続・論理プロレス論考

観戦の感想、レスラー個々、そしてプロレスを見る私と、様々な角度からあれこれプロレスを語りたいブログ

プロレスの今 ―1.4東京ドーム

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今日は新日本の東京ドーム大会へ。

実はドーム大会へ参戦するのは初めてであった。

理由はいくつかあるが、一番はリングが遠くてまともに見られないと思っていたから。

ただ今回は試合は最悪モニターで観て、今の新日本の勢いをデカイ会場で観てみたいという思いもあった。

実は新体制になってからの新日本もネットで試合を見るだけだったので、会場の空気感などもどんなものかとね。

それこそ昨年末に行ったノアの年内最終となった有明コロシアムの試合を観た後だったので、それぞれのビッグマッチの在り方を、在り方の違いはあるにせよ観てみたかったのですね。


で、今回も当日券入場を目論んで会場へ行ったのだが、正直そこの段階でビビった。

どうせ余裕だろうと思い16時半近くに着いたのだが、会場へ入る人が列をなしており、当日券売り場も結構並んでいて、買おうと思っていた席は完売、仕方ないのでもう一つ高い席を買ったのだけど、実際の入りは3.5万ほどであったそうだ。

会場は席をつぶしている箇所もあったが、アレは半ばは演出上の都合もあっただろう。

とはいえ、さすがにドームを完全に一杯にするほどのところまでは行っていないとはいえ、これだけ集まれば大したものだ。

しかも会場の熱気も高い。


そして何より一番驚いたのは、とにかく演出がすごい。

Vもかなり気合いを入れて作ってあるし、話が先に行ってしまうがどの選手の入場も演出に相当金をかけていたね。

オープニングから和楽器隊の生演奏でスタート。

スクリーンに映し出されたカウントダウンにつづいてのそれには恐れ入ったね。

その後も元Megadeathのマーティン・フリードマンの生演奏や、ダンサーを従えての入場など、かなり金を使っている感が。

外人レスラーの車やバイクに乗っての登場はにあい過ぎである。

そしてデフォルメとしてレーザービームとスモーク、パイロンである。

これはびっくりした。

ここ最近みた大会はいずれも手作り感満載のセットにVにで、これがメジャーって奴かとね。

これはレスラーみんな気持ちいいだろうね。

今回はムタも出たのだけど、今は懐が厳しい武藤にとってはこれだけ豪華な演出をやってくれるなら何回でも出たいだろうね、なんて。

その他としては、リング周辺にマイク&スピーカーを設置しており、リング上の音も全て届くようにされているのだが、これはドームクラスでは通常行われるのだろうか。

武道館、両国では観た事ないし。

とにかくこんなにしっかりとしたセットのものは観た事がなかったので、びっくりしたね。


で、肝心の試合についてなのですが、こちらは正直着いて行けなかった。

自分の中にあるプロレスというもののイメージとかなり違って、よく言われるがWWE的な感じがして。

それを否定している訳ではなくて、むしろこの方法論でここまで大きくなったのだからメチャクチャ評価はしている。

各選手のフィニッシュホールドをファンはちゃんとわかっているようだし、それが出たら試合が終わる、という空気作りもしっかりなされており、これが新規ファン獲得につながっているのだろう。

プロレスというのは正直わかりにくいからね。

タッグマッチとかもそうだし、ルール的にもよくも悪くもなあなあなところがあるし。

だから、そうしてフィニッシュホールドというのを明確に認識させ、選手にもしっかりそこへ持って行く流れを考えさせる事によって選手自身のレベルも挙げる事になっているのだろう。

