続・論理プロレス論考

観戦の感想、レスラー個々、そしてプロレスを見る私と、様々な角度からあれこれプロレスを語りたいブログ

将来性と課題 -スターダム後楽園

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今日はスターダムの後楽園大会へ。
 
今回はシングル2つとタッグのベルト戦が3つあり、いずれもなかなかに素晴らしいカードであったから。
 
タッグは先ごろようやく戴冠となったジャングル・松本組に外人タッグが挑む。
 
松本浩代という師匠を見つけて以来、さらに成長著しいジャングルだが、果たしてどんな試合をするのか。
 
シングル戦は白いベルトを巡って王者・宝城に岩谷が挑む。
 
海外、WWE行きが暗に発表され、スターダム退団が報じられている状況なので、この試合で何を見せるかである。
 
スターダムとしてはラストの後楽園になるので、そこも行ってみようという理由の一つでした。
 
そしてメインはイオvsトニー・ストーム
 
先のシンデレラトーナメントで優勝して、外人勢としてエース格のトニー、一度イオに勝っているし、試合内容を見てもその実力はすでにファンにも認知されている。
 
何より美人だ。
 
 
そんな好カードが並ぶメイン3つだが、今日は試合全体としても良かったね。
 
前回見た時にはちょっと心配になっていたが、今日はカードの組み方も良かったのか、前座もなかなか面白かった。
 
まず1試合目はAZMvs新人の子。
 
柔道出身の子らしいが、投げ技はなかなかのキレがあるし、受け身もさすがの出来だ。
 
思い切りもいいので、なかなかいい素材だと思う。
 
でも、この試合で光ったのはAZMだった。
 
しっかりと受けるところは受けて攻めるとこは攻める。
 
相手の良さもちゃんと出しつつ最後は貫禄勝ちという、一体キャリアどんくらいだよという試合を見せたのには驚いた。
 
小さい時からやっているし、年齢的にどうしても前座で出て来るし、どちらかと言えばキャラレスラーだと思っていたけど、今日の試合は良かったね。
 
もう少し体格がしっかりしてきたら、本当にトップに食い込めるんじゃないかという感じだ。
 
スターダム内には同じスタイルのレスラーもいないので、かなり今後が期待できそうだ。
 
 
続く第2試合は6人タッグだったのだけど、ここでは刀羅ナツコという選手が光っていたね。
 
この子も前回見た時にはなんだかいまいちパッとした印象がなかったけど、今日は豪快さや佇まいも印象的で、次世代として期待できそうだ。
 
一方で美邑もだいぶ貫禄が出てきて、華も出てきたね。
 
カイリなき後にどういうポジションにいくかが楽しみだ。
 
 
続く第3試合は3wayシングル、HZKvs木村花vs外人選手。
 
外人選手は体格もあって華もあるけど、ちょっとアピールやパフォーマンスが多すぎて見ていて少しイライラした。
 
一方の日本人2選手はいずれもよかった。
 
木村花はやっぱりこのヒールっぽい感じの方が合っているし、とても花がある。
 
さすが花。
 
まだまだ荒削りだけど、結構パワーもあるし本当にちゃんとした技術もつければ一線級のレスラーに早々に入れるんじゃないかという気がする。
 
そしてHZKも、ヤンキーキャラに反してスタイルは割と正統派。
 
派手さはないけど実に堅実な試合をするので、見ていて安心できる。
 
派手な飛び技に走りがちな女子の中にあって、こうしたスタイルの選手は逆に貴重だろう。
 
AZM同様、イオと行動を共にするようになっていい影響を受けているのだろうということがうかがえる。
 
最後はこの子が締めたわけだが、動き方含めて良かったね。
 
 
ここまでがノンタイトルだったけど、どれもよかった。
 
前回大丈夫か?と不安視していて、カードの組み合わせの妙もあったとは言え、いずれもなかなか見応えもあったし、選手の将来性も見れて、とてもよかったね。
 
 
続いてタッグマッチ。
 
