続・論理プロレス論考

観戦の感想、レスラー個々、そしてプロレスを見る私と、様々な角度からあれこれプロレスを語りたいブログ

充実のその先に -スターダム4.23横浜

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今日はスターダムの横浜アリーナ大会へ。

 

この大会はトピックてんこ盛りで、チャンピオンシップが並んでいるのは勿論だが、今の女子プロ界のトップどころが多く参戦。

 

アイスリボンから退団後勢いに乗るプロミネンスは6人タッグのベルトの防衛戦、対するはフリーながら各地で存在感を示してきた安納サオリが遂にスターダム参戦。

 

デビュー当時も上がっていたが、当時とは比べ物にならないレベルで格が上がっているので、このカードはみんなトップクラスなので楽しみでしかない。

 

またこれまでシングルで圧倒的すぎる強さを発揮した橋本が、ようやく朱里と対戦。

 

元オリンピック候補は伊達じゃなく、ベースが違う強さを見せつけてきた中で、同じくUFCでも戦ってきた朱里である。

 

このカードは激アツだ。

 

また個人的に注目は無タイトルのタッグだが、AZMと駿河メイが遂に組んで、スタラキと元マーベラスの子とやるのだけど、今の若手女子選手の中でも随一の2人のタッグはそれだけで凄まじい。

 

どっちもプロレス頭が半端ではないので、どこまでキッドともう1人の子がついていけるかだ。

 

2人で世界に行ってくれとマジで思うので,実に楽しみ。

 

そのほかにもメインは赤のベルト、ジュリア対たむだが、正直話題性としては薄くなってしまっているのは否めない中で何を見せられるかだ。

 

ある意味1番シビアなカードだと思う。

 

そして女子IWGPの岩谷対モネ、これはベルト自体をどうしたいかだと思うが、岩谷がとって2人で米国市場を開拓にいくのも良いのではないか。

 

またゴッデスは7 up対GE の2人。

 

せっかくシンデレラトーナメントを2連覇ひたにも関わらず、コズエンのゴタゴタですっかり話題を取られてしまったMIRAI、ここで存在感を示したいところだが、ちょっと厳しいよなと流石に思うが果たして。

 

そして白のベルトは因縁の白川のリベンジだ。

 

先の対戦でフェニックス失敗により欠場に追い込まれ、片や上谷も軽くトラウマ状態であれ以来フェニックスを出していない。

 

その攻防が見どころといったところから。

 

あとはプロレス2戦目となるふわちゃんか。

 

第0試合含めて都合12試合、ボリュームたっぷりである。

 

ちなみにスポンサーにソフトバンクがついているらしい。

 

 

さて第0-1試合、ロイヤルランブル形式である。

 

新人からレジェンドまでが出揃うわちゃわちゃした試合では、同じユニットなら連携してみたり、そうでなくても急に組んでみたりと、忙しなさが売りになるわけだが、全体通していい前座になったね。

 

中西百重がゲスト復帰、見事な動きを見せてくる。

そしてすでに恒例になっているらしいマシン軍団はいつのまにか3人になっていたね。

途中どうもこももが打ちどころ悪かったのかタンカで運び出されていたが、ともあれ30分くらいまでひっぱった。

 

最後は桜井が勝ち抜け勝利、最近話題の貴婦人マイクをしっかりと見舞っていったが、なるほど面白くなっているね。

 

ご当地の崎陽軒のしうまいを出しつつ、それをシェアして食べなさい、という辺りにウィットが富んでいる。

いいキャラ見つけたね。

 

 

続く第0-2試合は8人タッグ、大江戸隊vsクラブビーナス+テクラ。

 

まるでマトリックスのような佇まいでなかなか様になっている。

 

DDMだが、うまいことハマるカードがなかったのだろう。

 

それはともかく、やっぱりテクラは動きが違う。

 

もっといいポジションでやらせてもらえてもいいはずなんだがな。

一方のビーナス諸氏だが、動きはもっさりしておりまだまだこれからという感じだね。

 

大江戸隊は実はみんなそこそこのベテランになりつつあるので、危なげないよね。

 

展開はやや微妙な感じだが、第0だからね。

 

なかなか充実した内容であった。

それにしても、近くに外人がずっと騒いでいたが、なんとなく下世話なこと言ってんのかなという感じだった。

 

ともあれ、こうして海外のファンも見に来るようになったのはすごいことであるよな。

 

 

さて第1試合はのっけからAZM・駿河メイvsスタラキ・星月戦。

 

豪華だ。

 

入場曲の繋ぎと映像がちょい微妙なのが残念だが、それはともかく入場からあの羽?を持って入場。

慣れなAZMはつまづいていたが、ともあれ実に陽気だ。

 

私は星来という選手は初めてみたが、さすがこの試合に組まれるだけあっていい動きをする。

 

駿河メイは得意のトリッキーな動きを繰り広げていくし、AZMもスタラキもそれを倣って動いてみせるから流石である。

この試合では交代はノータッチでオッケーのルールだったので、より試合はスピーディに展開していく。

 

場外でもぴょんぴょん飛び回り、まさに縦横無尽。

 

この試合、そのままハイスピードタッグとかにしちゃえばいいのに。

 

最後はまさかのAZMが星来に取られてフォール負けに。

 

試合後にベルト戦をアピールする場面も見られたが、まぁそうなるだろう。

試合はいやにあっさり終わったが、このタッグはまた観たい組み合わせである。

 

ちなみに、スタラキがメイに近寄るも、追い払われていたな。

 

 

続くはプロレス2戦目となるふわちゃん、今回も師匠の葉月と組んで、対するは詩美・天咲の前回に続きQQコンビだ。

 

まぁ、テレビでも放送されるから、生え抜きを写したいよね。

 

それはともかく、天咲は一応ふわちゃんと同期になるらしいのだが、さすがに負けるわけにもいかない。

 

結果だけでなく内容でもだ。

で、試合なんだけど、フワちゃんはやはり運動神経が頭抜けているんだろうな、まだ不恰好なところは多分にあったが、2戦目にしては十分な身のこなしだ。

 

カズチカ直伝のドロップキックもなかなか様になっている。

 

ただ、前回の試合でなぜフワちゃんがあそこまでファンに受け入れられたかと言えば、それはしっかりと技を受けたからである。

前回もがっつり顔面にブーツを食らっていたが、今回も詩美のラリアットをがっつりと喰らってひっくり返っていた。

 

一方でブレンバスターなんかも様になっており、体幹も安定していた。

大したものだ。

 

最後は詩美のジャーマンまで受けているのだから、しっかり練習したということだろう。

 

前振りVでも流れていたが、前回の試合から継続的に練習していたらしいので、伊達ではなかったね。

 

なので、今回も喝采の拍手を受けており、試合中も子供達はじめ会場から声援も飛んでいた。

芸能人のゲスト参加とはいえ、ちゃんと評価されていたのが良かったね。

 

次があるかはわからないが、なかなかの爪痕を残していった。

 

がんばれ天咲。

 

 

続くは早くもひめかスターダムラストマッチだ。

 

相手は相棒の舞華である。

ちなみに今回はイメチェンしてる選手も多く、舞華も髪が真っ赤になっていた。

 

入場時は口元がにやけており、何を思っていたんだろうか。

 

ひめかは白いドレス様のガウン?を着て入場。

リングアナウンサーは、自身もタイトルマッチ前にもかかわらず、彼女のデビュー戦でもコールを務めたというちゃんみなが担当。

実は二人は本当に仲が良かったらしい。

 

試合は彼女ららしいぶつかり合いを見せて、必殺も出し合って良かったのではないだろうか。

ラストはみちのくドライバーでの決勝となった。

 

試合後にはマイクもあったが、それもさっぱりしたもので、特にセレモニーなどもなく淡々と最後の試合も終わったのであった。

 

スケジュールパンパンだからな。

 

 

続く第4試合はゴッデス戦、ちょっといやな予感のするカードであったわけだが、その予感は的中だ。

 

試合自体は大方の予想通り7 upが終始圧倒する展開。

体格的にもプロレス力的にも力の差は歴然で、正直これでどうやって…と思っていた訳だが、ここで壮麗の得意技が炸裂する。

 

場外アウトだ。

 

シンデレラトーナメントの最後の試合でも上谷を場外に引き摺り落として両リンを取ったわけだが、まさかあれが前振りだったのだろうかとさえ思えてくる。

 

MIRAIは先日のシンデレラで優勝して、その文脈で負けることはないと思っていたが、この結末は流石にないだろう。

 

仮に結果そうだとしても、狡猾に嵌めたとかの頭脳戦的な様相でもあればともかく、単なるドロドロの展開でそうなったに過ぎない。

 

最後リングに登ろうとするところを何度も蹴落とす展開など、正直みていられない。

 

ゴリ押しの両リンはダメだろ、矢野を見習え。

 

試合が決まると会場の空気はさめざめしたもので、ベルトの授与が行われても拍手もまばらだった。

 

どうしても推していきたいらしいが、今時点での実力不足は明らかだし、これは本人たちにとっても厳しい環境ではないだろうか。

 

まして真面目が服着て歩いているような2人なので、開き直ってもっと主張することもないだろうから、なおさら厳しい。

 

どうしたいんだろうか。

 

 

続く第5試合は注目の一戦、アーティスト戦だ。

 

