続・論理プロレス論考

観戦の感想、レスラー個々、そしてプロレスを見る私と、様々な角度からあれこれプロレスを語りたいブログ

期待するものの違い −ノアの元旦興行

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昨日は昨年に引き続きノアの元旦武道館へ。

 

結局昨年はノアはこの一回しか観なかったな。

 

今年は何と言ってもムタの引退を飾る一戦として中邑が参戦するという。

 

今やアメリカでもスーパースター、あのWWEが現役の選手を貸し出すこと自体が極めて異例だが、ムタも世界的スターですでにレジェンドだ。

 

だからこそというのはあったろうが、いずれにせよすごいことである。

 

それにしても、まさかこの2人のカードを観るのが海外でも新日でもなくノアというのがなんか不思議だ。

 

また久しぶりに丸藤KENTAのタッグが復活、唐突感は否めないが、ちょうどその頃に観ていたファンとしてはやっぱり嬉しくなっちゃうよね。

 

相手は杉浦と小島だ。

 

このタッグもまた絶妙で、みんな私にとってもあの頃の選手たちなのよ。

 

みんな現役なのが嬉しいね。

 

ちなみに今回はダブルメインと銘打たれてもう1試合、拳王と清宮のGHC戦もあったわけだが、こちらは実質セミファイナルだ。

 

そこで何を見せるかである。

 

そんな期待値もあって、客席は二階席奥までかなり埋まっており、昨年からは大きく集客を上げていた。

 

まぁ、中邑まで招集して集まらないならいよいよという話になるが、まずは面目は保った格好だ。

 

それにしても、我ながら嫌なファンである。

 

 

さて、せっかくなので第一試合から観たんだけど、相変わらず思うのはステージにでっかいネオンで飾るのはいいんだけど、もう少し観客ライクなステージ作りにはしてもらえないかと。

 

まず大会場なのになぜか一階に設置された微妙なサイズのモニターがあるだけで、遠くから見るとリングとさして変わらない大きさでしか観られない有様。

 

また、せっかくでかいスピーカーもあるのにリングの音は拾わないのでどうしても臨場感が弱い。

 

そんなに派手な飾りはなくていいんどけど、そういう温度感を上げる演習はもっとやってほしいところだ。

 

 

さて、試合についてだが、印象に残ったものだけをいくつか。

 

まずは第4試合の6人タッグ、最近業務提携しているドラゲーチームで、しかもかつてのM2Kを準えたM3K、モッチーの息子も参加しているユニットだ。

 

K-ness引退後に名前を横須賀から望月に戻した享だが、ドラゲー自体関東では平日の試合ばかりなので、なかなか見る機会がないのでこういうところでも見られるのは嬉しいところだ。

 

対するはドクトルJrと吉岡と小峠だ。

 

私の中で一番よくわからないのが小峠だが、この試合でもさして印象には残っていない。

 

この試合はドラゲーっぽいテンポ感溢れる展開と、望月jrを中心とする展開をうまく回しており、ドラゲー感満載の空間であった。

 

世の中的にはハンパになりやすい2世レスラーモッチーjrも思ったよりずっとよかったし、少なくとも力とかレオンにはならなそうでよかった。

 

まあ、まだまだこれからだろうけど、期待するには十分だろう。

 

それにしても、吉岡は肉体面でもプロレス面でもいいものを持っていると思うけど、なんか主役にはなれないおとなしさみたいなものがあって、ちょっともったいないな。

 

 

つづくは8人タッグ、船木、中嶋がここで登場するあたりにちょっとびっくりしたが、対するは藤田、カシン、論外にXだ。

 

一体誰だ?とざわめきたったのだが、なんと登場したのは馳浩

 

まだ現役だったのか、この元文部科学大臣で現役の都知事は。

 

しかもしっかり動いている。

 

もちろんスーパー現役の選手ほどではないにしろ、存在感としっかりと期待には応えるあたりはやっぱりプロだよ。

 

最後しっかり試合まで決めていやがる。

 

現役都知事でここまでやっている人、後にも先にもこの人だけだろうな。

 

すごいよな、ほんと。

 

それにしても、ノアがこうしたベテランの受け皿になっているあたりに謎の感慨を覚えるが、一方で最前線になれない一因じゃないかと思わないでもないが、まあいいだろう。

 

 

そして丸藤・KENTA vs 小島・杉浦のGHCベルト戦。

 

一年の軸になる大会でのタイトルマッチがこんなお祭りカードでいいのかと普段見ないやつでも思ってしまうのだけど、コアなノアファンはこれで納得しているのだろうか。

 

いくらKENTAがかつてのエースだとしても、1年に1回だけの参戦の選手だぞ、これでいいのかと。

 

まあ、小島もそもそも新日本の選手なんだけど、すっかりノアファンには受け入れられている。

 

私にとってはあの頃のノアであって、あの頃の三冠チャンピオンだから要するにテンション上がるんだけど、試合はやはりベテランのそれではある。

 

この中でのチャンピオンチームのコンディションの良さはやっぱりすごいよね。

 

丸藤は不知火もなんか完全じゃないかんじだったし、コンディションはイマイチだったのかな。

 

KENTAは今のスタイルではある意味完成させつつあるので、流石の安定感か。

 

結果はまあそうだろうなと思うところだったけど、丸藤KENTAにはもっと頑張ってほしいところなのよ。

 

私にとってのスターなのよ、この4人はさ。

 

 

セミファイナルはGHCジュニアのタッグ。

 

チャンピオンはKzy・Yo-Heyドラゲー先輩後半タッグ、対するは小川・Eitaというこれまたドラゲー関連。

 

