この土日は札幌での新日本プロレス2連戦が行われた。
2日目の試合を今見ながら書いているが、1.5東京ドームから大きな注目を集めているのはKENTAである。
ノアからWWEへ挑戦するも、思うような結果を残せなかったのは残念であったが、そんな彼が背水の陣で戦地に選んだのはやはり新日本プロレスだったわけだ。
参戦当時は正直パッとしない評価だったが、ここへきて一気にのし上がったのはほからならぬ彼のセルフプロデュース力、要するにプロレスラーとしての実力ゆえだろう。
NEVERで後藤に負けたのに史上初の2冠王者になった内容に突っかかるあたり、これぞってものだろう。
試合までの組み立て方もかつての鈴木みのるをみるようだ。
ヒールとして多くの支持を得る内藤だが、KENTAとの絡みであらわになったのは、彼の悪い意味での真面目さではないだろうか。
あれだけ支持されていたきっかけになったはずのマイクもあまり冴えていないし、メディアでもKENTAの発言ばかりが注目されてしまう現状に、果たして何を思うのか。
また個人的にもう1人注目しているのが、元ドラゴンゲートの鷹木信吾である。
全日のチャンカーにも出場して注目を浴びていたが、ここにきて彼の存在感も抜群だ。
昨年晴れてヘヴィへの転向を表明したわけだが、昨日の大会で無事後藤からNEVARを奪還。
新日に移って初のシングルタイトルの戴冠である。
試合そのものもとてもよくて、後藤もやっぱりいいレスラーではあるんだけど、プロレスラーではないのである。
彼がベルトを持っていても何も面白い展開には転がらないので、それがこの結果に現れているのだろう。
ともあれ、これまでジュニアとしてやっていた鷹木、先にヘヴィと書いたけど、彼は無差別級を歌っている。
元々ジュニア中心のドラゲーでも中心にいたし、ルチャスタイルからストロングスタイルも対応できる実力を持っているので、これからNEVARも新しい展開が見えてくるだろう。
それだけでも楽しみだ。
こうして今の新日本のリングを見ると、今のトップ戦線の選手は実は純粋な生え抜きの選手は少ない。
オカダも元々メキシコの闘龍門だし、SANADAは全日本・武藤の弟子だ。
鷹木はドラゲーだし、ジェイは知らないが海外初の選手だろう。
飯伏はDDTだし、KENTAは全日・ノアだ。
純粋に生え抜きの選手は内藤、棚橋、鈴木みのる(元々は新日本からキャリアスタートだったはず)、後藤くらいだ。
まあ、正直ジュニアの選手ってよくわからないので省くけど、金丸は全日・ノアだし、タイチも全日、石森も闘龍門だし、いずれにせよ元々別の団体にいた選手が多いのである。
それでも面白いなと思うのは新日本プロレスのリングはまごうことなき新日本プロレスのリングなのである。
何がというと難しいんだけど、外様の選手が中心にいるな、なんていう感じはあまりなくて、新日本プロレスという舞台での戦いになっているように感じるのである。
これって何気にとても面白いことだし、すごいことだと思うのである。
時代が変われば選手も変わるし、今の新日本プロレスで主流になっているスタイルは、かつてのストロングスタイルとは違うだろう。
そのことを批判的に捉える向きもかつてはあったし、いまだにそういう人もいるだろけど、色々の事情はあるにせよ結局トップにいるのは新日本だし、いろんな選手が参戦してもまごうことなき新日本プロレスのリングになっている。
これってなんだろうと思うんだけど、それがいわゆるイズムという奴なんだろうな。
例えば、全日本プロレスは武藤が抜けてしばらくはアイデンティティを失っていたと思うし、最近になってようやく色がはっきりしてきた印象だ。
ノアについてはもはやなんなのかさっぱりわからなかった。
ただ生え抜きの選手が少なくなったとか、これまでと色合いの違う選手が増えたとかそういうことじゃなくて、たんに何がしたいのかわからない団体になっていたと個人的には思っている。
女子についても、スターダムはスターダムだったし、アイスリボンもアイスリボンだった。
そういうものがちゃんと団体として何かあったのだろう。
新日本も、猪木体制から幾ばくかの変遷を経て今に至るわけだけど、こうして確立されているというのは本当に凄いことである。
出自が違っても、そのリングで展開されるのは新日本プロレスの戦いなのである。
これがブランドっていうことなのかもしれないね。
私はスタイルの好みはあるけど、基本的にはプロレスというジャンルが好きなファンである。
ノアもCAの傘下に入ったことで、たとえDDTの一ブランドという位置づけになったとしても、盛りがって欲しいと思っている。
それは女子も同じである。
資本力のバックをつけたスターダムだけでなく、他の団体も等しく盛りがって欲しい。
プロレスというコンテンツはそれだけの面白さもあると思うしね。
大事なのは、ブレないアイデンティティだ。