プロミネンスの実力はいわずもがな、対する安納がこの試合で何を見せるかである。

ちなみに私はどうしてもなつぽいが好きになれないのだけど、なんでだろうか。

 

それはともかく、カイリもいて昔ちょっと組んでたくらいのイメージしかないのだが、ともあれ個人的な思いはあるらしいからまあいい。

 

試合自体はやっぱり良かったね。

 

プロミネンスの自由なプロレス流儀が光りまくっていた。

 

世羅はオールラウンドでありながらちょいちょい竹刀を持ち込んでみたり、くるみは体格を生かしたパワーファイトでぶつかっていく。

 

そしてすずもオールラウンダーなので、そもそもプロレスの地力が違う。

 

正直この試合ではカイリあんまり目立ってないし、なつぽいもそんなに覚えてない。

 

安納は割と正統派ながら要所にオリジナルなムーブを挟んでおり、何より技が正確で綺麗だから観ていて素直にすごいと感じられる。

表情も豊かで、戦前のクールな佇まいと打って変わって激情の戦いだ。

 

あのたんすずたんとして名を馳せたすずともマッチアップしていく。

まあ、アイスリボンでよくやり合っていたのでスイングしやすかったのはあるだろうけどな。

 

試合は安納がすずを抑えて見事勝利。

 

早々に爪痕を残したが、納得の試合展開だったね。

 

ただ、プロミネンスには継続的に参戦してほしいところだ。

 

 

続く第6試合はワンダー戦、上谷vs因縁の白川戦だ。

 

つい先日コズエンから離脱し、自身のユニットを立ち上げたばかりで、選手としても充実期を迎えている。

ファンの期待も含めて満を持してのタイミングなのはいうまでもない。

 

一方の上谷は最多防衛記録も重ね、正直テーマがなくなりつつあった中で、先の試合でフェニックスにまつあわるあれこれが結果的に生まれた。

 

それを克服できるかみたいな焦点になってしまっている。

 

試合は序盤から白川が足攻めを展開、やや強引な場面も見られたがテーマはばっちりだ。

 

対する上谷もさすが動きはいいし、運動神経は抜群だ。

 

しかし、終盤に差し掛かるとフェニックスを出すかと思いきやコーナーから降りるという展開も。

 

おや、これは武藤の・・・ともあれそんな展開の中でも足攻めを徹底するが、遂に上谷がフェニックスを放つも、クリーンヒットとはならず返される。

 

その後も足4の字であわやの展開も。

武藤ばりの4の字の足攻め。

 

そしてラストは新技でフィニッシュとなった。

念願の白のベルトで、絶対王者となりつつあった上谷からの奪取、今後のハードルも上がりそうだが、まあ白川なら面白く回していくだろう。

 

次期挑戦者にはなつぽいを指名したようだが、テーマ性があるなら何よりだ。

 

年齢的に若くはないので、ひめかだけでなく自身の引退もそろそろ考える頃だろうから、ぜひ花を咲かせてほしいですね。

 

 

そして第7試合、ノンタイトルにも関わらずこの位置で組まれたのは朱里vs仙女の最強の資格、橋本千紘である。

 

先月の代々木で初めて見たが圧倒的すぎて。

 

ようやく雌雄を決する時が来たわけだ。

このラスボス感、貫禄が違うな。

 

この試合ではレスリングベースのパワーの橋本と、総合仕込みの朱里の打撃の攻防だろうと見ていたが、思った以上に全体に静かな展開が多かった。

 

しかし、要所要所で光るのはやはり橋本、滑るようにバックを取りにいく展開はさすがに痺れたな。

一方の朱里もさすが。

 

これまでの他の選手とはやっぱり基本が違う。

 

アイドル団体となりつつあるスターダムにあって、この試合をあえて見せるあたりが経営のバランス感覚だろう。

 

終盤は徐々に朱里が追い詰めるような展開になるが、橋下がベイダーハンマーをぶん回す。

 

その説得力たるや。

橋本の必死さも見えて素晴らしい。

 

あわやダブルノックアウトかという場面もあったが、最後は朱里のハイキックによるKOとなった。

 

なかなか痺れる展開満載で、非常によかったね。

 

ちょっと朱里が強引に持っていくところもあって気になったが、ともあれ緊張感のある試合だったね。

 

試合後は今後を匂わせるマイクも。

里村のころから交流のある2団体なので、いい関係が続くといいよね。

 

 

セミファイナルは岩谷vsモネの女子IWGP戦、初代トーナメントで決勝まで行きつつもカイリに負けて逃したベルトだが、ここに来て再挑戦だ。

 

正直この段階で何かを察するが、私としてはモネはちゃんと試合を見たことがなかったのでちょっと楽しみだった。

 

しかし、すごい髪だ。

試合自体は面白く、モネもアメリカンスタイルかと思いきや動きもいいし正確、やっぱりWWEでトップになった選手は伊達ではない。

 

あそこまでのハードヒットは多分想定外だったんじゃないかとも思うけど、しかしプロだったな。

 

試合は岩谷の勝利となったが、なんか私はちょっと切なかったね。

 

セコンドも誰もいない、試合後もダメージがあるだろうに誰も氷嚢すら持ってこない。

 

対する岩谷はいつものようにスターズのメンバー総出でロープを下げたりしている。

 

試合後、一度バックに戻ったモネを呼び出してそれなりに演出して見せるが、それが終わると再びリングを去るモネに目配せもしない。

 

外からリングを見ながら退場するモネに一瞥もくれないのはなんだかなと思った。

 

アイコンは結構だが、何か大事なものを無くしてはいないかと思ってしまった。

 

後味はあんまり良くなかったな。

 

モネはプロだった。

 

 

そしてメインはジュリアvsたむ、正直戦前は微妙じゃねぇかと思ったが、試合自体はさすがに良かったね。

 

入場衣装はお互い新コスだったが、なんかビックリマンみたいだったな。

ずっとジュリアを見続けるたむよ。

 

リング外のあれこれが微妙すぎてつい忘れがちになるが、試合自体はたむはいいんだよね。

 

ある意味では一番プロかもしんない。

 

対するジュリアはちょっと違う視点で見ているので、ベルト云々とは違う次元にきている。

 

ある意味では鈴木みのるのように、ベルトに問われない存在感になってきているからね。

 

それはともかく、試合はハードヒットの応酬、場外でもやり合いながらテーブルへのクラッシュももはや通常の風景になってきている。

こうしたハイキックだけでなく、頭突きも頻繁に使っており、さすがにちょっと心配になる。

 

過激さを求めて安易な方向に流れてはいけない、といいつつ本人たちは必死だろうからな。

 

最後はどうなるかという展開が続くが、たむが垂直落下式のドライバーで勝利。

こうして持ち上げた状態で止められるのは、体幹がしっかりしている証拠だし、ちゃんとトレーニングしてパワーをつけている証拠である。

 

悲願のベルト奪取となった。

 

試合後は両者なかなか立ち上がれない状態が続くのだが、ベルト進呈にリングに上がったロッシーの他人事感が半端ない。

毎回のこの感じ、なんとかならんだろうか。

 

それはともかく、試合後のマイクでもしっかりジュリアが美味しいところを持って行ったのはさすがだ。

 

ようやく団体の頂点ベルトを得たたむは今後どうしていくのだろうか。

 

いずれにせよ、話題性に弱いと思われたメインをしっかり閉めた二人は、間違いなくスターダムのトップだろう。

 

 

正味5時間以上の長丁場となったが、テンポよく進んでいったので冗長さはなく、全体に楽しい興行でしたね。

 

ある程度のネームバリューのある選手はほぼほぼ上がってきているので、ここから選手のベースを上げながらどう成長していくかだ。

 

今後も選手の入れ替わりもあるだろうけど、粒は揃っているし、若手から中堅、ベテランもいて、世界的にアピールできる選手もいる。

 

今年がまた一つの勝負の年になるんじゃないかと勝手に思っているので、引き続き頑張ってほしいところである。

 

しかし、今日は全タイトルが移動しましたね。

プロレスはプロレスであってプロレス以外ではない

女子プロ界が揺れている。

 

大きな経営的バックを得たスターダムと東京女子だが、男子は雲泥の差を産んでしまっているが女子については存外そんなに差はないのではないかと思っている。

 

正直東京女子はほとんど観たことはないんだけど、この間の武藤の引退試合で出ていた6人は、いずれもいいものを持っていた。

 

初めて観たんだけど、正直驚いたし、私はいうてもアイドルレスラーな感じなんだろうと勝手に思っていたので、ちょっと反省したものだ。

 

スターダムは昔から割とよく観ているのでそれなりに把握しているつもりだが、若干違うベクトルが強くなっていないかと最近心配になっている。

 

 

それはともかく、そんなスターダムでも活躍しているのが元アクトレスの選手だ。

 

中野たむになつぽい、ひめか、月山など、立ち位置はそれぞれだけど結構存在感をしっかり出している。

 

他にも安納はアクトレスがここまで大きくなる原動力となった、立ち上げ当時からの所属でエースだった存在なので、団体として育成やスカウトの観点では非常に有力なのだろう。

 

最近では、元スターダムのGMだった風香がスーパーバイザー?に就任したとしてちょっと話題にもなった。

 

ただ、それ以上に話題になったのはある種の開き直りだろう。

 

今後プロレス団体ではなく、プロレスも生かしたエンタメになっていく、という方向性に舵を切ったのだ。

 

