今一番勢いのあるプロレス団体と言えば、ドラゴンゲートを挙げる人は少ないないだろう。
ファンの半数以上が女性ファンとも言われる異色の団体であるが、経営方針は極めて堅実。
元々はウルティモ・ドラゴンが興した闘龍門に端を発し、10年くらい前かな、当時の闘龍門ジャパンであったのだがウルティモから独立する格好で発足、以来地方巡業を大事にしながら着実にファンベースも獲得して行った。
元々私がプロレスをみるきっかけになったのも、実は闘龍門なんですね。
何かで名前だけ知っていたのだが、たまたま夜中に放送されていて、それを観たのが始まりで、今に至るのである。
当時はまだジュニアの選手ばかりで、メキシカンスタイルの空中技と独自ルールによるスピード観あふれる攻防が目を見張るものがあった。
その時はSUWAやTARUにマグナムTokyo(今はなにをしているのだろうか?)、ミラノコレクションもいたし、吉野は長髪でヨッシーノ、近藤もコンドッティ、ブラザーはヤッシー二と名乗って、何故かイタリア人という設定であった。
エンタメに特化しているとはいえ、非常に完成度の高い試合をしていたのを良く覚えている。
ちなみに観に行った時に、制服姿の女子高生ファンがヨッシーノにファンレターを渡していたのが非常に印象的だったな。
今は当時とは大分顔ぶれも代わり、ドラゲー生え抜きと言える選手も増えてきた。
今は鷹木、YAMATO、ハルク、戸澤ら新世代が台頭。
その中で当時の中心選手は既にベテランという枠に入っている。
望月、横須賀、K-ness、ドンフジイ、堀口、斎了、ドラゴンキッドなんてよく頑張っているよな。
ストーカー市川も地味に生きているし。
岩佐はケガが勿体なかったし、アンソニーは引退したんだっけか。
退団組は様々な団体で存在感を発揮していて、この団体のセルフプロデュース力には本当に感心する。
さて、そんな中でもやはりすごいなと思うのはCIMAである。
先日鷹木に負けて王座陥落したが、それでもその存在感はちょっとやそっとじゃ消えない。
あまり意識してなかったが、所謂新世代ではCIMAから直接ベルトを取ったのは鷹木が初めてらしい。
よくそこまであっためたな、と思う一方で、今もバリバリのビルドアップされた体で牽引し続けてきたこのCIMAの存在観が改めて浮き彫りになった格好であった。
とはいえ、この王座戦を持って団体としてもいよいよ新世代を中心に据えたいのだろう。
CIMAはもっと身軽な立場で活躍したいのだろうなと思うけど。
CIMAの試合は圧倒的に安定感が高い。
技の完成度も高いし、試合運びもうまいし、何より華がある。
スター選手ってのはこういうのを言うんだなといつも思う。
マイクでしゃべっても笑いも取りつつきちんと締めるところは締めて、なるべくしてプロレスラーになったとさえ思える。
技にしても、オリジナルホールドが数多く存在する。
シュバイン、メテオラ、トカレフ、マッドスプラッシュetc、キチンと決めるべきところで決めるからすごい。
結果的にはどうしてもベビーフェイス寄りにはなるが、所謂敵役のような役回りも見事にこなすから、さすがだと思う。
結果的にCIMAに活かされる選手が多い訳だから。
この団体は選手の個性が非常に立っている。
恐らくウルティモ時代からの教訓的なものだろう。
デビューしたての若手もみんな何かしら自分なりのキャラクターを演出する。
その中にあって、CIMAはあくまでCIMAを演じているという印象がある。
ある意味では自分をブランド化できているというコトだろう。
彼はもちろん海外でも評価が高い。
割と頻繁にアメリカやメキシコに遠征しているが、現地でも安定感抜群のようである。
誰もが認める団体のエースはだてではない。
これだけ存在感のある人の後がまはそうそう易々とは見つからないだろう。
実際鷹木は取ったばかりのベルトをYAMATOに取られている。
しかも反則を使っての勝利なので、ファンとしては納得できないだろう。
ましてこれではポスト絶対エース足りうる存在を作るのは容易ではない。
素養があるのは鷹木、ハルク、YAMATOだと思うが、いずれもなんだかんだ突き抜けた個性はない。
いいレスラーに止まっている。
ハルクはかつてスーパーベビーフェイスであったが、すっかりヒールになっている。
YAMATOはあっちへ行ったりこっちへ行ったり、今一安定しない。
鷹木は我が道を貫かんという感じがあり、大黒柱としては悪くないのだけど、アピール力はやはり弱い。
プロレスラーはやはり言葉の感性も重要なのである。
それだけの訴求力のあるマイクが出来る奴は今のところいない。
そういう意味でもポストCIMAは至難であるし、だからまだ特定の一人に絞らず、むしろ世代として魅せようと言う傾向が見て取れる。
いずれにせよ、全団体見回しても独自の存在感と信頼感をここまで備えたレスラーはそうはいない。
でも、今まではあまり外に出る事は少なかったので、今後はもっとフットワーク軽く、ドラゲーのCIMAではなく、1プロレスラーCIMAとして、団体を股にかけた存在感を発揮してほしいものだ。
キャラが強い分、初めてのところでは受け入れにくいところもあるかもしれないが、それすらも飛び越えれば歴史に名を残せるはずである。
これからの動きが非常に楽しみである。