今日は新日本のドーム大会へ。
去年も行ったのだけど、今年も行ってきたのですね。
考えてみたら新日本の大会は1年ぶり、つまりこれ以外には行っていないのだけど、1年経ってどんなもんかしら、なんて一番安い席で観戦しに行ってきた。
まず全体から総括すると、去年に比べて演出はシンプルになった。
それでも別にみすぼらしい訳でもないし、華やかに演出されていたから、ある意味ではそういう話題作りの時期は脱したという事だろう。
そして大会中に昨年に引き続き今年の大きな大会については会場と併せて発表されたのだが、ここでの驚きは昨年と比べると観客のリアクション含め小さかった印象であった。
それだけ団体が大きく成長したという事だろう。
恐れ入った。
さて、そんな訳で試合についてであるが、正直良かったのは数試合であった。
いくつか期待のカードもあったが、期待はずれも多々あったね。
まず、第0試合として今回はバトルロイヤル的な試合が組まれていた。
出場選手は事前アナウンスはなく、入場曲がかかる時に初めてわかるというプチサプライズであったのだが、驚いたのがメイン級の選手が平気で出てきた事。
こういう時にレジェンドが出てくるのはいい事だよね。
別に試合なんて対してしなくてよくて、代表技をかませばそれで湧くから、こういう前座的な試合ではいい仕事をしてくれる。
一方でメイン級の選手をシレッとこんなところで使ってもビッグマッチが成立するのだから、今の新日本の強さを物語っている。
次にノアの丸藤、TMDKが参戦したタッグマッチだが、結局試合としては何も印象に残らないものだったのではないだろうか。
この試合では既にネームバリューのある丸藤の活躍などこの試合では望んでいない。
重要な事はノアにはすげえ外人タッグがいるんだぜ!ということのはずである。
実際試合前のインタビューでも丸藤はそんな事を行っていたのだが、蓋を空けてみれば2人の活躍はほとんどなく、唯一シェインが打点の高いドロップキックをかました時にはどよめく場面もあったが、あとはほとんど丸藤の付き人程度の印象しかなく、最後も丸藤が決めてしまっては何も意味がない。
しかも試合時間5分て・・・。
せっかくこの規模の人に見てもらうチャンスだったのに、本当に勿体ない。
次に鈴木vs桜庭。
同じプロ格闘技から出戻りという格好の2人で、かつてのUWFというものをベースに持つ2人なので、みのるがうまく煽って出来上がったような試合である。
桜庭もプロレスに本格参戦し始めて1年半とかになると思うけど、ドームにも2年連続で出場している。
昨年はグレイシー一族とのタッグだったのだけど、試合内容はまあしょっぱかった。
当時はまだ桜庭和志というネームバリューだけで持っていたが、それから1年経ってどれほどのプロレスラーになったかと思ったのだが、結論からいえば桜庭のやる気のなさとみのるのプロレスラーとしての高さが際立つ内容であった。
桜庭は相変わらず打撃主体であるが、それもなんか気の抜けたようなケリ技、唯一の見せ場はミノルに寄って演出された場外でのアームロックのみ。
そこでみのるの腕が完全に破壊された、という感じだが、その後は互いの頬を張り合い蹴り合いの意地の張り合いという展開だったのだけど、桜庭からはなんの気迫も感情も感じなかった。
試合はみのるのスリーパーによる失神によりレフレイーストップ。
桜庭が勝つ道理はどこにもないが、それにしてもひどかった。
そして何より酷いのは、試合後何故か握手をやはり無表情で求める桜庭、みのるはそれに応えて何事が耳打ちしているのだが、そこへ流れるUWFのテーマ、更に解説の山崎がモニターに大写しにされるというもの。
色々と演出側の意図はわかるが、これはない。
しかし、これを見て感動したとか色々のコメントがあったが、あの試合の後で一体何を感動しろと言うのか。
みのると桜庭にはUの頃に直接の接点はないし、みのるはUよりも藤原組、パンクラスである。
それぞれの当時の立ち位置自体は似通っていたとはいえ、2人に歴史的な意味での因縁は生まれない。
前田と佐山でもないし、前田と高田でもないのである。
それに、この試合の場合みのる側からのそれとは違う理由によるアクションによって成り立っているから、あまりUとかは関係ないはずである。
まあ、それはそれでいいとしても、とにかく桜庭がダメすぎる。
これ以上桜庭という存在がレスラーとしてどれだけ魅力的なのか、個人的には疑問である。
