続・論理プロレス論考

観戦の感想、レスラー個々、そしてプロレスを見る私と、様々な角度からあれこれプロレスを語りたいブログ

課題浮き彫り、ノアの明日は・・・?

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昨日は久しぶりにプロレスを観に行った。
 
田上の引退試合であったので、有明まで。
 
考えてみたら今年観に行ったプロレス/格闘技絡みは全て引退試合である。
 
4月にゆずポン、5月に小橋、10月にフジメグ、そして12月が田上だ。
 
寂しいものだね。
 
既に実質引退状態の川田、今は亡き三沢、そして今年小橋、田上の引退により、かつて四天王と言われた選手は全員リングを下りる事に。
 
今や全日本はかつてのようでかつてのようでない有様なので、昔ながらのファンにはさぞ感慨深いものもあろう。
 
で、この日は4代ベルトのタイトルマッチ含めノアにとっては年内最後のビッグマッチであった訳だが、客入りは決して芳しくなかったのではないだろうか。
 
プロレスの試合自体久しぶりで、最近行ったのは小橋の引退試合だったので、そことの比較をするとやはりどうしても気になるところはある。
 
新日本プロレスが如何に気を吐いているかがよくわかる。
 
 
試合について書く前に軽く会場について。
 
有明コロシアムは収容人数で1万ほどのキャパらしい。
 
それは座席数だから、プロレスの場合リング周りにイス席を作るため、実質それ以上の収容は可能な比較的大きな会場である。
 
しかし、この日は2F席になると思うのだが、ほとんど取りつぶされており、先行で取ったであろう人たちがいるのみで隻数としてオープンしていたのも半分程度ではないかと思う。
 
そして私は1FA席という奴だったけど、かなり空席が目立った。
 
リング周りはそれでも割と入っているようだったので、そこは括弧着いたと思うけど、正直地方大会観たいな感じだったもの。
 
入場ゲートについても、私の席からはなんと裏側が丸見え。
 
ゲート前で待機する選手の姿もばっちり捉えられていて、これはまずいだろと。
 
ちなみにゲートはベニア板に草食して、黒いカーテンで覆っている程度。
 
ちなみに一応ヴィジョンもあったのだが、1つしかない上私のところはちょうどそのモニターの真横になるため全く見えず。
 
花道も非常に簡素で、ビッグマッチというにはあまりにチープであった。
 
私がプロレスを観始めた頃はちょうど2003年とか、10年前くらいからなんだけど、その頃と比べてもプロレス人気は低迷しているという事がありありと伺え、しかも経営的にもキツいんだなということが図らずも浮き彫りであった。
 
で、演出の面でいうと、今年に入ってノアでは盛り上がったらミドリのハンカチをクルクル回して下し、ということを客席に呼びかけており、少しでも参加意識を持ってもらおうと言う施策を行っているのだが、このハンカチは1枚300円で物販で購入する必要がある。
 
しかし、物販は割と込むので、この日の寒さも相まってわざわざ買いに行く人もそれほどいなかった印象である。
 
そうなると必然この演出が死んでしまう訳だ。
 
こういうビッグマッチでは来場者全員に無料配布でもいいと思うけど。
 
コストなんて高が知れてるだろうし。
 
そこが勿体ないと思ったね。
 
まあ、それだけキツいという事だろう。
 
 
さて、それでは試合についてだけど、全試合についてつぶさには行かないので、印象に残ったもんだけ。
 
まず何より久しぶりの柴田である。
 
プロレスに戻ってきて大分経つが、私はこの日が復帰後初観戦であった。
 
相手はマイバッハ
 
ヒールというよりは単に孤立している感のある選手で、トークイベントで組まれたカードであった。
 
マイバッハとしての試合もまともに観た事がなかったわけだが、以前はヘヴィの有望株だったにもかかわらず、いまや実にハンパになっているので、介錯マッチという位置づけである。
 
柴田は相変わらず雰囲気もあってやはりいい。
 
マイバッハもいい動きするのだが、なんというか、確かにどうしたいのかがわからない。
 
入場時もゲートからではなく柴田の背後方面から入場してきたので、てっきり奇襲でも掛けるのかと思ったら普通に歩いてくるからリング下に着く頃には柴田がくるりと振り返ってバレてしまうと言う意味不明な事になっていた。
 
