昨日はプロレスファン大注目の新日本とノアの対抗戦であった。
両団体がこれまでも全く交流がなかったかといえばそんなことはないし、選手個々ではリングに立つことはあったので、ついに禁断の〜みたいな形ではないが、今回は全てのカードが対抗戦になっていたことがポイントだろう。
その中でこれまで接点のなかった選手同士のカードも生まれて、どうなるんだろうと興味を駆り立てられるわけだ。
また、長年見ているファンからすれば久しぶりの顔合わせであったり、そもそもレスラーもあちこち渡り歩いていることもよくあるので、久しぶりだななんて感慨というかノスタルジーというか、そんなものもあってワクワクしてしまう。
今回はチケットを取り損ねたので、初めてPPVで視聴。
第0試合からガッツリ見た。
全試合を振り返ると流石にしんどいので、ポイントだけいくつか。
まず興行としての観点だけど、全部良かった。
0試合の2つも合わせれば11試合とかだと思うが、見事に飽きなかったね。
これだけ試合数があればある程度ダレるものだが、それがなかった。
やっぱり初顔合わせも多かったから、単純にどうなるんだと気になるしね。
それに選手も気合満点だったので、そうしたものも見ていて面白かった、てかそれが一番なんだけどね。
というわけで個別だが、まずは第4試合で行われたデスペラード・DOUKI vs Yo-Hey・論外組。
いずれもルチャ的なベースの選手で、私は知らなかったがメキシコ時代にYo-Hey以外は縁があったそうだ。
デスペは新日本ジュニアのトップにおり、当然新日本ファンにとっては最注目の1人だろう。
対する論外は、割と昔から見ているプロレスファンならいろんな意味で有名な選手だが、その実力は世界のお墨付きである。
その中でDOUKIとYo-Heyがなかなか存在感も出していく。
こうして並ぶと体格さは同じジュニアなのにはっきりとある。
しかし、その分動きで見せていくのがインディ団体で鍛えてきた強みだろう。
私も今のノアはあんまり分からないので、Yo-Heyもどんな選手かわからなかったが、動きいいですね。
試合はデスペが論外を仕留める形であったが、試合後のコメントでデスペがYo-Heyの名前を出して次を要求。
対抗戦の場合、こうした試合後のコメントも含めて楽しみだし、何よりこれがワンタイムのお祭りになるのか、それとも次を紡いでいくのかがプロレスラーとしての資質にもなるだろう。
次は第7試合の、丸藤・小川vsザック・金丸のタッグ戦だが、これは実質ノアvsノアだ。
ザックの師匠はこの小川で、当時タッグパートナーだった。
小川はノアの古株で、全日時代から三沢のタッグパートナーとして、ジュニアながらヘヴィともやっていた異色の選手だ。
小橋らの四天王プロレスが全盛の中にあって、私は当初小川の試合を面白いと思わなかった。
しかし、ジュニアの試合がルチャ的な飛び技や派手さな展開がどんどんもてはやされるようになる中で、小川の試合はそれらと全く違う展開でかき回していくのが非常に面白かった。
多分誰にも真似ができないスタイルを持っているが、その遺伝子を受け継いだのが今新日本でまさに独自の技術で見せているザックなのだ。
せっかくならまさに新日本という選手とやって欲しかったが、逆にスイングしない可能性もあるので、これで良かったかもしれない。
試合自体はこれぞというところを見せながら、丸藤、金丸も流石の試合をする。
技術もあるし、センスもあるという4人組なので、そりゃ面白くもなるし、なにより懐かしかったよね。
私がプロレスを本格的に見始めた頃にバリバリやっていたメンバーなのでね。
こういう巡り合わせがあるのもプロレスの醍醐味である。
続く第7試合はロスインゴvs金剛のユニットマッチだ。
それぞれの団体で、ちゃんとユニットとしてまとまっている感がある同士なので、ちょっと似たところもある。
ただ、金剛の方が鼻息の荒さもあるのが団体としてのフェーズゆえというのもあるだろう。
