続・論理プロレス論考

観戦の感想、レスラー個々、そしてプロレスを見る私と、様々な角度からあれこれプロレスを語りたいブログ

清宮とMIRAI、プロレスの難しさ

ここ数ヶ月でいくつか気になるトピックが。

 

まず一つは夏の祭典、新日本プロレスの開催するG-1クライマックスだ。

 

 NoahのN-1も同時期に開催されているが、やはりバリュー的にも認知度的にも歴史的にも前者に軍配だ。

 

それはともかく、今年の注目の一つはやはりNoah清宮の参戦だろう。

Noahでは若くして団体の中心選手、GHCの戴冠もしており、武藤から技を正式に継承したとしても話題だ。

 

しかし、Noahにあってはどうしても坊ちゃん感が拭えないし、先の対抗戦ではオカダとの実力差をまざまざと見せつけられて人目も厭わず泣きじゃくる姿が話題となったが、そんな清宮がようやく新日本のリングに上がることに。

 

ブロック的には新日本の若手同世代と同じところ、元チャンピオンのSANADAもいるとはいえ、扱いについては明らかだ。

 

 

そんな中だが、結果的に清宮はその存在感を存分に発揮し、新日本のファンにも十分に見せつけただろう。

 

年齢的には同じくらいの海野、辻、成田との戦いも、忖度ありの結果だが試合自体は圧倒していた。

 

中途半端な結果になってしまったのは残念だったが、ともあれやっぱりそれなりのものを背負ってやってきた選手なので、その力は十分に見せつけただろう。

 

ただ、そうはいってもリーグ戦が終わった後の試合で、粛々とやっているような様はちょっと残念だ。

 

もっとギラギラして欲しいし、もっと噛み付いて欲しい。

 

舐めんなっていって欲しい。

 

仮にも団体のチャンピオンになった選手だ、主力になっている選手だ。

 

まだ名前もない新人とタッグで組まされて第一試合をやっていることに、もっと反骨心を出して欲しい。

 

そこが彼があと一歩前に出られないポイントではないかとも思う。

 

ともあれ、実力は十分に示せただろう。

 

あとは、本当の意味でのプロレスラーになれるかどうかだ。

 

個人的にも清宮を見直すには十分だった、あと少しのきっかけではないだろうか。

 

 

そしてもう一人はスターダムの鹿島沙希

 

先の試合で負けたことで大江戸隊を追放、そして朱里率いるGod'sEyeに合流となった。

早々にYoutubeでもネタ動画が上がるなど、結成以降いまいちパッとしないGEにとってはようやく話題も出てきた感じだ。

 

実際、朱里は実績は申し分ないし、一方でハッスルもやっていたのでいろんな意味で全方位だ。

 

ただ、いかんせんガチな要素が強すぎていまいち愛嬌をアピールしずらい。

 

またメンバーのMIRAI、壮麗は、共にまだまだすぎる。

 

MIRAIはシンデレラトーナメント2連覇という過去にない待遇、もとい実績を残しながらも、どうもパッとしない。

 

試合自体は悪くないけど、悪くないだけ。

 

生来真面目で、本当にいい子なんだと思う。

 

プロレスラーになったきっかけも聞けば、応援したくもなる。

 

だけど、それだけなんだよな。

 

プロレスラーとしては弱いのよ、アピール力が。

 

また壮麗についてはプロレス自体もまだまだだし、会社に推されているが実力不足が明らかすぎる。

 

かといって問答無用にキャラがあるわけでもなく、こちらもやはり真面目。

 

どっちも生真面目のレベルだ。

 

朱里も根っこは真面目だが、ちょっと天然のところがあるから愛されキャラだが、ユニットのトップになった瞬間にツッコミがいなくなるので、から回ってしまうのだ。

 

 

そこへさして鹿島だ。

 

綺麗なビジュアルもあり人気選手の一人だが、団体の中でも特異な存在感を発揮している。

 

勝てばファンが喜ぶし、負けてもその名を落とさないという独特の立ち位置に到達している。

 

なぜか朱里には勝つが、新人にコロッと負けたりする。

 

でもその名前を落とさないという、ある意味最強のプロレスラーだ。

 

ちなみに、すっかりキャラが先行しすぎて霞んでいるが、シングルベルト保持者だ。

 

しかもちゃっかりではなく、鹿島ならありうるとみんな思っているのがすごいところだ。

 

 

ザ真面目軍団のGEにあって、不真面目キャラの鹿島が入ったことで、結果的に他のメンバーは無理せずにそれぞれのキャラを立たせることができるし、鹿島は鹿島でヘタレキャラでありながら、勝つべき試合にはしっかり勝つ。

 

ちなみに、しばしばユニットタッグ戦では負け役になっているが、負けても彼女のキャラには傷がつかない。

 

団体として推したいが実力に課題のあるMIRAI、壮麗はその中でうまくキャリアを積める。

 

いい采配だと思う。

 

 

そんな鹿島に、スポット参戦の小波が噛みついたらしいが、なぜか鹿島ではなくMIRAIとの白のベルト戦に至ったらしい。

 

あまり具に追っていないこともあるが、この顛末は意味がわからなかった。

 

どうもチーム戦で鹿島が取られたことで小波が異を唱えたのに対し、MIRAIが庇う仕草をしたことでそうなったらしいが、鹿島どんだけ便利屋だよと。

 

そもそもレギュラー参戦でもないし、なんなら体調不良でセミ引退状態となった小波がいきなりベルト挑戦というのもどうかと思う。

 

一方で、そうでもしないとMIRAIの防衛戦についてテーマが見出せないのも事実。

 

基本いい子だから遺恨もないし、上谷ほどの化け物感もない。

 

このままでは漠然としたことにしかならないから、ここで一つ課題を与えたような格好だろう。

 

ファンからは色々のコメントが出ているが、賛否あるにせよどうにかMIRAI、壮麗を育てたい団体の意向はみんな感じているだろう。

 

これでものにできなければ、二人はパッとしない存在でしかなれないだろうから、実は一番の節目を迎えているのはこの二人なのだ。

 

鹿島、小波はそのきっかけに過ぎない。

 

 

プロレスってやつは人生だ。

 

1回の試合の勝ち負けは大した問題ではない。

 

きっかけはいくつもある、それを活かせるかどうかだ。

 

鹿島と小波が焦点にされているが、実は一番厳しい課題を与えられているのはMIRAIだ。

 

 

さてどうなるか、プロレスは勝敗だけではないところにこそ面白みがある。

 

どうころぶのやらである。

 

ところで、ちゃんみな、せっかくならもっと暴れろ!