続・論理プロレス論考

観戦の感想、レスラー個々、そしてプロレスを見る私と、様々な角度からあれこれプロレスを語りたいブログ

本物とは -大海賊祭り

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今日は鈴木みのるのデビュー30周年イベント、大海賊祭りへ。
 
イベント自体は去年もやっていたんだけど、今年は何と言ってもオカダ・カズチカの参戦である。
 
入場観覧完全フリーのイベントで、鈴木みのるvsオカダのカードなんて、プロレスファンにしてみればまさに超大型のサプライズである。
 
これは見ないわけにはいかないというわけだ。
 
ちなみに言っておくが、鈴木みのる一人でも無料で彼の試合が見られるのはそれだけですごいのである。
 
彼はプロだから。
 
しかし、そこにオカダとの対戦というのは、今のプロレス界を見渡してもやっぱりすごいことなんですね。
 
なにせオカダはベルトこそ落としたものの、どう考えても今の日本のプロレス界の中心にいる男である。
 
会社から持ち上げられてるだけだとか、肝心なところは云々などと批判されることもあるが、決っして彼はそんな甘っちょろいだけのエリートではない。
 
15歳で一人でメキシコに渡ってプロレスをやってきたのだ。
 
そんな下積みもちゃんとあっての今なので、やっぱり基本的な技術はしっかりしているし、それドロップキックの美しさが物語っていると言えるだろう。
 
天龍が引退試合の相手に選んだのも伊達ではないんだ。
 
 
対する鈴木は言わずもがな。
 
今の現役レスラーの中でも稀有な存在である。
 
レスラーとしての確かな技術力と、シンプルな技で試合を組み立てられる構築性、さらにこのイベントしかり、興行の展開しかり、圧倒的な自己プロデュース能力と発信力を持っている、まさにプロレスラーなのである。
 
この二人の試合なら東京ドームのメインも十分はれる。
 
それくらいすごいカードなのである。
 
今回のイベントでは、プロレスだけでなく音楽ライブもお笑いライブもあるし、アパレルやハーレーの出店、釣具屋や様々なアーティストの出展など実に多様で、彼のネットワークを駆使した様々な人が協力しており、来場者には当日の物販以外の負担はないという太っ腹企画なのだ。
 
ちなみにメインロゴのイラストにはワンピースの作者・尾田栄一郎さんが携わっている。
 
 
こうしたトピックは色々あるんだけど、何がすごいかってそれをフリーのレスラーが中心になってここまでの規模のイベントを2日間も開催するということである。
 
入場料を取らないということは最低限度の収入も約束されないわけだから、赤字覚悟なわけだ。
 
それでもやろうと言って人が動くというのはすごいことなのである。
 
メインはもちろんプロレスの試合なのだけど、今回は子供や障害者の人が近くで見られるよう優待エリアを作ったり、試合前に「傘は閉じてください」というアナウンスをしたりと、とにかく彼のコンセプトが明確で、そういう姿勢もすごいなと思うんだよ。
 
こういうところにお金だけじゃなくて、本当の意味での広い視点があるし、彼のプロレス愛を感じるところなのである。
 
 
で、試合についてなんだけど、試合中はずっと大雨でリング上は多分彼らもやったことのないレベルのバッドコンディションだっただろう。
 
実際ロープワークもいつものようなスピード感はなかったし、実際に足を滑らせてしまう場面もたくさんあった。
 
それでも一定の緊張感を持った攻防を繰り広げたのはさすがである。
 
今日の試合の目的は、プロレスファン目線からすると明白だったので、このコンディションとそれによるネガティブな影響は本当に残念だった。
 
オカダのドロップキックや、みのるのスピーディなロープワークもいつもの半分以下だ。
 
それでもやっぱりすごかった。
 
試合はフルタイムドローだったんだけど、みのるの意地を見たし、オカダは入場時に金の雨も降らせてくれたし、どう考えても無料で見られるクオリティをはるかに超えていた。
 
この志だよ、すごいのは。
 
 
と、ごくピンポイントにレビューしたけど、いずれにせよ最前列で彼らの試合を見られた子供達にとっては、いい経験になったんじゃないかな。
 
この大雨も、そんな中でもバシバシやり合うのが本物だということがわかれば、それが一番ではないだろうか。
 
これだから鈴木みのるはすごいんだ。
 
明日はどうするかわからないけど、ともあれ今後も応援したいレスラーである。