続・論理プロレス論考

観戦の感想、レスラー個々、そしてプロレスを見る私と、様々な角度からあれこれプロレスを語りたいブログ

年末年始の格闘技 -RIZINと1.4

イメージ 1

 

ちょっと時間が空いたけど、年末年始の大きな格闘技系イベントについて。
 
まずは年末に開催されたRIZIN、大晦日の格闘技を頑張って継続してくれているという意味ではありがたいイベントながら、毎回何かしらのしこりを残してくれるこのイベント、今年もやっぱり残してくれた。
 
今回の注目は何と言ってもメイウェザー、といいつつ私はボクシングってあんまり詳しくないので、すごい有名なボクサーでも名前くらいしか正直知らなかった。
 
偏っているんですよ、私。
 
それはともかく、そのメイウェザーとこのRIZINのアイドル、那須川天心がボクシングルールでエキシビジョンながら戦うというのが世界的に見ても注目だった。
 
メイウェザーってすごいんだね。
 
また、コアな総合ファンには知られている浜崎と若くしてスターダムに躍り出た浅倉かんな戦や、UFCから日本に戦場を移した堀口の試合など、なかなか話題性もある大会であった。
 
個人的に思ったのは、まさに浜崎や堀口の試合に見られるように、ちゃんとした実力派がきちんと日の目に触れるような状況になったのはいいことだなと。
 
一方で天心戦に顕著だったけど、相変わらず猪木・アリ戦に端を発するような異種格闘技戦、無差別系的な幻想にプロデューサーが取り憑かれているのが残念だったよね。
 
解説についても同様で、主に高田だけど、相変わらず特定選手への贔屓がすごくて、私は解説を聞きたくないから音声を半ばオフにしてみたくらいだ。
 
ただ、先にも触れたけど例えば浅倉かんなvs浜崎の試合では、前回イベントとしてハイプしていたRENAを完封した浅倉カンナがなすすべもなく完敗した試合、別に意地悪を言いたいわけではなくて、この一戦は浅倉にとってもとてもいい経験だったと思うし、浜崎のような選手がこうして名前を知られるきっかけにもなったという意味ではとても良かったと思う。
 
また堀口はヴェラトールの選手と試合をして、しっかり勝ったことで次の展開も見えてくるから、それもよかったよね。
 
天心については、やっぱり50戦無敗と言われる選手は引退してもすごいんだな、とあまり詳しくない人間からは思うところがあるし、一方であの試合って誰が得したんだろうという視点で見ると残念さもあって、このイベントの課題が相変わらずそこにあるというのがより鮮明になったのではないかと思っている。
 
 
今回の大会では天心や浅倉に対して、井の中の蛙といった批判的な意見も方々であったみたいだけど、彼らはまだ20そこそこの若者である。
 
それぞれのフィールドや環境の中では着実に結果を出しているとはいえ、強いやつ、すごいやつは世の中にたくさんいるということを知るにはいい年齢だし、そうやって人は成長していくじゃない?
 
天心については、今回何を得たんだろうというのは正直わからないけど、浅倉についてはめちゃくちゃいい刺激になったはずだし、こんなに強い人が同じ日本にいるとわかったことだけでもめちゃくちゃいい経験のはずである。
 
私は若者好きなので、これからまたもっと強くなっていくために頑張ってほしいよね。
 
ちなみに、テレビで放送された試合しか見てはいないけど、今回も全体としては決して悪くなかったし、試合は楽しめた。
 
ただ知人が実際に会場へ観にいったらしいんだけど、途中で都合1時間半もの中断があったらしい。
 
テレビ中継の都合らしいから、それはせっかく生で観戦した熱心なファンにとってはテンション下がる理由だよね。
 
また、天心の試合についてプロデューサーの榊原さんの放った一言が、今後を不安にさせるものだったね。
 
「我々はRIZINをスポーツにするつもりはない」というようなことを言ったとか。
 
格闘技ファンとしても、どこかで無差別級とか、競技の垣根を超えた本当に強いやつ、それこそ刃牙の世界に憧れとか夢を抱くところはあるんだけど、でも今の状況を見れば、それがどれだけ危険で、イベントとしての未来を狭めて生きうるかということを端的に表しているような気がしたよね。
 
UFCがなぜあんなにメジャーになったのかである。
 
ボクシングがなぜ今に至るもあれだけの興行スポーツになったのかである。
 
彼らのこの悪い意味でのプロレス的な価値観が、またイベントを潰してしまわないことを祈っている。
 
選手はみんな毎回頑張っていると思うよ。
 
 
イメージ 2
続いても年始の代名詞、新日本プロレスの1.4東京ドームだ。
 
正直個人的には最近そんなに観ていないし、一応新日本プロレスワールドは契約しているが大きな大会以外はほとんど見てもいない。
 
週プロで大まかな流れは追いかけているけど、そんなに把握していないのであるが、ともあれプロレス界においても大きな注目の大会であることに変わりはない。
 
というわけでこちらはちゃんと見たんだけど、今回は全試合がチャンピオンシップだったんだね。
 
いつの間にかまたベルトが増えていてびっくりしたが。
 
あ、1試合だけ、オカダの試合だけはスペシャシングルマッチだったね。
 
ともあれ、第1試合のNeverから始まりIWGPまで、しっかりと今の新日本のトップ選手が出つつ、ここ半年で参戦するようになったフリーの選手も含めて非常に分厚い選手層だよね。
 
