続・論理プロレス論考

観戦の感想、レスラー個々、そしてプロレスを見る私と、様々な角度からあれこれプロレスを語りたいブログ

プロレスの社会性 -4.10両国

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今日は新日本プロレスの両国大会があった。
 
つい先日ニュージャパンカップで内藤が優勝してからまだ全然経ってない気がしていたから、あっという間に今日である。
 
せっかくならもう少し前哨戦で引っ張っても良さそうなものを、こうも早いタイミングでやるんだ、とちょっと驚いた。
 
私は両国へは行っていないのだけど、我慢できずついに新日本ワールドの会員になってしまった。
 
決意した理由は幾つかあるが、一つは先日の柴田vs小島の試合がテレビ放映もなかったこと、今日の試合速報が実に興味深かったこと、これで決めました。
 
廃人にならないように気をつけないと。
 
 
さて、入会したものの見たのはまだ2試合だけ。
 
柴田vs天山戦と、オカダvs内藤戦である。
 
前者は何と言っても柴田のファンだからだし、ツイッターなどの情報を見ると久しぶりに天山がよかったと。
 
では見てみよう。
 
 
煽りVでもあったようだが、柴田、天山といえば、別に因縁という因縁は実はそれほどない。
 
それこそ柴田が一時欠場から復帰した時のタイミングでは、天山が絶頂で、柴田とはあまり絡んでいた記憶はない。
 
確かにG1で新闘魂三銃士と呼ばれた3人を倒して優勝したのはあったけど、それは天山側からのストーリーで、柴田視点からではそれほどないかがあったとは思わない。
 
むしろこの前の小島は、当時3冠取ったりしていた絶頂時頃にビッグマウスで戦っている。
 
当時の柴田は格闘技路線に踏み入れる一歩手前で、試合数も少ないからかなり苦しい時期だったはずだ。
 
その時は小島に負けているが、貫禄も何もついた今に至った柴田との試合は完全に立場が違って、その意味で小島視点でも柴田視点でも面白みがあった。
 
一方天山については、今や試合はしょぼい、体もしょぼい、なんだか覇気もないという具合に、以前に比べると見る影もない状態であったので、そこへ柴田が手を差し伸べた印象もある。
 
ていうか割り食いすぎの第3世代全体に柴田が光を当てた格好なんだけどね。
 
ちょうど柴田が復帰した頃に全盛だった彼らに噛み付いていたのは柴田だし、その後永田が「俺は踏み台じゃねぇ!」というTシャツを着て戦っていたのはその数年後だ。
 
柴田個人からすればいろんな思いがあるだろう。
 
 
そんな前置きをおいた天山戦だが、確かに今日の天山は良かった。
 
体つきはさすがに全盛期には及ばないまでも、筋肉の盛り上がりとか体つきからここ数年のつるっとしかフォルムとは違ったし、何より攻撃一つ一つが違った。
 
撫でるだけのモンゴリアンとかではないから、確かに良かったよね。
 
しっかり見せ場もできて、天山ファンには嬉しかったんじゃないだろうか。
 
最後は柴田の勝利で終わったわけだけど、柴田ってのはいいレスラーになったよほんと。
 
試合後天山に一例をすると、介抱する永田の横っ面に蹴りを見合うあたりが素晴らしいね。
 
先にも触れたように、復帰してすぐに絡んだ相手こそが永田で、当時IWGPから陥落してすぐの永田に対して、日和ってんじゃねぇとばかりに喧嘩を売っていたのを今でもよく覚えている。
 