外人タッグもとても素晴らしかった。
 
スーパーヘヴィの選手もしっかり動けるし、技も切れている。
 
対する松本は女子プロ屈指のパワーファイターだし、誰とやってもスイングするその試合の安定感たるや信頼性は高い。
 
その中でジャングルがどれだけ見せるかだったけど、スターダムの次期エースはこの子だろうなと感じさせるには十分だった。
 
体系的にもどちらかといえばパワーファイターだし、割と可愛らしい顔立ちだが美形で売っているわけでもない。
 
しかし、がむしゃらな感じや、感情むき出しの全力ファイトは魅力的だ。
 
でも、彼女がここまで思いきれるのもやはり松本の存在は大きいだろう。
 
試合前のVTRでもそうだったし、コーナーに控えている時もそうだったけど、とにかく声を張り上げて背中を押しまくる。
 
その姿に二人の良好な関係性も見えて、こういうのっていいよね、とか思いつつ。
 
松本はフリーなので、ある程度定期的に組む選手やライバル的な選手はいると思うけど、いわゆる妹分のような選手はなかなかいないだろうし、昨今の女子選手のスタイルのトレンドから言っても同じタイプはなかなかいない。
 
何よりメンタリティ的に通じるところがないと肩入れもできないだろう。
 
鈴木みのると行動を共にしているのは伊達ではない。
 
そんな中で、彼女にとってはジャングルは可愛い妹分で弟子的な感じもあるんだろうね。
 
この試合はなかなか胸熱な試合でした。
 
最後に補足するが、外事選手2人もとても素晴らしかった。
 
100kgで場外へトペをかましたのにはさすがにびっくりした。
 
と、いうわけで試合後のナイス雄叫びを。
 
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2人ともいい顔している。
 
 
続いてはセミファイナル、宝城vs岩谷。
 
ついに海外へ飛び立つ宝城と、ずっと期待されていてそれだけのポテンシャルもあり、誰もが認めているにもかかわらずいまいち突き抜けられない岩谷。
 
この試合で何を見せるかが重要なポイントなのだけど、結論から言えば本当にあとは気持ちだけということを再確認したような試合だった。
 
試合前から楽しくて仕方ないという感じの宝城と、どこか間の抜けた感じの岩谷、2人とも違う意味で天然のようだ。
 
恒例の試合前の紙テープぐるぐるで、足に絡まりすぎてちょっと動けなくなっているし。
 
それぞれの持ち味の出た好試合で、期待通りの試合だった。
 
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最近よくある場外でのダイビングエルボー前のほうちゃん。
 
試合中にこの笑顔である。
 
この子の持ち味って、良くも悪くもというところがあるのだけど、この徹底的なスポーツライクさだろう。
 
アスリート的な試合を自然にできるのはこの子のキャラである。
 
だからこそのあのダイビングエルボーだろう。
 
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このダイビングエルボーね。
 
この試合では小橋から受け継いだというローリングクレイドルや連続逆水平も披露されるも、最後は岩谷のドラゴンに沈んだ。
 
試合後もなんだかほんわかしたやりとりがなされ、まあ変な因縁を無理に作る必要もないから、これでいいだろう。
 
でも、あくまで天然だからこそ面白い彼女のキャラなので、果たしてWWEでうまくやっていけるか試合は問題ないにしても、ここが大きな不安である。
 
頑張ってほしいね。
 
 
そしてラストはイオvsトニー。
 
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もはや言わずもがな、女子の全選手の中でも里村に並ぶのはイオしかいないといえるくらいのレスラーだが、一方のトニーもビジュアルも含めて一気に注目を集めている。
 