やっぱりジュニアにあってドラゲーのレベルの高さは認めざるを得ない。

 

私は昔は小川のスタイルってわかんなかったの。

 

だけど、ある時にふとその面白さに気づいてしまってから遅ればせながら小川好きなんだけど、やっていることはずっと変わらない。

 

にもかかわらず、今もちゃんと存在感を示せるということは、誰も真似できないということである。

 

できるとしたら、かつての弟子であるザックだけだ。

 

対するKzyもYo-Heyも、全然悪くない。

 

さすがとしかいえない。

 

Eitaもそう。

 

全体としてレベルが高かったのはこの試合だったんじゃないかと思う。

 

最後はチャンピオンチームが負けてタイトル移動になったが、格は別にしてここに組み込まれた気概は示したのではないだろうか。

 

いい試合でした。

 

 

そして実質的なセミファイナル、GHC戦は拳王vs清宮だ。

 

ノア的にはこのカードを黄金カードにしたいのだろうが、私としてはちょっと微妙だ。

 

拳王はすごいいいレスラーだ。

 

めちゃくちゃ頑張っているし、あと身長が10cmあればと本当に思う。

 

他方の清宮、見た目も年齢も身体能力も、スターの素養はあるにもかかわらず突き抜けない。

 

いいものは持っているし、どう考えてもこいつしかいない。

 

だけど、どうも突き抜けない。

 

1年前の新日本との対抗戦以来、どう成長したんだと思ったけど、相変わらずから回っている。

 

変わってないじゃないか。

 

拳王はある意味でちょっと限界を迎えている気がする。

 

あとは清宮を押し上げるまで、どれだけ頑張るかという感じもあって、見ていてちょっと切ない。

 

武藤の引退に伴って技を継承して、それを自分なりにアレンジしているらしいが、そういうことじゃない。

 

継承しちゃダメなんだ、お前はお前のオリジナルをやらないと、突き抜けることはできない。

 

今日怪我のため参戦していない塩崎と同じ道を辿っちゃダメだ。

 

結果は清宮が勝ったが、このままじゃダメだ。

 

危ない技をやったとかそういうレベルの話じゃない。

 

こっちがみたいのはサーカスじゃなくてお前の生き様だよ。

 

不恰好でもいいから、それを示してほしいのよ。

 

私は若いやつが好きだから、清宮マジで頑張れって思っているんだよ。

 

お前がやらなかったら誰がいるんだって。

 

武藤の技なんて捨てちまえ、そんなことやっていたっていつまでも武藤は超えられない。

 

その限りにおいては、本当のスターにはなれない。

 

清宮、本当にそれだけだよ。

 

素質はある、才能もある、能力もある、引き継いじゃダメだ、プロレスラーなんだからさ。

 

演芸じゃないんだから、本当にさ、それだけなんだと思う。

 

 

そしてメインはムタvs中邑だ。

今や世界的スーパースターとなった中邑だが、あの低迷期から見ている身としてはなかなかにつまされるところもある。

 

総合格闘技にも取り組んで、一番新日本プロレスっぽかったレスラーが、イヤオーー!とかいっているのだ。

 

ある意味一番新日本らしいレスラーのままWWEで成功しているのだから、すごいよなほんと。

 

対するムタは言わずとしれた世界のスーパースター。

 

この2人がまさかノアで試合するとはね。

 

何が起こるかわからない。

この入場シーンももう何度もあるわけでない。

 

私は、正直そこまでムタには思い入れはないし、私はこの後にファンになったから、どっちかといえば中邑の方が思い入れがある。

 

若手の時から知っているからね。

すごい衣装だ。

 

この2人の試合にはああだこうだいうのはナンセンスだ。

 

ある意味では日本的なプロレスを体現した2人のザ・プロレスを試合展開、舞台芸術としてのプロレスをこれでもかと示した試合だったと思う。

 

バチバチにしばきあうわけでもないし、派手な技の応酬があるわけでもない。

 

でもずっと次何やるんやろ、とワクワクさせるのは、さすがというほかない。

 

毒霧の攻防がこの試合での肝になったわけだが、面白かったよ。

 

さすがムタ、さすが中邑。

 

これがプロレスだよなと思った。

 

まあ、若い奴がこれをやっても面白くないわけで、このキャリアの選手がやるからこそなんだよな。

 

だからこそ、これがプロレスだなってわけですよ。

 

結果はもちろん中邑の勝ち。引き上げる時にはムタに肩を貸すという、ある意味でファンタジーの向こう側を見せたわけだが、今の中邑だからこそできることだ。

 

いいもの見せてもらったよね。

 

 

そんな感じのノア武道館、試合個々で見ればやっぱり悪くない。

 

だけど、つまるところ今日の大会なんて、ノア所属の選手は何を見せたのかという展開ばかりだ。

 

相変わらずサイバー傘下にはいる前のあの生ぬるい感じは残っていて、まだ突き抜けていない。

 

一年経ってこのザマはどうなんだと個人的には思ってしまう。

 

塩崎なんていてもいなくても気にならない。

 

ニンジャ・マックなんかに話題をとられている段階で終わってるだろ。

 

動きはすごいけど、あれって結局体操の動きやっているだけだろ。

 

私はサーカスが見たいんじゃない。

 

毎度ノアを見るとそう思うけど、まあ、ここらが今のノアの限界なんだろうか。

 

残念だ。

 

 

申し訳ないが、また今年も見に行くことはあんまりないかな。

 

武藤の引退試合は見に行くけど、ノアの選手でこいつは見たいぜ!ていう選手はいなかった。