まだクソ生意気な若造でしかなかった柴田が、ここまで渋みも色気もあるレスラーになるなんて。
 
体つきもその当時とは全く違ってね。
 
次の試合も楽しみだ。
 
 
で、問題のIWGP戦であるが、この試合では何よりかつてないほど会場が内藤支持に回ったことが驚きであった。
 
それどころかオカダにブーイングまで飛んだのだから、異常とも言える状態である。
 
オカダは変な意味ではなく綺麗な正統派なので、別にブーイングを浴びるような存在ではない。
 
確かにマイクではやや上から目線な発言はあるものの、実力やその他のところでの発言から説得力もあったし、黙らせるだけのことをしてきた。
 
このブーイングがオカダへの不支持なのか、あるいは内容への支持の反動なのかは微妙なところだけど、少なくとも試合序盤ではその空気にやや戸惑うようなオカダの表情が印象的だった。
 
いつになく会場の反応を気にしているようなところがあって、いつもと違ったものな。
 
それでも終盤にはしっかりと見せたわけだけど、内藤側のセコンドの介入もあって王座を明け渡すことになった。
 
サプライズとしてはこの間までW-1にいた真田が新規加入、試合にも介入したのだけど、そうした一連にもブーイングが飛ばなかったことが何よりの驚きだったかもしれない。
 
 
確かにここ最近の内藤の動きは非常に面白い。
 
自己主張という意味において、彼は見事に成功している。
 
2年前の東京ドームでのIWGP戦では、煽りVで「夢を見て何が悪いんですか」なんてさわやかキャラだったのに、今ではすっかり変わってしまったが、彼にはこの方があっているのだろう。
 
それよりも会場のリアクションを見て、解説席でも状況について様々な意見が飛び交う中で、ミラノは一貫して会社への反発心、社会人ストレスのはけ口の投影として応援している、という見方をしていたのだけど、どちらかといえば木谷会長の掲げた「2億円プロジェクト」に対する批判としての支持のように思う。
 
内藤もその発言以降、対会長という表現も使うようになって、そこに対する支持が大きかったのではないかという気がする。
 
先にも書いたけど、オカダは綺麗なレスラーである。
 
華もある、実力もある、ビジュアルもいい、プロレスも強い、言うなれば見事なスターである。
 
もちろん彼自身すごく努力しているから、別に作られた存在というわけではない。
 
 
とはいえ、彼は間違いなく持っている人間である。
 
誰もがそのことはわかっている上、彼の努力とかも知っているから彼を批判することは別になかった。
 
しかし、そこにさして木谷会長の完全後押し発言があったことにより、ある種の嫉妬に近い感情が生まれた人はすくなくなったんじゃないかという気がする。
 
どうしてこいつばっかり!みたいなね。
 
投影されていたのはそんなジェラシーににた感情への爆発って感じがしたよね。
 
 
最近の社会の風潮を見ても、持っているものへのジェラシーみたいな感情からの炎上騒ぎって多い気がするんだよね。
 
それが今回の試合にも表れている感じがして、だからオカダもなんで自分がブーイングを浴びているのかわからずに戸惑ったのかなという気がする。
 
まあ、あくまでそういう見方もできるという程度に思ってもらえればいいのだけど、ある種そういう投影というものができるのもプロレスならではである。
 
他の格闘技のようにワンタイムの試合であったり、ごく個人のストーリーとしてしか楽しめないものに対して、団体という規模で見たときにもっと広く見えてくるものがあるし、そこに社会の縮図を見ることもあるのだろう。
 
だからミラノの視点も確かにそういう人もいるだろうと思うし、解説席があれだけ唸っていたあの状況がすぐに解決されないのも当然である。
 
そして試合後に木谷会長がこの試合に絡んで「これをどう解釈すべきか」というツイートをしていたが、早速さまざなリプライがあった。
 
この発言がどの状況に対してかは明言されていないけど、今後新日本がどう舵を切るのかが見所である。
 
 
年明け早々に中邑はじめ一線の選手が一気に離脱、棚橋もやや息切れのような状態になってしまった中で、このような混沌とした状態の方が却って面白い。
 
一方でそうした筋とは違うところで柴田がしっかりと見せてくれるから、結果的に大会として不完全燃焼という感じはファンにとってはないだろうからね。
 
選手層が厚いってのは、やっぱり大事だよね。