先日のノア大会に参戦した永田、ライガーら新日本勢に感じた勢いなどはそうしたところに起因するのかもしれない。

ただ、一方で強引な試合も出てくるし、全体的に淡白と言うか、そう言う印象は拭えないんだよね。

そして何よりどっちが勝つかほぼほぼわかってしまうところもあるのである。

もちろんそれ自体、煽れば煽るほど選手にとってもそれが大きなプレッシャーにもなるからいいのだけど、私がWWEを見ない一番の理由はその試合の淡白さなんだよね。

選手のレベルは間違いなく高い。

だけど、試合内容自体は必ずしも私には響かないのである。


今回で言えば、正直ガッカリだったのは真壁、小島、ヘヴィのタッグ、ジュニアタッグ、そしてメイン。

鈴木みのるについてはこの状況はこの状況として楽しんでいる感じがあるので、あれはあれで悪くなかった。

ジュニアのシングルはとにかく勿体ない。

デイヴィッドも飯伏も超がつくいい選手なのに、どこか消化不良気味と言うか。

デイヴィッドなど謎のボディペイントを施しており、見た目はルチャリブレグロンギみたい。

直会場も失笑気味であった。

試合もセコンドの介入ばかりでまともに試合にならない。

最後は強引に決まった感じだし。

小島はやっぱり三冠を持っていたときが一番良かったし、ヘヴィのタッグもいい選手なのになんか勿体ない。


そして一番良かったのは柴田vs後藤である。

内容自体は目新しさがある訳ではないのだけど、だからこそその単純な意地の張り合いみたいなのが良かったね。

そして何より2人には物語があるから、それだけでも非常にプロレスとして魅力的なんだよね。

試合後、「これがプロレスだよな」と声を掛け合ったそうだが、そうだと思う。

ちなみにトップの画像はネットで拾ってきたものだが、かっこ良かったので採用しました。


あとはオカダ、彼はやはり素晴らしい。

これだけ話題になるのはよくわかる。

プロレス勘もいいし、動きもいいし、何より華がある。

技も動きも的確で、今時ドロップキック一発で観客の目を奪えるのはそういない。

武藤以来ではないだろうか。

常に上から目線なキャラをしているが、その芯には非常に目標意識も高いから、それが出ているのだろう。

対して挑戦者・内藤。

関節などは面白い変形の技を使うのだが、なんというか、彼がチャンピオンで団体が繁栄するイメージがない。

そしてこれは内藤に限った事ではないのだが、とにかく技の間に無駄な間が多すぎる。

プロレスだから、そう言う間が重要なのはわかるのだけど、一方で説得力がもっと重要なわけだから、あんな意味もなくちんたらしていたら流れもクソもない。

アピールばっかりしてないでちゃんとやれと何度思った事か。


最後に棚橋vs中邑。

新日本の暗黒時代から団体を支えた若き2人のエースは今や中堅に。

そんな2人の2年ぶりの試合という事で俄然期待は高まるのだが、やっぱり今の新日本の試合であった。

もっと2人なら出来たんじゃないかと思えてならない。

まあ、これが今の新日本に動員をもたらしているのだろうから、これが正解なのだろう。

でも、なんかな。


と、まあ試合内容については正直どう観ていいかわからなくて、ちょっと考えてみようと思うんですね。

私が好む好まざるに関わらず、この今の実績をもたらしている要因については是非自分でも考えたいし。

一つ気になったのは、観客のどよめきに着いて。

私が観ていて特にざわつくほどの大した事はしていないのに、会場中はまるで測ったかのように同時にざわめくウノである。

おお~~とか言ってね。

ただ、途中から少し違和感もあって、だって古参のファンが観たらさすがにあれでは驚かんでしょ、という場面で尽くどよめくから、よほどプロレスをそんなに観ていない新規ファンばかりだったか、あるいはそういう盛り上げ方という観客の認識が浸透しているのか。

もっと穿った見方をすれば、スピーカーからバラエティ番組の笑い声よろしく足したかである。

恐らくこれが正解だと思っているのだけど、狙いとしては水増しではなくファンの育成といったところだろう。

要はプロレスの見方がわからない人に対して、「今すごい事やったんですよ」という事を報せてあげるようなね。

経営方針としても、いかに観客を楽しませるかというところが主眼だろうから、それを批難するつもりは毛頭なくて、むしろ違う業界から入ってきた人だとこういう発想なんかもできるのだろうから、つくづくブシロードに買ってもらってよかったよね。

果たして全日本・白石さんはここまで出来るのかである。


と、結局褒めてんのかどうなのかわからない内容になってしまったが、今年もデカイ会場での大会を既にぶち挙げており、こうした攻勢の表明がファンを喜ばせるのも確かで、今のうちからそこを見越して予定を立てる人もいるだろうから、リスクもあるけど面白いやり方だよね。

実際近くの熱心なファン達は喜んでいたものな。

あんなに試合中に叫んでいる大人を久しぶりに観たよ。

今度は後楽園あたりの会場で観てみて、普段の熱気も観てみよう。

今回は行ってよかったよ。

色々な見方がまた出来ますね。

プロレスはどう見るかが一定の自由度があるからおもしろんですよ。