プロレスに批判的な人からすれば、何を今更という話かもしれないが、プロレスファンにとってはとてつもなく残念で悲しい発言だっただろう。

 

少なくとも私はそうだった。

 

別にサンタクロースを信じているようなわけではないが、それでもそれを団体が発信してしまうこと自体がおいおいおいおい!という話だ。

 

ただ、あえてそうした線引きをしたことは、アクトレスが少なくともプロレスというものに一定の敬意を持っていたということの証左でもあると思うから、なお複雑なのである。

 

元々アクター+プロレスという団体名が示すように、女優をやりながらプロレスをやるみたいなコンセプトから発生した団体なので、そういう意味では元の鞘に戻ったようなところもあるのである。

 

 

で、当時注目を集めたのは、その発信によりアクトレスに残るものもいれば飛び出すものもいて、所属選手がどちらを選ぶのかに注目していたのは団体のファンだけではなかったはずだ。

 

なぜなら、当時は他の団体にも出場していたし、そこで知ってその選手のファンになった人もたくさんいただろうから。

 

私は当時アイスリボンを割とよく観ていたので、そこに参戦していた青野未来という選手には注目していた。

 

とても可愛らしいビジュアルに反して、体は割と線も太く、使う技もパワフルだった。

 

初めて観た頃は新人の1人という感じだったけど、見るたびに試合は良くなっていくし、体つきを見ても下半身もしっかりしてきていたし、それに伴って技の説得力も増しいていたので、いい感じに成長してきていたから。

見よこのムチムチっぷり。

 

半端にやっていたらこうはならないし、タレント活動重視だったら線の細さを優先していただろう。

 

写真で見るとちょっと・・・という人もあるかもしれないが、実物は顔も小さくて本当に美人。

 

 

そんな彼女の選んだ道は、アクトレス残留だった。

 

元々グラビアアイドルやったり、タレント活動をやったりしていたようなので、ある意味では当然の選択だったかもしれない。

 

だけど、そこの線のそっち側にいってしまったんだと思うと、やっぱり切なかったな。

 

当然ながら他団体との接点もなくなってしまったので、私個人でも彼女の試合を見る機会がなくなってしまった。

 

 

そんな彼女がどうやらチャンピオンになったらしいのだけど、残念ながらだからどうしたとしか思えない。

 

団体のファンからすれば、ロングランの演劇を見ているようなものだろうからそれなりの感慨もあるのかもしれないが、ある程度は情報誌で見ている私からすれば、なんの感慨もないのだ。

 

これは普段プロレスを見ない人には「何が違うの?w」みたいな話かもしれないが、新しい人が団体のトップになるって、ただのストーリーとかそういう次元じゃなくて、ついにそこまで行ったのかとか、そんな選手が台頭してきたのかとか、ちょっと見方が違うんですよ。

 

それが昔から知っている選手だったりすると、そういう流れかとかいう感慨に繋がっていくんだけど、その理由ってやっぱりプロレスというジャンルの特異性なんだと思う。

 

 

でも、この団体にあっては青野がチャンピオンになることなんてまあそうだろうなという以外はないし、もしこれがプロレスだったらもっと違う受け取り方だっただろう。

 

だけど、はっきりそうでないと断言された団体においては、別にニュースにもならないし、ドラマのあらすじ紹介されているだけの感覚しかない。

 

多分選手は、いうても試合はそれなりに以上に痛い思いもして、歯食いしばってやったんだと思うけど、そうは見れないのよ。

 

だってそういうストーリーなんでしょ?ていう以外ないじゃない。

 

ここをグレーにしてくれるから面白いんであって、開き直っちゃダメなのよ。

 

WWEについて、パフォーマンスとしてはすごいけど私が夢中になれない一番の理由はそこなんですよ。

 

アクトレスは団体のコンセプト自体が元々女優志望の子を集めるところから始まっているから、所属選手に対してということも含めて事情があったんだろうけど、私はとてつもなく残念だったんだよね。

 

 

最近ではアイスリボンの朝陽が一応レンタル移籍という体裁でアクトレスへの参戦が発表されたが、これもある種のそうした背景をうつした現象なのかなと個人的には思っている。

 

プロレスを銘打っている限りは禁断と言えるアクトレスへの参戦を、所属時にも果たしているし、ちょっと精神的に不安定なところもあるようなので、そういう割り切りができなかったんだろうなと思う。

 

直近の試合後のコメントでも、もうアイスリボンでやり残したことはないです、と断言しており、レンタルのコメントじゃないのである。

 

色々考え始めるキャリアだろうから、まだまだこれからなので今は自分の思うようにやったらいいと思うけどね。

 

 

話を戻して青野だけど、顔に似合わずパワフルな技を使うし、顔をくちゃくちゃにしながら向かっていくような姿がすごくよかったのよ。

 

別にプロレスがビジュアルが全てではないけど、表に出る仕事である以上ビジュアルの良さは大きなアドバンテージだ。

 

いやほんと、期待していたんですよ、年齢も若いし、負けん気の強さが出ているような試合がよかったの。

 

アクトレスを見たことないからそこへの批判はできないけど、仮に試合自体がいいのなら、ならなぜプロレスをやらないのかと思ってしまうんですよ。

 

 

数年後にどうなるのかわからないが、今の経験も生きてくるような試合を見せてくれるような将来を期待していよう。

 

プロレスは人生だから。

底上げを狙うかスターダム -3.4代々木第二体育館大会

ブシロードが攻めている、と思っているのは私だけではないはず。

 

男子においては新日本プロレスで、女子においてはスターダムで、それぞれプロレス界の地図を書き換えようとしているのではないかと、そんな気がしている。

 

別途記事を書いているけど、先に開催されたオールスタージュニアフェスティバルでは、メジャー・インディ、新旧問わずさまざまな団体のさまざまな選手が一堂に会した見本市みたいな大会となった。

 

片やのスターダムも、昨年よりShowcaseやNew Bloodなどの新しい大会を開催し、そこでは他団体の選手も積極的に招いたり、試合形式もさまざまなチャレンジをしている。

 

おそらく新日本でやってきた反省を生かしつつ、特に男子以上にめんどくさいファンの多い女子なので、あえて色分けをすることでさまざま試しているんだろう。

 

そうした実績や、そこで受け入れられた選手を本線に出場させることで興行としての幅を広げつつ、一方で別ブランドはそれぞれにプレミアム感を出していく、そんな感じだろうか。

 

昨日の大会もタイトルマッチだけでなく、長らくやってきた3人タッグリーグ戦の決勝をおくなど、カードはかなり気合が入っていた。

 

またジュリアが今は団体の中心的なところにいることもあって、アイスリボンからの遺恨をことごとく精算させている。

 

先のすずとの一連は、本人同士の間で感情以外の蟠りもなかったし、元々人間関係があったので結果的に綺麗な形で終わったが、今回は雪妃の登場。

 

表立ってはわからなかった感情の蟠りが顕在化、それをあえてぶっ込んでくるような試合を出して、なかなかやってくれる。

 

私が一番アイスリボンを見ていた時期の主力選手がことごとく上がっているので、やっぱり見ちゃうよね。

 

また奈々江だけでなく、優宇のような巨体選手や、さらに橋本千紘も参戦。

 

かなり面白いカード満載となった。

 

ちなみに会場となった代々木体育館のすぐ近くでは、東京ガールズコレクションも開催されており、おしゃれでかわいい女の子たちがあちこちでうろうろしていた。

 

どっちも女の子が主役のイベントだ。

 

 

さて、すっかり当然の後継となった第0試合だが、なんと2試合も組まれていた。

 

入場時間の都合で一つ目は見られなかったが、0−2で詩美が登場。

 

まじか、選手層の厚さ、というか今の団体のトレンドを反映しているようだ。

 

 

そんなわけで始まったわけだが、第1試合は6人タッグDDMの桜井・テクラ・舞華vsコズエンの派生ユニット、白川・マライア・月山組である。

怪我から復帰して以降、独自路線もしっかりと歩み始め、次の主力群の1人になっている。

 

今は月山のメンターにもなっているが、待ち望まれているのはシングルベルトの戴冠である。

 

ともあれ、最近では月山の活躍の方が注目だが、この試合でもそれぞれ何を見せるかだ。

 

ただ、個人的にはやはりテクラが好きですね。

 

彼女はいいレスラーだ。

 

動きはいいし、ユーモアはあるし、テクニックはピカイチだ。

 

SWAの戴冠こそあったが、それ以外は目立った活躍がないのが非常に残念だが、本当ならハイスピードあたりでもっと存在感を出していてもなんた不思議のないレスラーだ。

 

月山も頑張っているし、実力的に他の選手にそこまで劣るわけではないんだけどね。

 

他方で桜井はDDMに入って本当に良かったよね。

 

色々言われたらしいが、自分なりのフィニッシュフォールドで今日も決めた。

 

あとでもう1度書くと思うけど、スターダムのファンは残念なファンが多い。

 

本来的に彼女たちがリーチしたいであろう層にはリーチできていないなとつくづく感じるが、黙って金だけ払ってろと思うよな。

 

 

続く第2試合もタッグ戦、10人タッグというボリューミーな人員だが、大江戸隊vsスターズだ。

 

岩谷はすっかりトップ戦線よりもこうしたカードで悠々やっているような印象だが、しかしスタイルはいいし、動きもなんだかんだ頭ひとつ抜き出ているんだよな。

 

