がるなど、結成以降いまいちパッとしないGEにとってはようやく話題も出てきた感じだ。

 

実際、朱里は実績は申し分ないし、一方でハッスルもやっていたのでいろんな意味で全方位だ。

 

ただ、いかんせんガチな要素が強すぎていまいち愛嬌をアピールしずらい。

 

またメンバーのMIRAI、壮麗は、共にまだまだすぎる。

 

MIRAIはシンデレラトーナメント2連覇という過去にない待遇、もとい実績を残しながらも、どうもパッとしない。

 

試合自体は悪くないけど、悪くないだけ。

 

生来真面目で、本当にいい子なんだと思う。

 

プロレスラーになったきっかけも聞けば、応援したくもなる。

 

だけど、それだけなんだよな。

 

プロレスラーとしては弱いのよ、アピール力が。

 

また壮麗についてはプロレス自体もまだまだだし、会社に推されているが実力不足が明らかすぎる。

 

かといって問答無用にキャラがあるわけでもなく、こちらもやはり真面目。

 

どっちも生真面目のレベルだ。

 

朱里も根っこは真面目だが、ちょっと天然のところがあるから愛されキャラだが、ユニットのトップになった瞬間にツッコミがいなくなるので、から回ってしまうのだ。

 

 

そこへさして鹿島だ。

 

綺麗なビジュアルもあり人気選手の一人だが、団体の中でも特異な存在感を発揮している。

 

勝てばファンが喜ぶし、負けてもその名を落とさないという独特の立ち位置に到達している。

 

なぜか朱里には勝つが、新人にコロッと負けたりする。

 

でもその名前を落とさないという、ある意味最強のプロレスラーだ。

 

ちなみに、すっかりキャラが先行しすぎて霞んでいるが、シングルベルト保持者だ。

 

しかもちゃっかりではなく、鹿島ならありうるとみんな思っているのがすごいところだ。

 

 

ザ真面目軍団のGEにあって、不真面目キャラの鹿島が入ったことで、結果的に他のメンバーは無理せずにそれぞれのキャラを立たせることができるし、鹿島は鹿島でヘタレキャラでありながら、勝つべき試合にはしっかり勝つ。

 

ちなみに、しばしばユニットタッグ戦では負け役になっているが、負けても彼女のキャラには傷がつかない。

 

団体として推したいが実力に課題のあるMIRAI、壮麗はその中でうまくキャリアを積める。

 

いい采配だと思う。

 

 

そんな鹿島に、スポット参戦の小波が噛みついたらしいが、なぜか鹿島ではなくMIRAIとの白のベルト戦に至ったらしい。

 

あまり具に追っていないこともあるが、この顛末は意味がわからなかった。

 

どうもチーム戦で鹿島が取られたことで小波が異を唱えたのに対し、MIRAIが庇う仕草をしたことでそうなったらしいが、鹿島どんだけ便利屋だよと。

 

そもそもレギュラー参戦でもないし、なんなら体調不良でセミ引退状態となった小波がいきなりベルト挑戦というのもどうかと思う。

 

一方で、そうでもしないとMIRAIの防衛戦についてテーマが見出せないのも事実。

 

基本いい子だから遺恨もないし、上谷ほどの化け物感もない。

 

このままでは漠然としたことにしかならないから、ここで一つ課題を与えたような格好だろう。

 

ファンからは色々のコメントが出ているが、賛否あるにせよどうにかMIRAI、壮麗を育てたい団体の意向はみんな感じているだろう。

 

これでものにできなければ、二人はパッとしない存在でしかなれないだろうから、実は一番の節目を迎えているのはこの二人なのだ。

 

鹿島、小波はそのきっかけに過ぎない。

 

 

プロレスってやつは人生だ。

 

1回の試合の勝ち負けは大した問題ではない。

 

きっかけはいくつもある、それを活かせるかどうかだ。

 

鹿島と小波が焦点にされているが、実は一番厳しい課題を与えられているのはMIRAIだ。

 

 

さてどうなるか、プロレスは勝敗だけではないところにこそ面白みがある。

 

どうころぶのやらである。

 

ところで、ちゃんみな、せっかくならもっと暴れろ!