内藤や鷹木と拳王や中嶋の絡みはいいし、何気にSANADAと征矢は元武藤全日本でデビューした同期だったり、さらに鷹木とタダスケも闘龍門同期であったりと、今の刺激だけでなく物語満載だ。
10人タッグなので一つ一つがスピード感早く過ぎてしまうのがちょっと惜しかったが、それでもやっぱり面白かったよね。
ラストは鷹木とタダスケ、見た目におちゃらけたタダスケだが、やっぱり元同期で、鷹木は期待の新人としてデビュー時から注目されていた。
その時彼はまだデビューできていなかったなかで、この大舞台での邂逅なのできもちを出していくのが熱かったね。
「負けるか!」と叫びながらロープに走る姿は、ベタだけといいよね。
それでも鷹木が貫禄勝ちといった感じだったけど、いい火種になったんじゃないかな。
試合後も拳王が内藤につかかっていっていたが、これからどうなるかである。
そしてメインは棚橋・オカダvs武藤・清宮という試合。
武藤は元新日本だったが、離れて久しい。
棚橋は武藤の付き人だったし、彼の一つのロールモデルになっているだろう。
そしてオカダは言わずもがな、棚橋とのタッグは新日本の試合ではなかなか見られないので、これ自体もレアだ。
ただ、この試合での注目点は一つで、清宮がどう存在感を示すかである。
なにせ3人はすでにスターだ。
その中でオカダはこれからまさに全盛を迎えるタイミングだ。
対する清宮は年齢も若いし、GHCを取っていたし、いっときはかなりプッシュもされていたがそれに潰されてしまったのかなというのが当時の印象だ。
今は色々ともがきながら、ようやくちょっと前に進み始めたかなというところかと思うが、そこでこのカードだ。
単純な身体能力であれば清宮も引けは全く取っていないし、若い分勢いは抜群だ。
でもそれだけじゃないのがプロレスの難しさだし面白いところだ。
試合の組み立てという言葉をよく使うのだけど、それが一番うまいのはやっぱり武藤である。
低空ドロップキック、ドラゴンスクリュー、フラッシングエルボー、足四の字、そしてシャイニングウィザードくらいしか技は使わない。
最近はSTFも使っているが、これだけコンパクトかつシンプルながら特徴だった技を持っているのもすごいよね。
その中で遮二無二走り回ったり、ドロップキックもかましてみたり、清宮もかなりいい動きを見せており、途中エルボー合戦でもオカダに引かずに打ち込んでいくなど、意地も見せた。
それでも最後はオカダの貫禄のレインメーカーで沈み、試合後に大泣き状態に。
それをみたオカダが「泣くんじゃねぇ!」と声を張り上げたのが実に印象的な場面だ。
試合後のコメントでも、オカダは終始辛辣で、もちろん本気なところもあるだろうし、なめんじゃねぇぞ若造、という思いもあったと思うけど、ここでなまじっかな賞賛コメントをしないのが、却って彼なりのエールなのだろうかと思ってしまうのは考えすぎだろうか。
そして、清宮は何が悔しかったのか、まあこの大きな大会で、このメンツの中でのメインという大役に対してのプレッシャーもあっただろうし、実力差をまざまざと見せれてしまった現実を味わったところもあっただろう。
引き上げる時には武藤に引っ張られながらだったが、これからだよね。
変に王子様キャラで、オカダ的なものを期待されているよりは、今のように泥臭く必死にやっている方がプロレスラーとして魅力的だ。
期待されているけどパッとしないよね、みたいな評価はもうこれからはないはずだ。
本当にまだまだ若い選手なので、これからに期待である。
冒頭にも書いたけど、言及しなかった試合も全部良かったし、バクステのコメントも見ていくと次がありそうだなと思えるものもたくさんありそうなので、今後に期待だ。
これが毎回、しょっちゅうやるようになるとそれは違うので、団体全部の対抗戦はもう当分やる必要はない。
でも、ここで生まれた火種は最大限生かして、また楽しませてほしいね。
良かった。