大味なキャラ優先の選手が多い中で本格的な実力はなので、この試合は実に楽しみだった。
 
その期待に違わないいい試合だった。
 
序盤はかなり静かな展開に終始して、じっくりと進んでいく。
 
この展開をできるのは引き出しがないとできないし、2人の実力を示している。
 
そこから一気に試合が展開して、しばらく場外戦も続く。
 
最近イオもかなりラフな展開をするけど、どんどん過激になっていてちょっと心配になる。
 
とはいえ相手を見ながらやっていると思うから、彼女のなりに試しているところもあるだろう。
 
さすがのトニーもその展開は避けたい感じが出ていたが、よく頑張っていた。
 
 
で、事件は試合終盤に差し掛かった時に起こった。
 
試合終了も見え始めた20分過ぎにお互いの大技の応酬が続いたのだけど、その中でトニーが見せた高速のパイルドライバーでイオがダウン。
 
脳震盪なのか、それとも頚椎をやったのかがよく見えなかったが、完全に動かなくなってしまった。
 
しばらく試合が止まって、ダウンカウントも数えられる中で突っかかるトニーをレフェリーが無理やり突き飛ばして引き離すという展開に。
 
それでもダウンカウントフルの前にトニーが無理やり起こして、ネックブリーカーをかますとようやくイオが動きだす。
 
でも、明らかに左側が動かない様子で、尋常ではないのは明らかであった。
 
その中で無理やり試合を進めてムーンサルトまでかましたのはさすがだったけど、見ている方はヒヤヒヤして仕方なかった。
 
ついこの間本間、柴田が頭部の負傷で長期欠場に追い込まれて、昨日も全日本で諏訪魔と崔が怪我をして欠場になって、大きな怪我が相次いでいる中でイオまでそうなってはとんでもない。
 
何より頭部、首の怪我は致命傷になるから、早く試合を止めて欲しかった。
 
試合はイオが時間切れで防衛となったが、試合後もほとんど動けない状態。
 
セレモニーなんていいから早く病院に連れて行かないと、本当に取り返しのつかないことになりかねない。
 
試合後に喋り自体はしっかりしていたし、ろれつが回らないということもなさそうだったけど、でもやっぱり左側が動かなかったのが心配だ。
 
くだんの試合後リングドクターが常駐という話だったが、そんな姿は見えなかったし。
 
 
そうして全日程終わったわけであるが、最後は宝城が締めることに。
 
状況を把握していないのか最後まで先に退場したイオを呼び続けていた。
 
試合後から塞いでいたトニーがかわいそうだったが、最後はそんな天然で、最後の掛け声も声ガッサガサな宝城に助けられて少し笑顔になったのはよかったね。
 
試合に事故はつきものだし、彼女はいい試合をしていたから、変なトラウマにならないように頑張ってほしいよね。
 
 
そんなわけでとてもいい試合がある一方で、相変わらず危うさを孕んでいるところにフロントの管理体制に疑問を持たざるを得ない。
 
どういう責任体制にしているのかはわからないが、社長のロッシーが動けないイオを目の前にぼけっとしている姿がなんともイライラした。
 
若い選手は向こう見ずに一生懸命やるし、責任感のあるトップの選手は無理をしてでも立とうとするだろう。
 
だからこそ、その後ろでしっかりとブレーキを踏む役割がいないと本当に取り返しのつかないことになる。
 
三沢がああして命を落としたのは、そのブレーキの役割の人がいなかったからだろう。
 
もちろんどうしようもない事故もあるけど、防げるものは最大限防がないと。
 
 
選手には将来性を期待できるものを見せてもらったけど、フロントには不安にさせられるものを見せられた、そんな大会であったね。
 
とりあえず、イオにはしっかり検査を受けて、もし怪我があれば無理せずにしっかり治してほしい。
 
宝城が抜けて、さらにイオもとなると確かに戦力的には大きなダウンだけど、下の選手が其の分きっと頑張れるし、宝城のようにそのチャンスにさらに成長する選手も出てくるだろう。
 
本当に、こういう無茶だけはファンとしてもしてほしくないと思う。
 
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選手の雰囲気は本当にいいからね。