お前のための時代なら・・・

最近スターダムのことばかり書いているが、動きがあるところの方が面白いし、色々と語ってみたくもなるものだ。

 

ともあれ、最近話題?なのは世代闘争だ。

 

外敵のすずかけしかけて始まったのだけど、壁世代が岩谷、たむ、朱里、そしてジュリア。

 

対する新世代はすず、詩美、上谷、舞華という。

 

この時点で既にツッコミどころは満載だし、少なくとも現スターダムでのトップ選手がユニットを超えてタッグを組むと言うこと自体のプレミアム感があるにも関わらず、今一盛り上がっていない印象だ。

 

そもそもジュリアだって存在感としては頭抜けているが、ベテランと呼ぶにはまだ若い。

 

ていうか、むしろ新世代の先頭がジュリアではないかというのが個人的な感覚だ。

 

また新世代と言い条、詩美は赤のベルトを複数回防衛しているし、上谷も白のベルトの最多防衛記録をもっている。

 

既に壁という4人のレスラーと比べても実績は遜色ない。

 

すずはそもそも外的ながら、そのキャリアは明らかに頭抜けている。

 

強いて言えばタッグ以外目立った実績もない舞華くらいだが、だとしたら飯田やレディだってこの並びだろう。

 

こうしてざっと書いた時点で既に世代闘争というテーマ自体ハテナだし、男子ほど年齢がものを言わない女子だからこそ、そもそもテーマ的に微妙ではないか。

 

実際このカードが発表されて以降対して話題にもならなかったし、なんなら若手と定義された側の発信は何もないし、そもそも外敵のすずにきっかけを作られている時点で意味がわからない。

 

それを察してか、さすがジュリアは大会前に各選手をけしかけることで若干のリアクションを引き出したものの、いずれにぜよ今のトップどころがタッグとは言え揃ったカードであるにも関わらず、大した話題になっていない。

 

試合は見ていないからそれ自体の評価はできないけど、なんか次回もやるらしいですね。

 

そこにMIRAIが参戦に名乗りを上げたというが、なんか微妙だよな。

 

最近のSNSとかでも、ファンに対して「色々予想して楽しんでください!」とか言っているが、なんかもうその発言自体がセンスないなと思ってしまう。

 

これはMIRAIに限らないけど、勝手に考えるはこっちは、舐めんなと思ってしまう。

 

むしろその興味をそそられないことが問題だぞと。

 

バクステのコメントで、舞華はDDMは脱退しないと明言したらしいが、このあたりにプロレスラーとしての課題を感じるよな。

 

どっちに振れるかわからないけど、でも本当にファンにあれこれさせたいなら、もっと言い方あるだろうと。

 

もはやそんなコメントは無視して好き勝手言っているファンの方がむしろ逞しいくらいだ。

 

そもそもスターダムにそんな世代感なんてないし、今回の投げかけも緊張感ないし、なんなら安納どうするん?ていう方が注目になっちゃっているだろう。

 

 

私はTha Blue Herbというヒップホップユニットが好きなんだけど、彼らの曲で”時代は変わる”というのがあるのだが、この曲のリリックがこういう話題を出したがる奴には本当にちゃんと聞いてほしい。

 

「お前の力はお前自身で確かめろ。お前のための時代ならお前が変えろ!」という一説はどんな時代においても若い奴らに叩きつけられる圧倒的なパンチラインだと思う。

 

何かに乗っかっている感のある世代チームのやわさも、ご丁寧にマイクで参加させてくださいと表明するMIRAIも、生ぬるすぎてくだらない。

 

やるやつはそんなことを言うまでもなくやっている。

 

それがジュリアやたむだし、詩美だってそうだろ。

 

ちゃんみなやウナギもそうだし、スタラキもそう。

 

発起人のすずは別にして、ここに乗っかるだけの段階で残念ながらプロレスラーとしての上限が見えてしまったのではないだろうか。

 

 

まあ、何はきっかけになるかわからないから、何がどうなるかはわからないけど、ただのユニットシャッフルのきっかけだけで終わるのか、ブレイクスルーを迎えるのか、それはそれぞれの資質によるだろう。