なんか勿体無い。

 

また個人的にはやっぱり渡辺桃はもっと貪欲にトップに行ってほしい。

試合はタッグらしく、コグマとナツコのコミカル展開に始まり、忙しく展開しながら最後はフキゲンがこももを丸めて勝利。

 

今日はトピック多いからね。

 

 

第3試合から、長らく続いていた6人タッグリーグの準決勝、2ブロック制の各組の試合となるのだけど、まずはコズエンvsGE。

 

コズエンもユニットとしては長いが、今回はたむ・なつぽい・SAKIというこれまでと違う顔合わせで臨んでいる。

 

対するGEは、稲葉を迎えたとはいえ実質3人体制のままだ。

結果はGEの勝利だったが、試合を決めたのは朱里だった。

 

試合中は壮麗が前に出る場面も多かったのだけど、正直いって厳しかった。

 

一応フューチャーのベルトを持っているし、体格もあるしパワーもある。

 

だけどプロレスが全然できていない。

 

スターダム移籍時点ですごい選手が来たみたいなリアクションも散見されたけど、私は今のところ新人何年目以上の選手以外には見えていない。

 

女子にあってパワーがあるというだけで、もう少しちゃんと基礎的なことやらせた方がいいだろうと。

 

今はMIRAIと2人のコンビで押し出そうとしているのだと思うけど、MIRAIもシンデレラで優勝したとはいえ、長い試合になるとやっぱり細かなところで粗が出てしまう。

 

まだ若いから、もう少しじっくり育ててあげてもいいのではないかと思ってしまう。

 

 

続くはもう一つのブロック、高橋奈七永率いる重量タッグチーム・7UPvsプロミネンスだ。

 

先の5スターですっかりスターダムに受け入れられたプロミネンスだが、くるみはまだその存在感を示しきれていないという印象だった。

 

かつては世羅、すずよりも化け物的な存在感を放っていたが、元々の性格か怪我の影響か、ちょっとおとなしくしてしまっていたのが口惜しい存在だったが、この試合ではその存在感をバッチリ発揮した。

 

体格的に張れるのもこの子だけだしな。

しかし、優宇もでかいな。

 

あとでも書くが、ここ最近は外からの選手、プロミネンスもそうだけどただのアイドルじゃなく実力者で体格的にもスターダムになかなかいない層を積極的にぶちこんでいるのは、ブランドチェンジを狙っているのかなと。

 

ともあれ、試合はすずが水森を仕留める形でプロミネンスが勝利。

 

順当と言えば順当な結果か。

 

それにしても奈七永はほんと元気よな、すごい。

 

試合後に決勝で当たるGEが登場、するも暗がりにいるのでどこで声がしているかわからない状態。

 

「ここだよ〜〜〜」と叫ぶ朱里が絶妙に緩い。

 

アイスリボンの頃から交流もあるので、その空気感もあったのだろう。

 

プロミネンスも参戦当初は挑発的でヒール的な立ち回りをしていたが、元々そんなキャラではないからね。

 

自然にそれが出てきているのは嬉しいところだ。

 

そんな不思議なやりとりで、決勝ではアーティストのベルトもかけることに。

 

初の6人タッグ決勝にはスターダム生え抜きはゼロ、ましてアーティスト自体のあり方も見直しているのだろうか。

 

 

続くは引退ロードに入ったひめかの希望により決まった橋本千紘とのシングル。

この選手はあちこちで評判だし、なんといってもあの里村の薫陶を受けた上、元オリンピック候補選手、体格もガッチリしているのでまさに最強の外敵である。

 

対するひめかも体が大きいので、団体内ではパワーファイターとして存在感を出しているけど、結論から言えば何もできなかったという印象。

 

とにかく橋本の存在感、技ひとつひとつの説得力、何から何まで格が違いすぎる。

 

団体随一の人気選手なので、試合結果でも惜敗とか、コメントでも評価の声が多かったし、なんなら橋本が相手を活かせないというコメントもあった。

 

他の試合を見たことがないのでなんとも言えないけど、さすがにあれでは受けるにしても難しいだろう。

 

あからさまになりすぎてしまうから。

 

ひめかが本当にもっと思い切りぶつかっていくような展開ならもう少し違ったと思うけど、やっぱりその根っこが出てしまっている感じがあって、本当に勿体無いよな。

 

結局ほとんど息切れもせず、最後はアンクルホールドでのギブアップであった。

 

質の違う強さをしっかり見せてくれるあたり、これがプロレスラーだよなと久しぶりに感じた選手だった。

 

アイドル出身でもなんでもいいけど、本質的にいわゆるアイドルとの違いは戦いが前提であるかどうかだ。

 

あえてこういう選手をぶっ込んでくるのも、先にも書いたスターダムがこれから本当の意味でプロレスファンを獲得するための土壌づくりのためかなと思う。

 

次はついに朱里との一戦になるのだけど、これは観たいな。

 

 

ここからはシングルベルト3連戦、いずれも好カードが並んでいる。

 

まずはワンダー戦、先ごろ最多防衛記録を更新した上谷に対するは葉月。

 

すっかり職人レスラーのような存在となっているが、ファンからすれば満を持してというところもあるだろう。

 

デビュー当時から考えると、本当に色気のあるいいレスラーになったと思う。

最近ではコーチとしても重宝されているようであるが、やっぱりシングルプレイヤーとしての証もほしい。

 

対する上谷は絶対王者感も出てきており、正直外の選手とやる以外そろそろ厳しいんじゃないかというところにきている。

 

試合は葉月のうまさが際立つ内容だった。

 

ひとつ前の橋本の存在感はある種絶対的なところがあるけど、そうはいってもプロレスはそれだけではない凄さもあるわけで、AZMと葉月はそうしたものを持っている選手だと思っている。

 

対する上谷はスターというか、持って生まれた華やかさと身体能力の高さで橋本とは違う類だけど化け物の選手だ。

 

この手の選手を破るなら葉月みたいなタイプだろうなと期待していたが、結果は防衛となった。

 

ただ、気になったのは最後の方でファイヤーバードでキメに行ったがキックアウトした場面。

 

上谷がリアルに戸惑っている印象だったが、その後スタークラッシャー連発で仕留めるという、らしくない展開となった。

 

多分だけど、葉月としてはフェニックスでキメにこいと示したのかなと思ったが、実際どうだろうな。

 

試合後しばらく2人とも立てず、上谷も揚々立ち上がったくらいだったが、しばらくしたらマイクもしっかり喋っていたので、さすがだなと思った。

次は横浜で、因縁となったちゃんみなとの再戦が決まった。

 

フェニックスは放てるか、それが焦点になっている印象だが果たして。

 

 

続くはAZMとスタラキのハイスピード戦、キッズ時代からのライバル関係の2人で、背丈も近いから噛み合っている。

 

ただ、個人的にはAZMの方が団体全体においてもレスラーとしては頭ひとつ突き抜けていると思っているので、ぜひ次のステップに進んでほしいと思っている。

スタラキも以前と比べればすごく良くなったし、動きも正確でレスラーとしてレベルアップはしているし、努力の賜物と感じるんだが、ここからさらに突き抜けるためにどうするかというところに差し掛かっている印象である。

 

機動力満載のハイスピードらしい展開に始まりつつ、試合全体としてもハイレベルだった。

 

途中AZMが場外へ飛んだ際に足を痛めたようで、ちょっと不安な展開もあったものの、最後はしっかりと締めたのはさすがだったね。

 

これで2人のハイスピードは一旦区切りと宣言しており、AZMは女子IWGPへの挑戦も見えている状況だ。

 

この日は次期挑戦について何もなかったが、どうせなら別の方向へ向いていってほしいところだ。

 

世界的に観てもここまで動ける選手は少ないし、プロレス頭がずば抜けているので、世界にアピールしてほしい存在である。

 

 

そしてセミファイナルはこんなに早く実現するとは思っていなかったジュリアvs雪妃のワールド戦。

 

急転直下で決まったような印象だが、先にすずとの蟠りを解消したところ、実はもっと根深い確執のあった2人の試合、成り立つのか?というのが多くのファンが思ったところだろう。

恒例の記念撮影前の風景だが、この後まさかのジュリア側がベルトで殴打して奇襲を仕掛ける。

 

そのまま場外に雪崩れ込み、ほとんど乱闘みたいな試合展開が続く。

 

しかし修羅場の数なら雪妃も負けていない、一番勢いのあった頃のアイスリボンでベルトを巻いたり選手会長をしたり、尾崎に見染められてやっているのは伊達じゃない。

 

しっかりと返していく。

 

リング上でもかなりハードヒットな撃ち合いをやるなど、感情ものせまくりだ。

もともとスポーツエリートでもないし、激しい展開を得意とするタイプでもないので、要所要所でジュリアに押される展開はあるものの、ちゃんと受けるところは受けつつ返すところは返していくから、選手としての底力は示していたよな。

 

間の取り方などは、雪妃の方が絶妙だったね。

場外では久しぶりに観客席に投げ飛ばすような展開もあって、声出しもOKになっていたのでコロナ前に振り戻してやろうという意思も見えた展開だった。

 

またジュリアが入場時に机を持ってきたのだけど、期待通り場外で机上パイルドライバーをかます

 

