続・論理プロレス論考

観戦の感想、レスラー個々、そしてプロレスを見る私と、様々な角度からあれこれプロレスを語りたいブログ

定番化からの脱皮 -新日本プロレス1.4-1.5

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少し遅ればせながら、今週半ば開催となった恒例の新日本プロレス東京ドーム大会について。

今年も2 daysとなったのだが、ちょうど仕事始めと被るとおうこともあって集客は苦戦したようだ。

とはいえ試合内容自体は全体的に充実しており、さすがを見せつけたと言っていいだろう。

私もまだ全部見たわけではないが、その中でいくつかトピカルなことがあり、その辺りをピックアップして書いておこう。 

まずは柴田の復帰戦だ。

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件の大怪我からようやくリングに上がれるところまで回復したことは本当に喜ばしいことだ。

先日エキシビジョンでザックとレスリングはやったが、コスチュームでというとやはり違うからね。

元々はキャッチルールという独自形態での試合がリリースされていたが、直前に柴田がマイクでルール変更を宣言、通常のプロレスルールで行われることに。

相手は弟子の成田というまだ若手の選手だ。

どこまでできるのかというのが当然焦点となるのだけど、結論から言えばまだまだ全快とはいえないのかな、というのが正直なところだ。

動きはキレもあるし、ブランクもあるからそういった部分はあるけど、なんというか、柴田全開ではなかったなという印象だ。

まぁ、どちらかと言えば相手の成田の方が色々と大変だったろうなと思うが。

どこまでやっていいのか、本当にやっていいのかとか、考えるよね。

それでもよく頑張ったと思うが、まあゆっくりと調子を戻しながら、出来ることを頑張ってほしいよね。

個人的にはキャッチルールの渋くて緊張感のある試合もそれはそれで楽しみだったし、多分柴田ならかなりいい試合をできるスキルはあるので、これはこれでまたやってほしいな。

私はあのゴツッと頭をぶつける頭突きが、柴田以降男子でも女子でも蔓延しているのが見ていて不安なので、あんなことはもうしなくていい。

柴田ならその気迫だけで充分人を惹きつけられるから。

そしてもう一つはKENTAと棚橋のUSヘビー戦、No DQマッチとなり試合では凶器も使用可能ということでハードコアマッチであった。

KENTAも棚橋もそんなイメージはないので、なんで此の試合形式になったのか経緯をあまり見ていなかったが、多くのファン同様普通に2人の試合が見たかったのがまず一つ。

そして慣れない試合で無茶な道具を使ってので、結果的にKENTAは大怪我を負ってしまい1.8の対抗戦は欠場となってしまった。

一方の棚橋は目立った怪我もなかったので、やっぱり丈夫なんだろうなとか思ったが、それはともかく試合後のコメントである。

棚橋の虚しさしかないというのが非常に印象的で、いつも割と明るいコメントを残す彼なので、実に珍しいことである。

あまり多くは語られていないが、新日本が沈んでいた時に棚橋が必死になってこだわってきたのが、派手さと危険さを全面に出したエクストリームなスタイルの否定であったはずである。

まぁ、否定とまでは言わないかもしれないが、ともあれ賛否両論がある中で結果的にここまで大きくなるベースはその棚橋のこだわりだった。

だから老若男女に受け入れられてきた中で、今回の試合は自身が否定したスタイルだっただろう。

少なくとも棚橋が目指したものではない。

おそらく今回のドーム戦は、実際集客も2日目は6000人くらいだったようなので、目に見えて苦戦している。

それはハケ状況とタイミング的に早期に予期されていたはずなので、そこに話題性を持たせるためのものだったのかなと思うから、レスラーとしてはやるせなさがあるよな。

そんな棚橋のコメントに1番コアな反応を示したのは他ならぬKENTAであった。

そんなこと言うなよ、俺たちはプロレスをやった、お前はカッコよかったよと。

人をおちょくることが常のKENTAだが、彼は本当にプロのレスラーだ。

これらのコメントは、そんな中で2人の本音が垣間見えるようなところがあって、ちょっと切なくなる。

何年か前に、青木と桜庭が試合をした際、パウンドで血まみれになるまで桜庭を殴り続けた青木は試合後に涙したが、そんな彼に桜庭がかけた言葉は、これが俺らの仕事だがら、といったものだった。

そりゃそうだけど、ファンとしては観ていて切なさしかないコメントだった。

それに近いものを感じたのが今回の一連でしたね。

ちなみにこの日のメインはオスプレイとオカダのIWGPだったが、大きく報じられたのはオスプレイのヤグラからのムーンサルトであった。

棚橋の試合でも、彼がラダーのトップに登った絵だったのだけど、たしかに見栄えはするしシンプルにすごいなとは思ってしまうが、そんなことしなくても魅せられるんだからやんなくていいだろと、あぶないとしかおもえない。

オスプレイは終盤で頭突きしていたが、あれもいらない。

あれだけ身体能力を駆使した凄まじいことをする一方でそういうものもというのは分からんでもないが、そんな怪我のリスクが大きすぎるものはやらなくていい。

死んでほしくないんですよ。

他の格闘技で頭突きが認められているものはほとんどない。

少なくとも一定以上のメジャー競技では。

その理由は明確でしょう。

プロレスはルールがあってないようなところがあるので、時に行き過ぎてしまうところがあって、そういうのがいいんだという人も少なくはないと思うし、私もそのグレーゾーンを楽しんでいるのは事実だが、それがお約束になっていくのはやっぱり怖いよね。

そのほかの試合については、トピックだけ。

まず驚いたのはCIMAの登場だ。

昔はBOSJとかに出ていたが、最近は第一線ではなかったのでこうして大きな舞台に出てきたのはやはり嬉しいよね。

2日目も登場して、鈴木みのるや矢野なんかと絡んでいるのはなんか不思議な感じもしたね。

次にヒロムとデスペラードの試合だが、此の試合も良かつまたね。

デスペラードはコメントも含めて本当にいいレスラーだ。

そして鷹木、残念ながらベルトは落としてしまったが、いい試合でしたね。

彼らしさ全開で、ゴツゴツした中にちょっとユーモアも入れつつ、クールなイメージのオカダが熱っぽくなる瞬間を作り出したのもよかった。

またチャンピオンになってほしいよ。

2日目にはみんな第0試合なのはなんか切なかったが、まあ早い時間のサプライズとしては悪くないか。

そして今年はスターダムが第二試合で提供試合を行なったが、評判は上場のようだ。

まだまだ大会場での試合慣れはしてない印象もあったが、爪痕残してやるぜ!と言う気合がバシバシに感じられてるよかったね。

ある意味でまたマンネリ化しつつあると言われる頃だと思うが、いうても基本的なレベルは高いし、何より選手も胡座描いてないからいい試合になるよね。

でも、もっと選手の個人的な感情をバンバン出した方がやっぱり面白いよ。

これからまた出てくる選手とそうでない選手が分かれてきそうである。

今回の対抗戦でノアにもまた目が向いたり、いろんな団体がそれぞれの良さを出しながら、全体として盛り上がっていくといいですね。