続・論理プロレス論考

観戦の感想、レスラー個々、そしてプロレスを見る私と、様々な角度からあれこれプロレスを語りたいブログ

スターダムのこれから 6.14後楽園

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今日はスターダム後楽園大会へ。
 
大会の目玉はなんと行っても宝城vs里村のチャンピオンシップと、世Ⅳ虎の引退セレモニーだろう。
 
新しいスターダムの中心として機能し始めた宝城に、いきなり超大物の挑戦である。
 
色々考えられるけど、奈苗なき今団体内に壁がいない状態。
 
このまま井の中の蛙的に発展していくにしても、キャリア的にもまだまだなのでやはり立ちはだかるものがなければならない。
 
とはいえ、ここで負けてしまうのはせっかくの勢いを折ってしまう可能性もある。
 
何より里村相手にどれだけファンを納得させられるか、ということが重要な訳だ。
 
 
そんな訳で、一先ず全体的なところから行くのだけど、前半はとにかくぬるい試合ばかりだった。
 
要するにレベルが低い。
 
第1試合は先日団体に復帰した加藤vs初日の出。
 
加藤がしょぼすぎる。
 
第2試合は3way、渡邊vs米山vsクリス。
 
途中までは悪くなかったが、結末のなんともガッカリ感。
 
第3試合はチェルシーのチャレンジマッチとて、アメリカのベテランを対戦。
 
う~ん、厳しい。
 
全体的に行ってとにかく流れがないし、テンポが悪い。
 
技の練習だけしてます、という感じがいかにも出てしまっていて試合になっていない。
 
みんなもっとプロレスの試合を見た方が良いと思う。
 
 
で、第4試合はイオ・岩谷vs外人軍団のタッグタイトル。
 
この試合は良かった。
 
選手個々の能力も高いし、試合としてちゃんと回っている。
 
岩谷も少し前までは器用貧乏というか、技は綺麗だしプロレス的センスもあるのにフィジカルがとにかく弱くて説得力がなかったが、今は着実に自分の良さを活かしてチャンピオンらしくなっている。
 