一方の雪妃も別テーブルでタイガードライバーかますと、ジュリアの背中から血が出ていたね。

喧嘩マッチのような展開ではあったけど、なんだかんだ2人ともちゃんとプロレスラーである。

 

最後は両者リングアウトで引き分け防衛となったので、どちらかと言えば批判的な声も多かったし、特に雪妃に対して否定的なコメントも多かったけど、会場の空気はそんな否定的なものではなく、むしろすずの時と同様雪妃も受け入れ体制に入っているような感じだった。

 

試合後にもマイクの応酬があり、あわや延長線もありかと思ったがさすがにそれはないものの、継続参戦をしっかり匂わせつつ、雪妃もジュリアの決め台詞をぶっこむなどこの2人の試合としてはいい感じの終わり方をしたと思う。

 

決着つけるには早すぎる、一度感情を全てぶつけるような試合になったので、とてもよかったよ。

 

すぐの再戦はないと思うけど、次はいつやっても違った展開で盛り上がるだろう。

 

ジュリアはその辺の持っていき方が本当に秀逸だし、雪妃もその辺りのバランス感覚が素晴らしい。

 

バクステコメントでも、2人ともまずは感情的な蟠りは多少なりとも解けたようだし、次に試合をすることになったらいい距離感の試合ができるなじゃないかという感じだね。

 

なんだかんだ雪妃もジュリアのことは評価しているし、ジュリアも雪妃のことを認めているところもあるのをそれぞれが自覚しているから。

 

雪妃の嫌い同士の両思いという言葉がまさに言い得て妙だろう。

 

こうやって長い目で見るといろんなことが交錯していくのが、まさにプロレスであるよね。

 

 

そしてラストはトライアングル戦の決勝戦、GE vs プロミネンスだ。

 

正直6人タッグは団体内ではチャンスベルトの一つということもあろうが、初代の優勝者に生え抜きを置かないのもある種勝負に出ていていいよね。

 

それに、他の試合でもそうだけどこうして外から実力者が参戦してくると、どうしたってレベルの違いを思い知らされる場面も出てくるだろうし、逆にトップ選手がなぜトップなのかということも見えてくるから、特に若手メンバーにとっては大きなきっかけにもなるだろう。

 

先にも書いたけどGEは朱里以外はほぼ新人と変わらない。

 

対するプロミネンスは全員チャンピオン経験者で、男子とも試合しているくらいだから経験値から何から圧倒的に違う。

 

そこで何を示すかだけど、結果としてはやはりプロミネンスの勝利で幕を閉じた。

 

ここでもMIRAI、壮麗を積極的に前に出しつつ、要所要所で朱里がフォローするような展開がしばしば見受けられた。

 

それこそカットのタイミング一つでも、いくべきかどうするべきかを壮麗がまごついている場面で、仕方なく飛び出るように朱里が入るところもあったしね。

6人タッグだと人数も多い分、テンポがすごく大事になると思うのだけど、そうしてわずかながら間延びするようなところもあって、彼女らにとってはいい経験になったんではないだろうか。

 

持って生まれた体格や華って、才能だからそれ自体は素晴らしいことなんだよね。

 

あとはそれをどう開花させるかだから、これからに期待ですかね。

 

その点MIRAIの方が、少し先を行っている印象はあるね。

 

かなり躍動しており、もう少し細かな展開もできるようになればもっとレベルアップできそうな期待感は十分である。

 

試合後はすずのキャラ全開の明るいマイクで締めとなった。

 

スターダムの選手はあんまりマイクをやらないし、喋るにしても人は限られている。

 

ある意味アスリート的な見せ方として観られているけど、そういう頭の使い方も大事であるので、その点ではすずにせよ世羅にせよ、やっぱり上手だよな。

 

終始笑顔で嬉しそうなのも印象的だったが、すっかりスターダムでの居場所は固めたようだ。

 

この辺りがプロレスファンのいいところだと思うが、まあそもそも批判的に観ていた人の方が少なかったのかもしれない。

 

多少なりとも広くプロレスを見ていれば、彼女らを知らないでいる方が難しいくらいの選手だからね。

 

それになんといっても実力があるからこそである。

 

こういう才能の実力もある選手がこういう大きな舞台できちんと輝いている姿っていうのはいいよね。

一昔前なら考えられないかもしれないが、これもブシロードが経営主体になっているからこそだろうと思う。

 

正直スターダムの選手はどの選手もハングリーさもあるし、必死さもあるからそれだけでも十分観ていて面白いのだけど、一方でこの路線が行きすぎると本来的な価値である強さみたいなものが薄れてくるし、本当にアイドルのサブジャンルみたいになってしまう。

 

所属選手を見ても、ちょっとベクトルの向かう方向が違うのでは?というところも出てくる。

 

実際ちょっとなりかけているし。

 

それはそれであり方としてなしではないし、それを振り切ったのがアクトレスだろう。

 

でも、ここ最近の動向を見ているとスターダムは男子でいうところのストロングなものもやっぱり持っていたいんだろうなという気はする。

 

だからこそ、あえて女子IWGPというベルトも作ったのだろうし、ただの世界戦略だけなら他にもやりようはあったはずだ。

 

また、再三書いているが朱里だったり橋本だったり、リアルに格闘技の実力者がいることでそこのバックグランドも参照点になることで、さらに多様性も出てくる。

 

それとは違う形で奈七永や優宇はプロレスラーならではの重みみたいなものを示す存在としているから、中にいる選手にはいいスパイスだろう。

 

所属選手は引き続きビジュアル先行なところもあるので、アイドルファン層にもしっかりリーチしていこうとしているようなあたりがちょっといやらしいが。

 

 

いずれにせよ、選手の数も充実してくる一方で、まだまだ女子プロ村から抜け出せていないので、そこを突破するための戦略をまさに打ち出したような感じかと思っているので、ぜひ頑張ってほしいところだ。

 

本来は女性ファンも獲得したいはずが、おっさんばかりの会場で、SNSでもとにかく褒め称えたり、やはり可愛い女の子を愛でるようなあり方を好むようなファンも多いので、それを覆していければ本当にもっと支持されるようになるのではという期待感は持てると思っている。

 

プロレスっていうコンテンツはまだまだ大きくできるはずだし、中途半端なリアルと呼ばれる格闘技よりよほどリアルなドキュメントでもあると思っているので、今後にも引き続き期待だ。

 

 

それにしても、男子では闘龍門、女子ではアイスリボンが、実は優秀な選手のファームになっているのが面白い。

 

今は妊娠休暇中の藤本つかさだが、仮に現役としては復帰しなくても裏方として、スカウターとして、ぜひ女子プロ界には関わってほしいよねと改めて思ったところだ。

最高です、オールスタージュニアフェスティバル2023

プロレスという競技ならではだなということを感じることがしばしばあるんだけど、そんなことの一つが3月1日に開催されたオールスタージュニアフェスティバルだ。

 

新日本プロレス高橋ヒロムが呼びかけたことで実現したわけだけど、普段見ないインディ団体から一昔前であればあり得ないであろう団体同士の交流があって、長く見ているファンにとっても最近見始めたファンにとってもとても面白いイベントだったんじゃないだろうか。

 

ヒロムは昔からジュニアを主役にすると言い続けていて、しかし年始のドーム大会はやはりヘビーの試合になるし、象徴と言われるのは常にヘビーの選手である。

 

ただ、ある意味それは歴史的経緯も含めて仕方ない部分もあるように思う。

 

非日常を見せるのがプロレスの魅力の一面だと思うが、普段なかなか出会うことのない馬鹿でかい奴らが凄まじいスピードとパワーでとんでもないことをやっているというのが面白かったり、驚きだったりするから、乗り越えることが不可能な特別感を持った人たちであることがプロレスラーの一つの条件みたいなものだったし。

 

実際、元を辿ればフィジカルで西欧人には敵わないと言われる日本人においては、大きいということ自体が特別な存在感につながるわけだし。

 

ジャイアント馬場はその名の通りでかいことが大きな強みだったわけだから。

 

しかし、やっぱり選手層でいえばジュニア(100kg以下)の方が圧倒的に多いし、上背や体重がないだけで身体能力バケモノみたいな人はかなりいる。

 

実際世界中で活躍している選手は、ジュニアクラスの選手がゴロゴロいる。

 

インディ団体と呼ばれる彼らも、元はと言えば体格的にどうしても受け入れられなかった人らが立ち上げたところが出発点だろうから、別にメジャーじゃないからと言ってレベルが低いわけではないわけだ。

 

実際今回こうしてジュニアをテーマに多くの団体が集まった時に明らかになったのは、闘龍門という団体の凄さである。

 

かつて逆輸入と言って持ち込まれたウルティモ・ドラゴンの立ち上げたこの団体は、システム含めて素晴らしいプロレスラー養成機関になっているということだろう。

 

今新日本でトップを張るオカダ・カズチカはじめ、鷹木、石森、解説席で名物になりつつあるミラノなんかは有名なところか。

 

メジャーと呼ばれるところもそうだし、今インディー各団体でトップを張るレスラーも闘龍門出身者が多い。

 

昔はほとんど外交をしない団体だったけど、最近はノアはじめ交流も増えているから、ますます存在感をましているだろう。

 

それはともかく、そんないろんな繋がりも見えてくるところもあって、とにかく面白かった。

 

スポット的なイベントなので、お祭りムードも強かったのでめちゃ良かったね。

 