首を傾げる柴田の足下を場外から防犯用危惧で救って引きずりおろすのはいいが、正直だから何なんだという感じ。
 
なるほど、これがKENTAのいう半端さね。
 
試合はマイバッハの凶器攻撃により一度は反則裁定が下るも、即座にリマッチ決定。
 
柴田がぼこぼこと蹴って殴って最後はスリーパーで落として終了。
 
マスクをはぎ取られて久しぶりに素顔を晒したマイバッハであったが、結局中途半端であった。
 
谷口はせっかくいい選手なんだから、これからは王道頑張って、KENTAからGHCとろうよ。
 
そうしたら盛り上がるのに。
 
 
ついで田上の引退試合
 
対角線には天龍、藤波というレジェンドと井上、志賀という名傍役、田上の横にはかつての付き人森島、杉浦、そして玄蕃である。
 
田上は特別のガウンを羽織るでもなく、いつも通りのジャージで入場。
 
試合自体久しぶりと言うこともありすっかりやせ細った体はなんだか悲しかったな。
 
コスチュームの赤パンもガバガバで、改めて写真でも観ても顔がすっかり一般人である。
 
試合自体は非常に緩く、いかにもプロレスらしいと言えばらしい試合。
 
気迫の全くない田上の脳天幹竹割りとか、捻る事の出来ない腰から繰り出されるキレのない天龍のグーパンチと逆水平の連打、その中で一番元気なのはドラゴン藤波という。
 
おじいちゃんプロレス全開で、場内はやや冷ややか。
 
しかし、一部コアなプロレスファンは温かい。
 
そんな緩やかな空気を現役バリバリの杉浦、森島らが盛り上げて、お膳立て。
 
最後はのど輪落としでフォール勝ちという、ハッピーエンド。
 
これでいいんだ、これで。
 
滋賀と井上がいい仕事をしてくれました。
 
プロレスファン以外が観たら八百長だ!と馬鹿の一つ覚えみたいにほたえ騒ぐのだろうが、そんな事は問題じゃない。
 
かつての田上は本当にすごかったんだから。
 
私はノアの田上しか知らないが、普段の緩慢な動きから大技を連発して相手を追い込んで行く姿はすげえなと思ったもの。
 
スタイルとして好きな選手ではなかったけど、小橋とのGHC戦や、力皇から奪取した時なんかは、そのニックネーム通りダイナミックだったね。
 
そんな力ももう今はなくなってしまったのが残念だが、功労者にはそれなりの舞台を演出してあげられる事がプロレスの良さだと思う。
 
フジメグ引退試合はアクシデントで不完全燃焼だった訳で、あれはあれで競技として仕方ないし、本人も納得せざるを得ないところはあるけど、やっぱりハッピーエンドがいいじゃない、て思うのですね。
 
セレモニーも興行のど真ん中で行うというゆるさ。
 
田上らしいといえばそうなのだろうね。
 
最後に川田、小橋、そして三沢の遺影と共にリングで4ショット、時代は幕を閉じた。
 
下りる前に選手一同に胴上げされている時に明らかなにビビっているのはご愛嬌である。
 
これから社長として頑張ってほしいですね。
 
 
さて、ここから怒濤の4大タイトルマッチなわけであるが、結論からいうと今一だった。
 
まずジュニアタッグ。
 
新日本、ライガー・タイガー組vs小川・ザック組だったのだが、結末はあまりに想定通り。
 
散々責められて小川が丸め込みで逆転。
 
そりゃねぇぜ、という話である。
 
別に丸め込み自体が悪いという話ではないのだが、ハラハラする攻防もなにもなく、ひたすら一方的にやられて最後にという形。
 
要するに流れもクソもないという。
 
強いてこの試合で良かったのを挙げれば、ザックの動きは非常に良かった。
 
ただ、やや形に拘って質がない印象なので、説得力というものをもっと身につけるべきである。
 
そしてもう一つはやはりライガー
 
前哨戦やこれまでのノア勢との対戦の中で、小峠との試合だったと思うけど、そこで丸め込みで勝った事に対して負けた小峠がそれを批判した時に「勝ちは勝ちだ、俺が必死に練習して身につけた技だ。それで負けた奴がたかがだと?舐めんな!」みたいな話があったわけだが、恐らくこの小川戦を見越しての発言だったのだろう。
 
だから、本来であれば小川から試合後に「俺が必死に身につけた技だ!」といえばまだ良かったのに、もうくにゃくにゃになっていて、アレでは締まらんよ。
 
 
次いでジュニアシングル。
 
石森vs高岩である。
 
高岩も随分久しぶりに見るが、相変わらずゴツゴツした風袋は実にいい。
 
対する石森は割とわかりやすいルチャ系、元闘龍門だしね。
 
それにしても、今石森は入場時にダンスパフォーマンスをしており、これ自体は最近色んな選手がやっているから指して珍しくもないのだが、これを10年以上前からやっていたマグナムTOKYOはすごいなと思う。
 