なにせあの鈴木みのるが今回は第0試合、もはやテンコジは出場すらしていないのだから、ある意味健全ではあるよね。
 
先にも書いたように久しぶりに見たけど、やっぱり試合のクオリエティは群を抜いて高いよね。
 
最近特に女子の試合の方が見ているから、こうしてがっつり男子のトップの団体を見るとそれを痛感する。
 
もちろんこれまでのブランドもあるし、経済力もあるし、女子プロの場合は最近は特に素人みたいなところから成長していく過程(もはやアイドルと同じだね)が面白いところもあるから、一概にどっちがいい悪いではないけど、とは言えエンターテイメントとしての質は圧倒的に違うよね。
 
すごいよ、新日本は。
 
ちなみにいくつか驚いたのはそれ以外にもあって、まずNeverっていつの間にか飯伏がとっていたんだね。
 
後藤は今回出てたのかな?いずれにせよ結局は何も残せなかったということである。
 
その飯伏は若手外人のスター、オスプレイと戦ったが、結果は飯伏の負け、しかも脳震盪で試合後に立てないという非常にショッキングな結末であったわけだが、これが第1試合である。
 
すごいよね。
 
あと、最近はタッグはすっかり3wayになってしまったんだね。
 
ジュニアは以前からちょくちょくあったけど、今はヘヴィまで。
 
もはやタッグマッチという試合形式自体が古いのかもしれないね。
 
もともと他の格闘技と比べた時の特徴的な形式がタッグマッチでもあるわけで、そこにプロレス的な面白さとか特殊性が出ていたのは間違い無いんだけど、一方でタッグマッチの場合人が多い分多少レベルが低くても成り立ちやすいという特性もある。
 
だから、そこでもたつくと逆に極端にレベルの低さが露呈されるし、やる側にとっては頭を使わなければいけない難しさもあるから、その駆け引きも面白いわけである。
 
しかし、これだけ選手個々のレベルが高ければ、いっそシングルマッチの方が見たいカードは出てくるし、ある意味伝統的なタッグマッチの駆け引きというものが飽きられているようなところもある。
 
プロレスを今更総合格闘技などと同じ目線で見ている人はいないと思うけど、とは言えいかにもなものには覚めてしまうシビアさは持っているのが最近のファンだろう。
 
そこでこうしたより多くの人数をぶち込んでわちゃわちゃさせるのは、ある意味真っ当な対抗策かもしれない。
 
とはいえ、こうした試合形式は別に新しいわけではなくて、むしろメキシコのルチャ・リブレではこうした形式は珍しく無いみたいだし、日本で言えばドラゴンゲートなどでは昔から見られたものだ。
 
それを新日本でも取り入れたというだけなんだけど、ただ個人的にはちょっと残念な思いもある。
 
まあでも、そういうことを言うのは古い頭のファンなのかもしれないけどね。
 
 
また、結果について見ていくと今回はベルトのほとんどが王座を移したよね。
 
先のNever始め、ジュニアのタッグは鷹木・BUSHI組が、ジュニアシングルは石森に、インターコンチは内藤に、IWGPは棚橋にそれぞれ移っている(他の試合は覚えてない)。
 
棚橋に移ったことでまた少し前の展開に戻ったのか、という批判的な見方もある一方で、ジュニアはここ半年以内に参戦し始めた選手がとっているわけだから、新風を起こしたい気持ちもありつつ、そこのみにこだわると却って展開に幅が出ないので、これはこれでいいのでは無いかと。
 
 
何れにせよ、今年の動員は昨年を上回ったようだし、マンネリ化しているとか色々言われている中でもしっかりと結果を出しているし、試合のクオリティは実に高いわけだから、まだまだ今年も伸びるだろうね。
 
いよいよ海外との提携も強くなった去年から、今年はWWEとの提携もすすんでいるとか言われているから、よりカードも幅広くなるかもね。
 
もっとも、個人的には国内の団体ともっと色々絡んで欲しいなと思うんだけど、いろんな部分で差が大きくなってきているから、現実問題としての難しさはあるのかもね。
 
でも、年末のアイスリボンでも印象的だったんだけど、外人のお客さんも増えていたのよ。
 
て言うか、日本の女子の団体の試合に外国の人がいるなんて今までほとんど見たことがなかったから、結構びっくりしたんだよね。
 
アメリカでは中邑はもとより先ごろチャンピオンになったASUKA、さらにカイリにイオもいるし、トーナメントには里村や松本なども賛成している。
 
彼女たちにも海外からのオファーがあると言うし、オカダなんかもちょいちょい海外にも出ているから、日本のプロレスが世界的にもまた注目を集め始めているという状況になってきているんだろうね。
 
 
面白いなと思うのは、なんだかんだ定期的にしっかりと興行を打っているのは日本ではプロレスが一番ではないかと思う。
 
かつてK-1やPRIDE、今のRIZINのような大型のイベントは開催されてはまた消えて、と言うことを繰り返しており日本に根付いているとは言い難い。
 
ボクシングですら一部のファンのものになっている現状を見ると、そもそも日本人にはこういうシビアな勝負論、お金のために戦うというあり方自体があまり受け入れにくいのではないか。
 
そもそもスポーツ選手に対するお金の出し方自体が鈍い国だから、そこにさらに歴史の浅い格闘技はやはり成立しにくいんだろうな。
 
それに、そうしたいわゆる格闘技系イベントの主催者が相変わらず無差別級とか異種格闘技とかそんな世界観でイベントをやろうとするし、でもそこに金が集まる現状を見ると、それを求めてしまっている人が多いというのもあるのかもしれないよね。
 
 
私はどっちも好きだけど、なんだかんだプロレスってすきなんですよ。
 
ぶらりと見にいくなら間違いなくプロレスを選ぶ。
 
その理由って何かなと考えると、独特なゆるさもありながら緊張感みたいなものはしっかりあるし、何より見ていて最後には気持ちよく終えられるんだよね。
 
あれこれ文句を言うのも楽しいし。
 
今年もまたプロレスの成長に期待をしつつ、楽しんでいきたいね。