新日本が主催という形なので、勝敗についてはまあ思うところはあるけど、プロレス界の底上げ、というよりは緩やかな統一を狙っているようにも感じるところだ。

 

女子ではスターダムがまさにそうなっているが、ブシロードの手腕なんだろうなと思う。

 

前置きが長くなってしまったけど、どの試合も見どころ満載だったので、ざっと振り返り。

 

本当なら会場でみたかったな。

 

 

今回第0試合があったのだが、こちらも事前発表なし。

 

新日本のYOHを含む6人タッグマッチだ。

 

私は他のレスラーは知らなかったが、そのうちの1人はバトラーツを名乗り、師匠はなんと澤宗紀

 

今は一般人になったが、たまにリングに上がっているが、それはともかくさすがの当たりの強い選手だ。

 

第0試合だが選手の熱量も高く、普通に第1試合でよくねぇか?と思いつつ、開始前の前座的に場をあっためるのは大事だよね。

 

最後はYOHが決めただけど、早々にテンションをぶち上げられる。

 

 

程なくして本戦開始。

 

今回試合順については非公開、始まるまでわからない方式をとっていたのだけど、第1試合、1人目に登場したのはなんと今回の首謀者、高橋ヒロムである。

 

6人タッグだが、先にノアでシングルをやったかつてのパートナー、AMAKUSAと先ごろ大病から復帰を果たしたみちのくプロレスのフジタJrハヤトだ。

 

対するは前段で一悶着あった後ラドンゲートのYAMATO、そしてNoahのHAYATAに大日本の橋本だ。

 

まさかYAMATOとヒロムのカードが見られるとは。

 

何気にHAYATAとのマッチアップもなかなかのレアである。

 

個人的には先のシングル後にタッグ組みそうとか思っていたAMAKUSAとは早々に組むし、フジタについては誌面でしかみたことなかったが、その生き様はこれぞプロレスラー、良くぞ生きて復帰したと思うよね。

 

試合は序盤からやっぱりみんなテンション全開、YAMATOとヒロムで始まったんだけど、新日しか観たことない人にはぜひ知ってほしいレスラーの1人がYAMATOだ。

 

昔にBOSJには出場したことがあったものの、だいぶ間が空いているので記憶にはないだろう。

 

2人が向かい合っているだけで嬉しくなってしまう。

 

またHAYATAも喋らないキャラなのにニヤニヤが止まらない感じがあって、そういうのはいいですよね。

 

そして橋本和樹は初めて観たが、当たりの強い選手だね、さすが大日本。

 

フジタとの絡みが多かったが、こちらも打撃主体の選手なので非常に噛み合っていてよかったね。

 

試合はフジタが橋本を倒して3カウント、試合時間はわずか9分未満と短かったので、やっぱり物足りない。

 

ちなみに、最後はヒロムが取るかと思ったが、ここは多分ヒロム自身の意思で何かしらあったのかなと思う。

 

以降の試合を見ても尚更ね。

 

ともあれ、これをきっかけに各団体の交流ができれば面白いよね。

 

ちなみに、解説にはフジタとも縁のある拳王がいたんだけど、普通にプロレスファンで笑った。

 

いいやつだよな、ほんとに。

 

 

第2試合はまた曲者揃い。

 

木高イサミ・MAO vs 怨霊・SHOのタッグマッチ。

 

すっかり子悪党が板についているが、この試合でもそれを発揮。

 

それはともかく、怨霊って初めてみたんだけど、また変わったレスラーだな。

 

自ら666を主催、女子プロ界でも出番の多くなっているラム会長もいる団体なんだけど、解説のミラノらもすっとぼけたことを言っているのが面白い。

 

体重が0kgと話したその後、どう展開しようか迷った挙句スルーするような展開も。

 

遊んでんじゃねぇよ。

 

ちなみに、解説席には元DGで、闘龍門時代はミラノとともにイタリアンコネクションとしても活動していた吉野正人の姿も。

 

彼は関西人だが、ミラノの暴れっぷりにやや驚いているように感じたのは気のせいか。

 

試合は案の定SHOがやられる展開だが、必殺のトーチャーツールも繰り出す。

 

しかし、相手には全身傷だらけの木高イサミ、そんなちゃちな工具など問題ではない。

 

試合後にハードコアを呼びかける場面もあったが、今後どうなっていくかだ。

 

とはいえ、SHOも体の仕上がりはさすがで、やっぱりそこはしっかりしているよなと思うよね。

 

 

続く第3試合は怪我で欠場中の大谷晋二郎応援試合という10人タッグ。

 

高岩、TAKA、田中稔、金丸、葛西のベテラン組とMUSASHILEONA、関札、北村、チチャリートという若手組だ。

 

ベテランチームは、新日時代のつながりとゼロワン時代の繋がりを中心としたタッグだ。

 

私が初めて生で観戦したのは、実は橋本真也ありし頃のゼロワンだった。

 

当時大谷はもちろん、高岩もいて、まだデスマッチをそれほどやっていなかった葛西もいたんですよね。

 

相手の若手は初めましてばかりだったけど、正直この試合はベテラン組にどうしても目がいってしまう。

 

高岩とかめちゃくちゃ久しぶりに観たけど、本当にジュニアかと思うような分厚い体はそのままだけど、やはり肉体は年齢を感じたよな。

 

田中もコンディションのよさを感じたけど、やっぱり金丸がずば抜けて仕上がっている。

 

年齢的には少し若いかもしれないけど、さすがだよな。

 

最後は高岩が決めたんだけど、こういう試合もいいよね。

 

しかし、藤浪2世のLEONAを初めて観たが、肉体、技のキレ、動き、全てにおいて何も魅力を感じなかった。

 

親父の真似だけでどうにでもならんだろ。

 

一方で金丸との絡みが印象的だった関札という選手、よく動くし陽気でいい選手ですね。

 

大日本の選手らしいが、あの団体もデスマッチだけじゃなくてちゃんとストロングな選手も育てている。

 

ちなみにしっかり竹串刺されてたが。

 

 

続く第4試合はこの大会随一のスペクタクル、変態vs変態という異色の試合だった。

 

この試合が一番インディーっぽさ全開だったように思う。

 

鈴木みのるの店でも働く、実は元パンクラスの実力者でもある佐藤光留・田口・今成組と、サスケ・タイガースマスク・ばってん×ブラブラという字面から意味不明な集団だ。

 

サスケはすっかり宇宙人になっているし、佐藤チームは全員童貞を殺すニット(女性用)を着用、ばってんブラブラはディーノの友達か。

 

見た目的には唯一タイガースマスクがまともに見えるが、彼とて大阪プロレスだ。

 

試合はある意味ではこれぞプロレスならでは、子供が喜びそうなお下劣な内容だが、地方ではこういうのって大事だよねと思う試合だ。

 

普段新日本しか見ない人にはどう映ったのだろうか。

 

なぜかライガーが激推しのばってんだが、得意のギャグが空回り、そりゃ本人も困っただろうな。

 

途中から意味j不明な展開が続いたが、お祭りだからこそ成り立つカードだ。

 

でも、みんなちゃんと実力者なんだよな。

 

 

続く第5試合は3ウェイタッグ、先のファンタスティカマニア的なルチャの試合。

 

ボラドールJr・デスペ vs HANAOKA・DOUKI vs リンダマン・上野組だ。

 

HANAOKAさんは知らんかったが、メキシコが主戦場らしく、かつてDOUKIとタッグを組んでいたそうだ。

 

デスペもメキシコ遠征した際に絡みがあったようだ。

 

そしてリンダマンはDDTの上野とのタッグだが、ルチャらしく観客を巻き込んだ展開もあり、ストロングスタイルな展開もありと、バラエティに富んでいたね。

 

どのレスラーもプレイヤビリティに優れているから、そりゃ展開は安定するし、何よりもルチャモードなので硬軟自在だ。

 

ちなみに上野という選手も初めてみたけど、動きは流石に良かったね。

 

若いみたいだし、DDTもなんだかんだいい選手を育てているよな。

 

 

続く第6試合もメキシカンな感じで、全員マスクマンである。

 

個人的に一番嬉しかったのはドラゴン・キッドの参戦だ。

 

実は私がプロレスを観るようになったきっかけの1人が彼なのである。

 

確か関根さんだったと思うが、すごい団体があるみたいな感じで当時まだ闘龍門だった団体を紹介しつつ、その中のVTRで出てきたのがドラゴン・キッドだった。

 

その後深夜に博多スターレーン大会が何故か放送されてそれを録画して何度も見たんだよね。

 

その時からCIMAはもちろんいたし、ミラノ、吉野がイタリア人だった。

 

今は全日にいるTARUもいたし、逆にまだ鷹木らははるかデビュー前だ。

 

ちなみに、メインの試合のコールは当時既に地元の人気者だった博多華丸・大吉の大吉先生であったのだけど、めちゃ恐縮していたのが今でも強く印象に残っている。

 

キッドは身長が162くらいなのでかなり小型なんだけど、だからどうしても他団体との交流ってあんまりないんだが、こうして他の団体のファンの目に触れるのは嬉しいことだ。

 

メンバーはミスティコグルクンマスク・ビリーケンキッド・アレハンドロ vs ドラゴンキッド・BUSHI・ブラックめんそーれ・アトランティスだ。

 

さすが後楽園とあってインディまで目配せしたファンもたくさんいたようで、歓声も盛り上がっていてよかったね。

 