また、かつて闘龍門時代にセーラーボーイズといってアイドルっぽく売っていたかつての相方は、今やバラモン兄弟として押しもおされぬ怪奇派になっているのだから、世の中何がどうなるかわからない。
 
それはともかく、試合そのものは決して悪くないけど、なんというか今一盛り上がらなかったな。
 
石森の身体能力も高岩のパワーも、双方のいいところはしっかりと出していたにも関わらずである。
 
思うにこの試合に限らずだけど、試合としての流れがないんだよね。
 
所謂大技、飛び技でスポットの見せ方はまあいいのだけど、もう少し流れが欲しいものだ。
 
強引スいるんだよね、要するに。
 
 
次いでGHCヘビーのタッグ。
 
現王者は外人タッグTMDK。
 
このタッグも初めて見るのだけど、対戦相手は丸藤・中嶋組。
 
勝彦はすっかり独立しても存在感を発揮している、ていうかそういえば結婚してたね。
 
それはともかく、今は両名ともBraveというユニットを組んでおり、どうやらキラキラ系のコスチュームで統一しているらしい。
 
会場の一角で突然ほたえ始めた集団がいたが、あれはなんだったのか。
 
 
で、試合であるが、TMDKは素晴らしい。
 
彼等はこの日の試合で一番良かった。
 
動きもいいし、技もいいし、タッグとしての手際もいい。
 
そしてキチンとフィニッシュへ持っていく流れを持っている。
 
一方丸藤・勝彦組は、連携としては蹴り技主体ダブルトラースキックとかあとは今一不自然に動き合わせただけみたいな感じで今一だったな。
 
結果はチャンピオンチームの防衛となった訳であるが、残念ながらこのタッグはなかなか崩せないと思うよ。
 
ザックといい、彼といい、ノアは外人勢が非常にいい。
 
そして旧来からの所属選手がなんか今一なんだよな。
 
昔の方が良かったじゃん、と思える。
 
今は迷走中なのだろうか。
 
 
そしてこの日のメインは永田を迎えてのKENTAである。
 
彼の試合も久しぶりに見るし、何よりこの1年の試合はどれも高評価であったため、一体どれだけ進化してんだと非常に楽しみにしていただが、結論からいうと今一だった。
 
対して永田がめちゃくちゃ活き活きしていてびっくりした。
 
こっちの方がよくなってるじゃん。
 
今回は薄氷も薄氷、強引なGo 2 Sleepでフィニッシュだったが、これではいかんよ。
 
そもそも試合ないようについても必要なまでの張り手合戦はいいが、結局全部おし負けてしまっているし、いいところなかったぞ。
 
場外への柵越えダイビングフットスタンプも目測ミスって足を痛めたみたいだったし。
 
意味ないじゃん。
 
別にそんな過激な事ばかりやらなくてもいいから、リングの中でもっと魅せてよ。
 
昔の方がガンガン負けん気出してて面白かったぞ。
 
期待値が大きい分ガッカリであった。
 
試合後すぐに会場を後にしました。
 
 
総じて言える事なのだが、新日本の選手の方が今はレベルが高い。
 
多分はっきり言える。
 
もちろんスタイルが少し違うから一概な比較はできないけど、少なくともプロレスラーとして金を稼げるのは新日本である。
 
方やノアのこの入りの少なさを見ると、なるほど訴求力が圧倒的に足りていない。
 
団体として努力はしているのはわかるが、中途半端である。
 
もっとやりようがあると思うのだが。
 
正直今回はどの試合もうまくかみ合っていなかった気がするし。
 
今回は杉浦、森嶋が田上の試合に出ている分、メインどころで大きなカードが使えなかった事もあるけど、それにしてもね。
 
丸藤なんて何してたか覚えてすらないよ。
 
せっかくのビッグマッチでこれでは客は着いてこないだろうな。
 
面白くなかったもの。
 
柴田が一番良かったよ。
 
ライガーのプロレス頭が冴えてたよ。
 
永田がすげぇ活き活きしてたよ。
 
他団体と外人しか記憶にない。
 
別に新日本プロレスに倣う必要はないけど、今一度自分達のアイデンティティを確かめた方がいいのではないだろうか。