また外人タッグのスターファイヤーとニッキーも非常に良いレスラーですね。
 
彼女らは大江戸隊とてヒールになっているが、らしく場外乱闘もばんばんやっていて、いい味を出していたね。
 
技も迫力があって良かったし。
 
ただ、ちょっと大味な感じがあったけどね。
 
で、この中でもやはりイオは格段のレベルが高い印象だった。
 
ちょっとミスもあったけど、試合運びや展開なども非常に見事。
 
この団体では頭一つ抜けている。
 
結果はイオ・岩谷組の防衛。
 
良い試合でしたね。
 
 
で、ここで世Ⅳ虎の引退セレモニーが。
 
今日は後楽園はほぼ満員だったはずである。
 
一つはこのセレモニーのためだろう。
 
件の後初めて出てくるからね。
 
世Ⅳ虎が出てくると、場内は割れんばかりのコールと拍手、マイクでしゃべっている最中も男女関係なく引退を辞めるよう求める声が飛ぶ。
 
ある女性の「あなたのスターダムでの試合がみたいの!」という叫びには場内拍手。
 
何度も言葉を切りながらの挨拶となったが、途中イオ、岩谷、松本らが乱入。
 
世4虎に詰め寄る場面もあり、思わずマイクで「話が違いますよ」とロッシーに世4虎が詰め寄る場面が。
 
半ば強引に挨拶を終えて、早々に立ち去ってしまい、10カウントゴングもないままであった。
 
場内はやや微妙な空気が流れたが、そこで登場したのが再びイオ。
 
先の騒動でも場内の収拾の動いたのは彼女だが、本当に素晴らしいプロレスラーになったなと思う。 
 
そんなに気の利いた事を言った訳ではないが、場内の気持ちも察しつつ、次の試合につなぐ挨拶をして行った。
 
彼女はデビュー当時から図らずも観ていたけど、すっかり体格も含め立派になったなと思わず感心してしまった。
 
スターダムにとって彼女が大きな柱である事は言うまでもない。
 
 
で、そんな一騒動あった後のタイトルマッチである。
 
私は宝城のシングルは数年前に観て以来で、実際問題どうなのよ?と思っていた。
 
先のチェルシーとのタッグでは、正直微妙だなと思っていたけど、今日はその理由がよくわかった。
 
宝城はレスラーとしてはまだまだで、他の選手を活かすという段階には来ていない。
 
チャンピオンではあるが、胸を貸すどころかまだまだ借りる側の人間である。
 
技の見せ方なんかは非常に上手だし、綺麗なのだけど、プロレスはそれだけじゃないからね。
 
だから、格下の選手と絡むと途端にボロが出てしまう。
 
前回はイオ・岩谷組だったのでキャリアなどはまずまずだけど、それでも彼女らとて発展途上だ。
 
ましてパートナーのチェルシーをカバーしながらになると、やはりそこで力は出てしまう。
 
しかし、今回の相手は誰であろう、里村である。
 
男子レスラーも認める存在で、女子プロの最高峰と言われる存在、思いっきり行けば良いだけである。
 
そうなると、宝城の良さは途端に光る。
 
彼女はとにかくがむしゃらで、時に滑稽に映る事すらあるけど、観ていると応援したくなる存在である。
 
それに、着実に成長しているのである。
 
かつてはエルボーくらいしかみるものもなく、かなり強引な試合が多かったけど、最近は筋トレにも励んでパワーも付いた為か、投げ技も出来るようになってきてかなり試合の幅も広がっている。
 
いやぁ、見事ですね。
 
一方でまだまだ荒さは目立つし、もっとプロレスを観た方が良いと思うし、受け身もしっかり練習した方が良いと思う。
 
彼女のスタイルは真正面からぶつかって行くので、受け身がちゃんと出来ないと本当に選手生命に関わるからである。
 
実際今日の試合でも、里村が攻撃をあぐねる場面があった。
 
場外でのデスバレーを噛ました時に首をいためたのか、すぐに立てない場面もあったので、そこからはサブミッションメインになっていたし。
 
もしアソコで更に追撃させられるだけの受けの強さを身につければ、彼女は立派なプロレスラーとして確立できる気がする。
 
実際に今このタイミングだからこそ彼女の存在が光っているところはあるし。
 
イオがまだ控えているという安心感もファンにはあるだろうから、ここからの半年から1年、彼女がどう進化して行くが見物である。
 
ちなみに試合結果は30分ドロー。
 
最後までハラハラした展開は、ここ最近観た試合の中では一番良かった。
 
危なっかしい場面が多かったというのもあるけど、それでも30分間試合をちゃんと出来たのだから対したものだ。
 
これをもっと周到に計算した上で出来るようになれば、本当に格が変わるのだろう。
 
それと、里村はやっぱり素晴らしいレスラーだ。
 
醸し出す緊張感も攻撃のえげつなさも、試合運びも何も本当に素晴らしい。
 
今日も里村が相手でなければ見に来なかったかもしれないし。
 
彼女の試合は見る価値がある。
 
 
と、そんな訳で今日はメインとサブの2つが飛び抜けていたけど、反面団体力としては落ちたなという印象である。
 
恐らく奈苗が離脱した事による練習の質の低下もあるだろう。
 
また木村も今hあ離脱しているので、キャラクタとしてぴりっとしたところがなくなったもの痛いと思う。
 
ちなみにそんな中で気になったのは、惡斗が自身のユニットのタイトルマッチにも関わらずセコンドにもし姿を見せなかったことである。
 
まして木村も離脱しているというのに、外人勢だけにして顔も出さないとか、一体何を考えているのか。
 
映画のプロモーションだかなんだか知らないが、勘弁してくれよって。
 
ガッカリである。
 
 
ともあれ、これからの期待と一方で不安の両方が見事に表された大会であった。
 
半年後にどうなっているかが、この団体の命運を決めるだろうね。