ちなみにミスティコも昔にノアかどこかに参戦していたのを一度見たことがあって、多分すげぇ奴が出てきたとまさに話題になっていた頃なんだと思うけど、当時と同じく独特のふわっとしたムーブがなんとも言えない存在感を放っている。

 

あれってどうなっているんだろうな。

 

空中戦が得意なメンバー満載なので、とにかく華やかで面白かったよね。

 

とはいえ試合時間も短いし、これだけ人数がいるとここの選手の見せ場がどうしても限られてしまうんだけど、ともあれ楽しい試合だったよね。

 

試合後に記念撮影しちゃうあたりがルチャリブレだ。

 

 

そして第7試合、これもまたシークレットカードだったんだけど、なんとCIMAが登場。

 

ミラノとは色々因縁もあり、なんならGLEATのメンバーとドラゴンゲートのメンバーが混じること自体なかなかの禁忌だと思うが、そこに首謀者CIMAだ。

 

相手の選手のことは知らなかったが、入場曲はなんとマグナムTOKYOも使っていた曲で、入場パフォーマンスはまんま使っている。

 

解説席にはミラノと吉野だ。

 

これがプロレスだよな。

 

相手の平田選手、どうやらサングラスをかけると曲が流れるということらしいが、なんと試合中CIMAもあの踊りを踊るという展開も。

 

最近でこそリング上で試合前にパフォーマンスをすること自体珍しくもないが、その先駆けがまさにマグナムTOKYOである。

 

先の深夜放送で初めて観た時も意味わからなかったものだ。

 

今何をしているんだろうか。

 

それはともかく、昔の遺恨が少しでも解けていくような瞬間っていうのは、なんかいいよね。

 

綺麗事ばかりじゃないけど、感情は既に落ちつている場合の方が多いだろうし、試合後にはミラノとも握手するシーンも。

 

体こそ流石にかつてのハリはなくなったけど、まだまだCIMAはCIMAだったね。

 

 

そしてセミファイナルの第8試合。

 

5WAYのシングル戦で、参加者は石森、YO-HEY、シュンスカ、ソベラーノ、そしてまさかのニンジャマックだ。

 

シュンはまだ緑色だった頃に見たことがあったくらいで、マスカレードを組んだと思ったらいつの間にかサイコパスになっていたが、見たいと思っていたレスラーの1人だったのでちょうどよいと。

 

やっぱり動きはいいし、体もしっかりしている。

 

かつては小柄な選手が中心だったドラゲーも結構体格的に見劣りしない選手が増えたよね。

 

またYO-HEYも何気に元ドラゲー出身らしい。

 

線の細さは気になるが、動きはなかなか面白いものをもっている。

 

とはいえ、この中でも石森の体の仕上がりはやっぱり際立っているよな。

 

石森に限らず、やっぱり新日本の選手は体の厚みから何からちょっと違う。

 

体つきが全てじゃないけど、大事な要素だからね。

 

毎度のことながら試合はあっという間に終わってしまうのだけど、ある意味この大会の狙いはバッチリ果たしているのかもしれない。

 

もっと見たいぞと思わせる選手満載だし、その印象をしっかり残していく。

 

 

そしてメインは発表カードの中では唯一のシングルマッチ、新日本のマスター・ワトvs全日本の青柳。

 

このカードは新日本にとって一番のメッセージだったろう。

 

団体の規模はともかく、いうても新日本プロレス全日本プロレスの2大看板はまだまだ根強い。

 

その両団体で、若手の期待株が彼らなのだろう。

 

ワトはさまざまな先輩選手がその身体能力も高く評価しているが、シングルベルトの戴冠はまだないし、新日本のファンからしても若手の有望株くらいの認識だろう。

 

一方の青柳は既にシングルベルト戴冠れきあり、ついこの間まさに新日本のタイガーマスクと戦っている。

 

選手層の厚さと言ってしまえばそれまでだが、それは実力とは必ずしもイコールではない。

 

問題はこの大舞台で何を見せるかだ。

 

試合は年齢も近いし、キャリアはワトが7年、青柳はまだ4年だそうだ。

 

これまでのお祭りムードとは打って変わって白熱とはまさにこのことか、といった意地の張り合い、技の応酬と、このイベントを締めくくるにはこれしかないよねという展開だった。

 

明らかに2人とも目が違ったしね。

 

ただ、スターダムにおけるNew Blood的な位置付けかなとちょっと思ったのは、次世代のエースをどうアピールしていくかという感じもあったことだ。

 

ベテラン勢も多く参戦する一方で、対抗戦には若手も多くいる。

 

試合自体は新日本の選手が締めるものが多かったけど、吉野が解説席にいるということでドラゲーへの目配せも見てとれる。

 

またレフェリーやリングアナもさまざまな団体から満遍なく選ばれており、この辺りもそうした各団体への配慮、もしくは新日本っぽさを少しでも薄くするという意図があったのかなと思う。

 

まあ、シンプルにお祭りムードを出すために、そこもバラエティを出したというのが主かもしれないが、プロレスにおけるレフェリーも、その団体らしさを構成する極めて重要な存在だからね。

 

ただ不正をしないかを裁く他の協議のレフェリーとは根本的に違うから。

 

ともあれ、試合はワトの勝利となり、試合後青柳は大の字でしばらく動けなかったが、最後は互いに拳を合わせたり言葉をかけたりと、長いこの先を期待させる感じだった。

 

最後は集合写真を撮って終わったのだけど、非常にいい大会だったね。

 

 

ちなみに、リングマットは特別仕様、急拵えで作ったような「ジュニア最高」とだけ書かれていて、意外なところで手作り感が出ている。

 

また中盤からはヒロム自ら解説席に座って喋っていたんだけど、終始他の選手をアピールするコメントを発していることからも、自分たちの次をどう作っていくかということを課題として見ていたんだろうね。

 

新日本でもここ何年もジュニアはヒロム、デスペ、石森が中心にいて、最近ようやくワトが頭角を表してきたようなところだ。

 

それに、他団体でもいい選手はたくさんいるし、特にメキシコでの経験も長いヒロムにしてみれば、もっといい選手いっぱいいるから、新日本の枠に囚われずにそいつらとやっていきたいという思いもあったのだろう。

 

この辺りはデスペも同じ問題意識だろうなというのは感じる。

 

ヒロムほどの大胆さはない分、SNSなどでは積極的に他団体の選手とやりとりするなど、彼なりに何か実現したい思いがあるんだろうなという感じはある。

 

 

今回は後楽園という規模感もあったとはいえ、平日大会がチケット即完。

 

ファンからすれば、もっと大きな会場で、土日開催であればもっと集客もできたのにと思うけど、熱量やハクをつけること、また大会の意義を考えるとこの規模感が良かったのかなとも思う。

 

今後も見たいイベントだけど、一方でこの勢揃いのラインナップでやるのは3年に1回くらいがいいかなと思う。

 

この大会きっかけに交流を持って、その流れをひとしきりやれば形になるもの、ならないものあるだろうが、選手の成長という観点でもそれを定点観測できそうだからね。

 

いずれにせよ定期開催してほしいし、かといってブランドにもしてほしい。

 

でも商業的なことだけじゃなくて本質的な底上げに繋げるような、長い目で見た展開を期待していきたいところだ。

 

最後に、主催者ヒロムの動画を紹介して。


www.youtube.com

最高でした。

LAST LOVE 武藤敬司引退 

遅ればせながら、武藤敬司引退試合を観に東京ドームへ行ってきた。

 

個人的な思い出としては、私は全日本の社長だった頃からの武藤しかしらない。

 

プロレスを観始めたのがちょうど其の時代だったんですね。

 

それこそ小島もいて、真田や征矢、カズ・ハヤシとか、諏訪魔が諏訪間だった時でしたね。

 

武藤と同じく引退となったNOSAWA論外も、なぜ論外になったのか、というところもよく覚えている。

 

私が初めて生で観た有名レスラーは、当時ZERO ONEだった橋本だった。

 

もう20年近く前になるけど、当時はまだ地方の体育館でも興行があって、選手入場の花道近くに駆け寄っては写真とったりハイタッチしたりできたんだよね。

 

そんな中で近くで観て驚いたレスらーの1人が武藤だった。

 

とにかくでかいなと思ったのだ。

 

身長もそもそも高いし、厚みもあって、これがプロレスラーかと思ったものだ。

 

三沢や小橋、もちろん橋本にも同じように感じたんだけど、こうして名前を列挙してみても、みんなもう現役ではないんだよな。

 

闘魂三銃士、四天王の最後の1人となった武藤もついに引退である。

 

というか、あのコンディションでよくやってたよなと思うよね。

 

年始の中邑vsムタも観に行ったけど、当たり前だが全盛期には及ばず、それでも存在自体がスターだからな。

 

最後の勇姿はやはり観ておきたい。

 

 

しかし、仕事の都合で開始時間には間に合わなかったので、せめて全日vsノアのタッグ戦、中嶋と宮原からは観たいと思って、幸い外出だったので帰りがけでそのままぶっちぎって会場へ駆けつけたら、まさに其の試合のゴングであった。

 

席はドームの割には割と近い席だったけど、リングまでは少し距離がある。

 

タッグマッチだったので、目の悪い私には少し観づらいところはあったけど、注目の中嶋・宮原のぶつかり合いはやはり目で追ってしまう。

 