 

取り合えずどういう展開になるかは楽しみにみつつ、さっさとすず、安納あたりで新しいユニット作ってかき回してほしいと思う。

 

ベテランvs若手、ただの世代闘争じゃないのが面白い - NewBlood

私個人としては度々書いているのだけど、プロレスの面白さの最たるものはレスラーの人生が見えることだ。

 

プロレスはプロレスだからプロレスなんだけど、いいレスラーは須く試合にその生き様が現れる。

 

私は昔から柴田とKENTAが好きなんだけど、彼らの試合にはそれが出ている。

 

覚悟が出ているし、そこに気迫が宿っている。

 

プロレスはまさに人生だと思っているのだけど、その人の人生が出ていて、やっぱりそういうレスラーの試合は感動する。

 

 

今や一つのブランドにもなったスターダムのNewBloodという大会だが、今回で8回目だそうだ。

 

元々は当時デビューした期待の新人、天咲のための大会みたいな感じで始まったが、今はいい感じにそことは離れている一方で、そろそろブランディング的に難しい局面にもなってきているが、とはいえ若手主体というテーマは一つ通底しているだろう。

 

毎回Youtubeで無料配信してくれるのでとてもありがたいのだけど、今回の大会は非常に印象的な試合が多かったですね。

 

天咲は今回も出ているが、メインではなく5番勝負として渡辺桃と戦う。

 

結果、桃のうまさの光る試合だったと思うけど、まだまだこれからだ。

 

奈七永とルアカの試合もよかったし、壮麗から見事ベルトを奪取した吏南もよかった。

 

双子の妹のヒナもお姉ちゃんの羽南もよかったしね。

 

てか、羽南デカくなったな。

 

 

そして意外にも個人的に感動してしまったのが、メインとたむvsたむ。

 

意味不明だろうが、元アイスリボンの石川奈青がまさかの参戦、しかも中野たむとして登場したのだ。

 

石川は、私が見ていた時には怪我で欠場していたので、実はそんなに試合はアイスリボン当時は見たことがなかった。

 

しかし、誌面ではアイドル的な活動をしたり、過剰にぶりっ子してみたりと、独自路線で活動をしながらも、先日アイスリボンを退団。

 

記者会見では辛辣なフロント批判をぶちまけ、最後のリングでは社長をぶちのめすというなかなかのインパクトを残して外へ飛び出した。

 

そこからまさかのスターダムに参戦、しかも初戦がサブブランドとはいえメインだ。

 

相手は現役の王者、中野たむだ。

 

賛否の大きな選手の一人だが、元々は花月ありし頃の大江戸隊でマスコット的なキャラとして登場しておきながら、今や団体トップの一角だ。

 

なんだかんだその実力は伊達じゃない。

 

そこに偽物?として登場し、試合前にはSNSでも積極的にアピールし、早々に強烈なインパクトと話題を残した。

 

そして試合当日、試合は何を見せるかである。

 

試合前の展開から入場まで全てにおいてお互いにキャラを貫いたので、試合はどうなることやらであった。

 

 

結果、試合は思ったよりもシビアな展開だった。

 

どれだけふざけてみても、女子のトップの団体でベルトを持っている中野たむは、やっぱり伊達じゃない。

 

試合序盤は戦前の通りにコミカルに行くか、という気配もあったが、さすがだなと思った。

 

私みたいなやつ含めて、批判も散々あったであろう中でそれでも自分を貫き通した女である。

 

何回もいうが、伊達じゃない。

 

石川も、せっかくつかんだチャンスだから爪痕を残してやるという気合いは序盤からも感じられた。

 

だけど、それよりもずっとたむの気迫が早々に上回っていた印象だった。

 

一番のポイントは、自作ベルトを巻いてきたことが鍵だったのかなという印象だ。

 

プライドがあるし、何よりそれを軽視することは団体そのものを軽視されることにもなるから、そこにしっかりと線を引いたのが彼女のチャンピオンとして矜持だったのだろう。

 

 

