まずはこの動画を見てほしい。
まだ全日に武藤がいて、征矢と大森がGet Wildとして活動していた頃の傑作記者会見である。
テーアはタイトルに掲げたリマッチについてである。
新日本プロレスの1.4ドーム大会は見事に成功し、今年も新年早々ベストバウトと呼び声も高い試合が生まれている。
仲邑が防衛、柴田がシングル初戴冠、そしてオカダがついにドームで棚橋を破ってようやく一歩前に進むという期待感が生まれた訳であるが、其のすぐあとにAJ、中邑の新日本退団、そしてWWE入りが報じられ、またてんやわんや。
いくら新日本の選手層が厚いと言ってもトップ層については入れ替えが現状ない状態である。
それどころか棚橋の行く末もどう舵を切るかがポイントだろうし、オカダに次誰がどう絡んでいくのかも難しい。
期待された後藤、内藤はいずれもあと一歩突き抜けない。
内藤はせっかくいい感じに上がってきたのに、ドームで後藤に負けた事でにわかに存在感に疑問符がついてしまった。
勿体ないことを。
そして勝った後藤は相も変わらずあまりにセルフプロデュース力が低くて下らないアクションを繰り返している始末。
ダメダこりゃ。
唯一柴田のNeverについては、これまでの路線を踏襲しつつも新しい価値を作っていけるのでは、という期待感を持ったのだけど、早速石井とのリマッチが決まってしまい、正直がっかりした。
一応言っておくが、私は石井も好きだし、彼等の試合が面白いのもわかっている。
だけど、やっぱりマンネリズムというのは由々しき問題でもあるし、良いカードであればこそ少し寝かせてほしいという思いもある。
今年も早々に新日本がビッグマッチを発表したのだけど、そこでファンの間に上がった不安がこのリマッチ問題である。
冒頭に上げた動画に置いてもリマッチについてGet Wildの2人それぞれの見解を述べている訳であるが、彼等の言うようにリマッチを受け入れてばかりいたら終わらないし、ベルト挑戦の権威そのものが落ちてしまう。
プロレスにおいてはそのストーリー性も重要な訳で、其れを考えれば盛り上がった試合を選手のつながりだけでほいほいと組んでしまうのはやっぱり勿体ないというか、違うのではないかと思う訳である。
最近の新日本のカードを見ていると、どうしてもそう感じてしまうところがあるので、不満も出る訳だ。
一方の新日本側からすると、リマッチといっても同じ会場でやる訳ではないので、見る人は違うじゃないかと言う訳である。
それに中央でばかりビッグマッチ、名物カードがあって、地方では精々タッグでしか見られないという状態は結果的にプロレス人気の偏りを生むし、それにそうして話題になった試合を生で見られるということが重要なのは確かである。
何故新日本が全国でも大きな会場を満員に出来るのかと言えば、そうした地方のファンの期待に応えてきたからである。
其の上でクオリティをしっかりと魅せているのだから、それだけ新日本のレベルの高さを示していると思うけど。
ただ、それでも柴田・石井のリマッチはまだ切ってほしくなかった。
プロレスには試合の向こう側にストーリーを見ている人が少ない。
其れ故にただのリベンジマッチでは何処か納得しないファンがいるのはよくわかる。
相撲なんて実は毎回の興行でほぼ同じ組み合わせでもファンは都度の取り組みを楽しんでいる。
ボクシングにしても他の格闘技にしても、同じく見合わせに対してのファンの反応は其の実力の比較という視点になるから、別にそこまで言わないんだろうけど、そこが競技としての性質の違いだろうね。
ちなみにノアはベルトの扱い含めて新日本の道を踏襲しようとしているのかな、という印象を受けるがそれはまた別なところで。
ともあれ、試合に対する期待感をどれだけ盛り上げられるかがプロレスのタイトルマッチには重要な訳で、其れさえあれば同じく見合わせでも人は楽しめる。
現にオカダvs棚橋は何度目かの勝負でも十分ファンを引きつけた。
要はそこに必然性を見出せるかどうかなんだよね。