かつて同じ健介オフィスでデビューして、その後袂を分つ感じになって、片や全日本のトップ選手、片やノアのトップ選手と、それぞれちゃんと立ち位置を持っている。

 

どっちもキャラ含めて全然違うしね。

 

フルフルでやり合ったわけでもなかったが、最後は拳王が青柳を仕留めて終わった。

 

相手はタッグチャンピオンなので、ぜひ次回は全日本に乗り込んでほしいものだ。

 

終了後、宮原は解説席にいた北宮にも絡んでいき、バックステージでも言及していた。

 

こういうアピール力っていうのは、本当にノアに足りないよね。

 

 

次は論外の引退試合、東京愚連隊として長らく共にいたMAZADAとのタッグで、相手は石森・外道だ。

 

外道はずっとインディ畑で一緒にやってきた仲間の1人だし、詳しく知らなかったが石森も論外とは浅からぬ間柄であるらしい。

 

しかし、試合は唐突に終わりをつげる。

 

突然リング上でひざまづいた論外が、何事か話しかけると、石森が急に涙ぐむような表情に。

 

そして必殺の体制に入る。

 

私はそこからクルリと丸め込むアクションかと思ったら、そのままブラッディ・クロスをくらい3カウントとなった。

 

場内が呆気に取られるとはまさにこのことで、えーーー!という驚きで溢れたんだけど、そのまま石森はかぶさるようにないており、大の字になる論外を観ながら外道がコールを煽る。

 

其の表情は寂しげだがどこか悔しいような感じもあって、こういうところにプロレスの人生を感じさせるよな。

 

外道に介抱されながら石森もリングをあとに。

 

しばらくして論外も立ち上がって、観客に頭を下げると退場していったのだけど、足取りは重く、片足を引き摺るようにしている。

 

テーピングをしているわけでもないので傍目には分かりにくいのだけど、コンディションは相当悪かったようだ。

 

それでも、自分の足でリングを降りて、これだけ大きな会場で引退を迎えられたのはいいプロレス人生の幕引きだろう。

 

 

そしてここからはシングル3連戦、ノアvs新日本の、ジュニア、ヘビー共にタイトルホルダー同志の戦いがあり、最後は武藤vs内藤だ。

 

まずはジュニアヘビーのチャンピオン対決、ヒロムと先頃キャラ変したAMAKUSAだ。

 

個人的にはあまり日本人にはWWE的なことって似合わないと思っているので、喋り方もなぜか時代劇風というか、無理しなくていいのにとか思ってしまう。

 

試合そのものはよかったんだけど、気になったのが同じジュニアなのにヒロムの方が明らかに厚みがあり、正直試合についても圧倒している印象だった。

 

試合前から、なんなら前の対抗戦の時からずっと海外遠征時代のマスクを持って煽ってきたわけで、それを試合中にも出して、途中でぽぉーんと放り投げると、しばらくしてそれをアマクサが拾う場面も。

 

まさか被るか?と思うも流石にそれはないが、それを無造作に捨てるのではなくリングの遠くまで思い切って投げ捨てた方が見栄えも良くてわかりやすかったのに。

 

最後はタイムボムで3カウントとなった。

 

試合後には握手をする場面もあったが、これを機にタッグを組むのも面白いかもしれないね。

 

かつてのタッグだった頃の2人は知らないが、そうして紡いでいくのがプロレスである。

 

 

そしてセミファイナル。

 

現役のチャンピオン同士のノンタイトル戦だが、満を持してというところと、やっぱりまだ早いんじゃないかという部分とちょっと複雑である。

 

試合前にはボイコット宣言もしたが、オカダ自らノアの大阪大会に乗り込んで奇襲を掛けるなど、話題をしっかり作っていく。

 

片や清宮はTwitterで挑発みたいなツイートを繰り返しているが、それじゃない感がすごかった。

 

そういうところだよ、清宮だけじゃなくてノアのダメなところは。

 

試合自体は、はっきり言ってオカダが負ける要素が見当たらないので、あとは清宮がどこまで食い下がれるかだけである。

 

なんとなくかつてのオカダのようなコスチュームに見えてしまうが、それはともかく入場時の会場の空気から既にオカダが勝っていたな。

 

そして、並ぶ姿を改めて見ると体格差もなかなかだ。

 

オカダは上背もあるがそんなに厚みのあるように見えないが、こうして並ぶとやはりそんなことはない。

 

むしろ清宮の細さがら際立ってしまう。

 

とはいえ動きは悪くないし、場外でオカダを投げて見せたりと、彼なりに気迫を感じるのは良いことだ。

 

なんとなくお坊ちゃんぽいというか、そんな印象がどうしても拭えないのは、以前なら三沢、今は武藤と、先達の技を借りてはそれっぽくやっているだけのように見えてしまうからだ。

 

技を受け継ぐとかオマージュするとか、それ自体はいいと思うけど、かと言って正式な後継者とかそういうのもなんか寒い。

 

まして永遠に彼には武藤殺法、三沢殺法と呼ばれるだけで、清宮殺法にはならない。

 

ちなみに、棚橋も昔はドラゴン殺法をやっていたが、いつしか自分なりのスタイルを身につけて今に至る。

 

プロレスファンはレスラーの生き様を試合を通して観ているので、誰かの真似をしているだけの人は魅力的でないのよね。

 

いい場面がなかったわけではないが、終始オカダの圧勝であった。

 

試合が終わるとリングで大の字の清宮を残して早々に引き上げていった。

 

まさかここまで新日本の勝ち越しという結末、しかし試合内容的にも納得せざるを得ないものであったね。

 

 

そしてラストはいよいよ武藤の引退試合だ。

ラストの入場シーンだ。

 

先に入場した内藤も、ガウンを脱ぐことなく待っている。

 

ともすれば脱いで待ってしまいそうだが、最後にあいたいするのだからちゃんと着飾っていないといけない。

 

それぞれコールが終わると、脱ぐのが長い内藤、目立ちたがりの武藤を待たせやがる。

 

直前に武藤は肉離れを起こしており、まともに試合ができるのかが危ぶまれる。

 

もはや会場全体の思いとしては、あのいつものお得意ムーブをかまして無事リングを降りてくれることを願うばかりだ。

 

たっぷりと間を取りながらお互いに詰め寄りつつ、いつもの動きも見せてくる。

 

武藤の代名詞である足4の字を内藤が決める場面もあり、観ているこちらがハラハラしてしまう。

苦悶に満ちる武藤だ。

 

試合中、STFにエメラルドフロージョンと、蝶野、三沢の得意技を繰り出し、終盤には袈裟斬りチョップも。

 

こういうのってあんまり武藤っぽくないなと思いつつ、試合前の煽り映像でも志半ばで命を落としたり、体がきかずにリングに上がれなくなってしまったりした同世代の想いを、どちらかといえばファンの側の想いを成仏させるためではあにかという感じだ。

 

なんどかムーンサルトをやろうとするシーンはあったが、果たされることはなかった。

 

最後にもう1回だけ観たいという思いと、でもやっぱり歩けなくなるような姿は観たくない。

 

そんな複雑さがずっと渦巻いていた。

 

最後は内藤のデスティーノで3カウントになったが、なんと25分を超える長丁場。

 

ラストへどう持っていくかを2人とも考えながらやっていたのはものすごく伝わってきたね。

 

武藤もそれほど動けるわけでもないので、よく展開させたね。

 

私は内藤ってあんまり好きではないんだけど、この試合はすごくよかったね。

 

終わった後は、ロスインゴの拳を合わせるポーズ。

何か喋るかどうかという感じはあったが、何も言わずリングを降りる。

 

うっすらと目に涙を浮かべているようにも見えたし、リングから降りてからも名残惜しいような空気をかく知れないあたりが内藤である。

 

彼が最初に好きになったレスラーが武藤というし、彼はなんだかんだ今でもプロレスファンのままなのが微笑ましいところである。

 

 

試合が終わると、マイクを持った武藤が唐突に、どうしてもやりたいことがあると言って呼び込んだのは蝶野だ。

 

解説席に座っていたところ、急に声をかけられてきょとんとする姿はサプライズ感満載だ。

杖をついて歩いていたので、足か腰も相当悪いのだろう。

 

それでもリングに上がると、ジャケットを脱いで武藤とロックアップだ。

 

こんな蝶野を観たのは何年ぶりであろう。

 

レフェリーは同じく招待席にいたタイガー服部だ。

 

武藤のデビュー戦は蝶野だったというから、最初の扉を開けた2人で最後のドアを閉める。

 

いいじゃないですか。

 

ケンカキックにSTFと得意技を出して、3カウントだ。

 

こうして一つの時代が幕をおろしたわけだ。

ここで古舘さんの口上を挟んで武藤退場。

 

今は10カウントとか流行らないんですね。

 

こうして武藤の引退試合は無事幕となった。

 

やはりプロレスラーはこうして無事にリングを降りてこそだ。

 

膝に不安の多かった武藤だがこうして自分の足で歩いて退場できたので何よりである。

 

この引退試合の相手は内藤でよかったよね。

 

 

大会としては大成功と言っていいだろう。

 

ただ、それはあくまで武藤の引退試合であって、ノアとしては課題ばかりだろうな。

 

ともあれ、良い大会であった。

 

引き続き長州とのタッグでテレビで頑張ってほしいところだ。