試合自体は実力の差もまざまざと見せつけたし、なんなら明らかに途中で石川は心が折れた瞬間があった。

 

それを見透かしたたむが、もっとついてこいよ、とばかりに少し間を置きながら攻撃を喰らわすような場面もあった。

 

そこで3カウントをくらってもいい瞬間もあったけど、石川はそこで肩を上げた。

 

体力的にも試合の引き出し的にもメンタル的にも折れているのは明らかだった。

 

だけど、それでも食らいつこうという意地を見せたところに、計らずもグッときてしまった。

 

ここからはどこまで意地を見せられるかだ。

 

おふざけだけで終われるほど、やっぱり中野たむは甘くない。

 

その覚悟がお前にあるのか?と問うように、中野たむというブランドのためにも見せつける様にも彼女の意地や矜持が見えたし、最後まで食らいついた石川もよかった。

 

実力差なんてあって当たり前だ。

 

実力者の先輩レスラーがほとんどいなくなって、その中で客を呼ぶため、存在感を示すために自分なりに頑張ってきた自負もあったろう。

 

元いた団体に牙を剥いて、生意気を言って飛び出したところ、せっかくつかんだビッグチャンスだ。

 

チャンスである反面、そこでしっかりと自分を示せなければ大きな足枷にもなりうる。

 

その中で、試合までしっかり貫き通しただけでも大したものだが、なんとか最後まで頑張ったのだから、十分だ。

 

存在感をしっかり示しただろう。

 

 

自身のプライドも示しつつ、その上で新しい環境に挑戦しようとしている若手を受け止めつつ厳しさも見せてファンに対してもしっかりと見せつけていくたむの態度もすごくよかったし、自分なりに最後まで意地を示そうとした石川もすごく良くて、不覚にもちょっと泣いてしまった。

 

いい試合だった。

 

コミカルに見るべきか真剣に見るべきか、観客もどう声援を送っていいやら戸惑ってしまい、終始静かだったし、たむが思ったよりもエグい展開に持っていったのでそこでテンションの差が生じてしまったけど、大会のブランド的にもよかったと思う。

 

試合後はたむが共闘?を呼びかけるような場面もあり、コズエンの新たな新人として参戦していくのかもしれない。

 

それもいいだろう。

 

 

歳のせいか知らないが、最近若い子が頑張っているのを見るとグッとくるし、苦しんでそれでも歯を食いしばって踏ん張ろうとする姿を見ると本当にたまらないのだけど、一方でそこに壁として立とうとするベテランにもグッとくるという有様である。

 

個人的にはこれまで見た中で、今日のたむが一番よかったし、ほとんど心が折れながらも食らいついた石川も十分によかった。

 

実力さは明らかだし、何よりもほんにがそれを感じただろう。

 

試合後も、最後っ屁みたいなマイクしかできなかったし、差し伸べられたたむの手を素直に握るしかなかったくらい追い詰められてもいたんだろう。

 

ここからだよ、本当の勝負は。

 

アイスリボンも、実力のある先輩は誰もいない中で頑張っていたし、そこでそれなりの評価も獲得した。

 

でもそれで満足できなかったからこそ飛び出したんだから、コミカルはいい意味でも残しつつ、自分なりに本物になっていって欲しいものだ。

 

 

若い子の方が本質的には真面目である。

 

それに一生懸命だし、対して成功できなかった私のような存在からすれば、こうやって自分の力で切り開こうとしている子を見ると、素直に応援したくなる。

 

まだまだこれからだ。

 

 

大会最後を締めたのは、現役高校生の新チャンピオン、吏南だが、ずっと嬉しそうだったのもよかったよね。

 

若い子が頑張っているのはいいよね、もうおっさんだから応援したい気持ち満々だ。

 

でも、おっさんはおっさんで負けたくないから頑張るけどね、なんて最近の自分の会社での立ち位置も含めて、なんだかグッときてしまう大会だった。

 

 

野心や実力があるのに、その時の環境でうまく力を発揮できていない若手には、こういうチャンスがもっとないとな。

 

老人ばかりが権力を発揮するような世界に未来はない。