続・論理プロレス論考

観戦の感想、レスラー個々、そしてプロレスを見る私と、様々な角度からあれこれプロレスを語りたいブログ

会場の熱気

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昨日はKENTAのノアラストマッチであった。

4月末に電撃的な退団発表から、ノアでの試合はわずか2つ。

先のディファ有明と今回の後楽園であった。

今回はラストマッチということで、かつてのノアの看板タッグ、丸KENで迎え撃つは杉浦・中嶋組であった。

いずれも俺がプロレスを見始めた頃に少しずつ芽を出し始めて、今は中心にいる選手達である。

特に俺が好きなのは柴田と並んでこのKENTAであるので、柴田とのタッグを組んでいた時には実に嬉しかったものだ。

また杉浦も無骨で非常にいい選手だし、中嶋も既に「健介の弟子」ではない。

そして丸藤は言わずもがな、やはり天才と呼ばれる存在感は今も健在である。

最近はやや過剰なところがあるが、それでも今ではスタンダードになったジュニアに置ける腕の取り合いの際の動きなどを観るにつけ、こいつすげぇな、と思う訳である。

そんな豪華なタッグがダブルメインとして組まれていた訳であるが、その為当日券も販売開始時間には既に長蛇の列。

元々前売りで買おうと思っていたのだが、忙しくてつい忘れていたのである。

なんとか立ち見席を入手して、たまたま柵前には背の低い女の人だったので、リングはクリアに見えたね。


で、早速試合についてなのだけど、まず驚いたのはKENTAの圧倒的な支持率である。

伊達に昨年1年間ベルトを保持していた訳ではない、ということだろう。

実際ジュニアの体格でヘヴィの選手と真っ向からやり合うというわかりやすいスタイルで、気持ちはすごくみえる試合をするからそりゃ付くよね。

そしてベルトが外部に流出しており、期待されていた森嶋が中途半端なヒールを演じており、杉浦も今はシングルのタイトル戦線にはいないため、要するに期待できる選手がいない中でどこにファンが拠り所にするかといったときに彼しかいないだろう。

ところがそんなKENTAがいなくなる、という事はノアに取っては痛手しかない訳だが、一方でそれを送り出そうという気概がファンにもあって、やはり圧倒的な支持率である。


試合については、ある意味KENTAらしい試合といるものであった。

真っ向からの打撃戦という、ここ1年で彼が見せてきた試合をそのままに、て感じ。

よくも悪くも少し形骸化している感はあるが、それが消費されないのは一重にその背景に他ならないだろう。

不意を突かれてダウンをする場面が今回もあり、やはり危なっかしい。

それに、少し展開が一本調子になっているところがあるので、今少し幅広い戦略も取ってほしいところだ。

それでも丸藤のアシストもあり、最後はきっちり締めた。

それにしても、丸藤はやっぱりレスラーとして抜群にセンスがいい。

この間新日本の仲邑とタッグを組んだ事で、今は少し新日本的なスタイルを取り入れている感もあり、しかもちゃんと形にできる。

本当に器用だし、天才である。

それはともかく、観客席に山田邦子の姿があり、KENTAに花束を渡そうとしていたが、芸能人だからと特別にどうこうする事もなく、あくまで一般のファンを大事にしようという姿勢もファンの支持の訳だろう。

これからWWEへの挑戦と言われているが、是非頑張ってほしいものだ。


さて、この日はこの試合に引っ張られたこともあり、第1試合から観客も熱を帯びていた。

そして、この間女子プロを観たせいか、やっぱりなんだかんだ選手の基本的なレベルは高い。

新人の熊野ですらそんなにたくさんの技を使う訳でもないが、しっかりと試合を組み立てているし、それでいて新人らしい気持ちもしっかりと見せている。

もちろん相手ありきのプロレスだが、相手もさしてキャリアの長い選手ではない。

元々健介のところにいた奴だが、こちらもしっかりしている。

こういう基本的なところがある以上、まだまだこれからの期待はある。


そして新人以外でも、TMDKなんかは超優良外人である。

ヘヴィの体格でジュニアの選手に全く劣らない運動能力を持っている。

その上観客サービスも満点で、試合も見事。

こりゃ支持されるって。

多分他の団体を跨いでもトップクラスだろう。

ジュニアの選手でも、大原や原田、石森に小峠と、なんやかんや粒も揃っている。


一方でヘヴィはやはりキツい印象。

森嶋はあんな体たらくだし、マイバッハも相変わらず中途半端、ヨネは今一突き抜けないし。

こうして観るとヘヴィはTMDKだけじゃん、て感じである。

昨日はGHCの試合もあり、ヨネが挑戦した訳だが、結果は永田の防衛であった。

中盤までは頑丈な体を持ち味にうまく詰めて行ったのに、わざと技の間に無駄に長い間。

近くのファンが「ヨネ、休むな!ここで責めろ!」と幾度となく叫んでいたのが実に印象的だったが、とにかく試合展開がタルい。

なんでそこで畳み掛けないんだという話である。

挙げ句終盤になって今まさに決まるか決まらないかの際に経っての顔の張り合いとか、そうじゃねえだろうと。

それで負けてりゃ世話ないぜ、という試合だった。

ヨネは、もうないな。


試合後ナガダンスを踊る永田の背景に丸藤が忍び寄り、踊り終わりの最後に気づいて永田が驚くというナイスリアクション。

永田、わかってるな。

新日本ファンらしきの「永田気づけよ!」のヤジに「無理だろ」と答えたり、大事なところでちょっと噛んでしまったりしたら「噛んでんじゃねえよ!」というノアファンのヤジに「試合後なんだよ!」「噛んだっていいよ!」と答えるヤジの応酬が秀逸であった。

そして丸藤からの挑戦表明に「ゼアっ!」と答える永田に「どう言う意味だ!教えてこれ、そこの新日本ファン!」と、ひときわ目立つ一段に丸藤が振ると、なんと観客にスポットライト、更に彼等が「やってやる!やってやる!」とわかりやすいくらいの取り巻き感で応答。

次回挑戦が正式に決まった。

ここで動いたということも、ファンに次を期待させるアクションとして素晴らしい。

色々苦難も出てくるが、まだまだこれからである。

頑張ってほしいものだ。


それにしても、さすがは後楽園である。

ファンも熱いし、非常にプロレス的な空間が展開されて実にいい。

それに、ノアにも本当に熱心なファンがたくさんいて、一生懸命選手に声援を送る姿を見ても期待感があるよね。

恐らくこれも新日本の好調がもたらした副次的作用だろう。

やっぱりこういう団体が一つでもあると、ファンの方でも別な楽しみ方も出てくるからいいよね。

そして、最近ちょくちょくプロレス観戦にまた行くようになっているのだけど、こうしてリングの動きや熱気というのを目の当たりにするとまた通いたくなってしまうからな。


また行こう。