次にヘヴィのタッグマッチ。
晴れて柴田はキャリア通じて初のベルト戴冠となったのだけど、試合自体は正直パッとしなかったな。
無骨な同級生同士のタッグ、ということ自体は一つのストーリーとしてなしじゃないけど、要するに試合内容の問題である。
柴田、一体どうしたのだと思ってしまった。
なんか今の新日本の選手になってしまった感じだ。
もちろんいつまでも同じスタイルではというのはあるにせよ、なんか色が薄れてしまったような気がする。
去年出た時にはとにかく異彩を放っていたし、見るからにゴツゴツしていてよかったのに。
まあタッグマッチだし、相手外人だし、というのはあるからわからないけど、このタッグはそれほど面白くないかな、個人的には。
やっぱり普段は別々な場所にいて、ココゾッて時に組んだり戦ったりする方が面白いと思う。
そして、後よかったのはダブルメインの2試合。
まずはインターコンチの仲邑vs飯伏。
入場からワールド全開の仲邑はもはや完全に出来上がっているよね。
どう見ても笑いを取ろうとしているようにしか見えなかったが、それをやりきった仲邑にあっぱれだ。
同時にプロレス頭がさすがだと思った。
序盤は飯伏がややおちょくるように仲邑の動きを真似る場面があり、ややコミカルな走り出しになった。
会場のムードも仲邑の入場シーン含め笑いがこぼれていたのだけど、それを一気に遮断するように序盤からかなり際どい攻撃に打って出て、一気に空気を変えた。
その後も飯伏が要所要所で真似をするような場面もあったが、そこからは笑いとかには必ずしもならなかったし。
この試合では飯伏の順応性の高さも際立ったし、殺気立った試合展開も非常によかったね。
途中からマジで怒ってんじゃね?と思わせるような場面もあって、それが更に試合を面白くしたよ。
見応えのあるいい試合でしたね。
そしてラストはメインの棚橋vsオカダ。
因縁の2大エースによる久しぶりのIWGP戦だったが、全体的に思ったのはオカダの攻撃の幅広さと試合運びのうまさ、一方で棚橋の選手としては器用ではないが試合運びや流れをつくるうまさ、てところかな。
棚橋って技は多くないし、体格の割に昔は丸め込みが得意技だったりして実はパワーファイターではない。
そんな中では殴る、投げる、極める、飛ぶ、全て出来るオカダはやっぱりすげえなと思えるし、でもそれを含めても今回は棚橋の見事な勝利だったと思う。
一番すごいと思ったのは、終盤にこれで決まりかというところまで棚橋が追い込んだものの返された後。
明らかに棚橋が余裕で立ち上がったのに対してダウンしたままのオカダ、普通に考えてもう一発何か技をかませば決まるタイミングだが、それで決めてしまっても恐らく盛り上がりは今一だっただろう。
しばらく距離を置いてリング上をウロウロしながら攻撃できない棚橋がいたから相当考えていたんだろうね。
そこで繰り出したのは掟破りのレインメーカー、がこれは返されてしまい形勢逆転に持ち込む。
ん~、ここは正直すごいなと思った。
見た目のダメージがあまりに差がありすぎるから、中途半端な反撃されてもわざとらしくなってしまう、かといって投げ技などの大技をいきなりさせるのも意味わからないし。
そんな中でああする事で、自信のダメージに説得力も出るしね。
その後も意地の張り合いから、最後はハイフライフローの連射で棚橋が勝利。
試合後引き上げる時にオカダが涙を流していたのが印象的であった。
果たしてどんなコメントを出すのかが楽しみである。
と、まあザアーッと気になった試合だけピックアップしたのだが、16時に始った大会は20時前には終了すというショートパッケージに。
振り返っても10分以上の試合は少ししかなくて、ほとんどがそれ以下、しかも休憩という休憩も取られず、幕間に今年のビッグマッチ発表以外は合間もなく進んだ。
でも、そのお陰で却って観客も寒い中だれずに最後まで盛り上がれたのかもしれない。
ある意味興行としての運び方の妙だと思う。
今回は昨年よりも遠くで見ていた分観客の熱気も違いがあったとは思うけど、それでもこれだけ客が入って、最後まで歓声が飛ぶのだから本当にすごいよね。
さて、来年はまたどんな感じになっているのか、ある意味では今年からが本当の勝負かもしれないしね。
去年はとにかくファンベースを築いて、動員では大きく安定させた。
新規獲得がうまく行ったのだろう。
後はこれをどれだけ飽きさせずに根付かせるかである。
これから何をして行くかも見物ですね。