続・論理プロレス論考

観戦の感想、レスラー個々、そしてプロレスを見る私と、様々な角度からあれこれプロレスを語りたいブログ

柴田に期待されること

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先のニュージャパンカップで柴田が優勝して、その流れでオカダの持つIWGPへの挑戦を表明し、4月の両国だと思うけどそのでのチャンピオンシップが決まった。

数年前に新日本に出戻りという形で戻ってきて、桜庭はいつの間にかアレグラ星人になってしまったが、柴田は新日本所属として今や中心選手の1人になっている。

今の新日本の中にあって、彼のスタイルは異質で、昔の新日本を思い出させるなどといって旧来的なファンを中心に支持されているわけだが、一方で新規のファンの間でも着実にファンを増やしている。

その要因ってなんだろうという話だけど、要するにわかりやすいからだろう。

明らかに痛いとわかる、明らかに本気で殴っているとわかる、そのわかりやすさがすげぇなという感動に繋がるからだろう。

一方で批判的な人はそのわかりやすさゆえに、相手を壊すのがプロレスではない、柴田は受けないからダメだ、などというわけである。

しかし、試合を見て入ればわかるが、柴田は相手の技も受けるし、言い方は悪いけど彼の攻撃で致命傷になるものは実は少ないと思う。

痛いのは痛い、だけど死ぬことはないだろうという世界である。

その意味で、絶妙な線を攻めているとも言えるから、ちゃんと彼はプロレスラーなのである。


そんな彼がIWGPに挑戦したことに対して、批判的な意見よりも期待を持った意見の方が圧倒的に多い印象である。

その理由は、柴田自身というよりもオカダへの不満、あるいは新日本プロレスへの不満という側面が強いように思う。

厳しい試合はしない、危ない技は受けないといった理由でオカダを批判する人がいるが、個人的にはそれは違うと思う。

そうしたいわゆる格闘技ではルールで規制されるようなものも許容されるのがプロレスではなるが、かつての四天王プロレスのようなことばかりしていたら本当に死んでしまう。

実際三沢の死因の一つはそうした無理が祟ってという側面もあるだろうし、四天王の誰ももう現役ではない。

小橋については別な要因もあるにはあるけど、川田も田上も完全に燃え尽きたような辞め方だし。

死んでしまうよりはずっといいから、それ自体はいいのだけど、それを繰り返すのは違うし、やっぱり求めるべきではない。

最近スターダム始め女子の試合でも場外での無茶なプランチャとかが頻繁に繰り出されているけど、会場は確かに盛り上がるけど、見ていてハラハラしてしまう。

それがいきすぎたのが2000年代前半くらいで、ゼロワンで星川選手が大けがをして、今でもリハビリをしていると思うけど、それを機に少し見直しの方向へいったものの近年またそちらの方向へ向かっている感じがして、ちょっと怖い。

オカダについては、そうした危険な技はあまり使わないし、ドロップキックなどのシンプルな動きで見せる中であれだけ上り詰めたのだから、それに関して危ないことをしないという批判はどうかと思う。

今年のドームでのオメガの暴れっぷりが絶賛されて、それはそれですごいと俺も思ったけど、かといってそこまでしなくていいよと思ってしまう。

鈴木みのるだって、レスリング技術で試合をしっかり組み立てているし、武藤や丸藤もそう。

プロレスは別に危ないことをやることで絶賛される競技ではない。


話が逸れたので戻すと、私はプロレスを観始めた時から柴田のファンである。

まだ魔界倶楽部があって、怪我から復帰して魔界4号として動いていた頃であった。

当時は永田にめっちゃ噛み付いてた。

それが妙に印象に残って始めは面白がって観ていたのだけど、気がついたらファンでしたね。

当時からファイトスタイルは変わっていないけど、今の方が芯があるように感じるのは経験ゆえだろうか。

さっき久しぶりにビッグマウスの時の試合を観たのだけど、門馬との試合は今見ても面白い。

紆余曲折あって今に至って、こうしてベルトの期待を背負うようになるとは。


それにしても、柴田の旧来的なスタイルがなぜ支持されているのかという話だけど、もうすでにいったけどわかりやすさとオカダというエリート(に見える)の存在に対する嫉妬に近い感情ではないかという気がしてならない。

実際オカダも結構苦労している時期もあるし、今のあの動きだって練習の賜物だろうし、彼を観ていて天才とは思わない。

天性の才能はあるけど、プロレス的なエリートではないし、丸藤らと比べても極めてオーソドックスだし、レスラーとしてのレベルは高いけど、天才ではない。

だけど、会社からは期待されていわば出世街道を走る彼への嫉妬はあると思うし、それこそ内藤があれほど歓迎された背景も同じだったと思うしね。

柴田に期待されるものも、ある意味非の打ち所のないスターであるオカダへの嫉妬に近い感情だという気がする。


とはいえ、柴田がチャンピオンになって、ちょっと殺伐として混沌たる姿を見せるのも面白いと思うし、なにより柴田ファンなので、期待はしたいよね。

本来なら後藤が今頃こういうポジションにいたはずなんだと思うけど、思った以上に彼はしょっぱくて、Neverのベルトも持っているのにそのベルトの存在感すらなくなっているあたりを見ると、結局プロレスにおいて最も重要なことはベルトではなくレスラー自身だということだ。

かつて鈴木みのるが三冠を持っている時もチャンピンの鈴木みのるではなくて、鈴木みのるがチャンピオン、っていう感じだったしね。

柴田には、そういう存在になってほしいと思うし、それができると思う。

もっとも、ずっと中心に居続けるかといえば、そういうタイプでもないのは事実である。

そうはいっても、ぜひこの勢いでIWGPを獲得してほしいよね。