何となく毎年恒例になっているが、今年もアイスリボンの大晦日、後楽園大会へ。
10月に予定されていたテキーラ沙耶の引退試合も改めて組まれている他は、正直そこまで大きなカードはないと言える。
とはいえ、2つあるチャンピオンシップの挑戦者が10代タッグとこれまで中堅的なポジションだった尾崎である。
しかも尾崎については所属ではない。
それをメインの1つに据えるのはオープンな団体の方針を表しているのだろうか。
さて、第一試合はガントレットタッグマッチということで、勝ち抜き方式の変則的な試合形式。
割と団体内ではトップどころの選手も出ているし、準レギュラー的な存在になっている他団体の選手も出ている。
非常にわちゃわちゃした展開なので個別どうこうというのはないが、こういうお祭り興行ではこれくらいがちょうどいいのかもしれない。
試合は一時スランプに陥った朝陽が締めることに。
無事復帰できて良かったね。
続いては世羅vs朱里という、割と面白いカードの1つ。
世羅はいかにもプロレスラーっぽいタイプに対して、朱里は総合もやっていたので格闘技色が強い。
どんな感じかしらという話である。
試合はそれぞれのスタイルをぶつけ合う展開に。
朱里は打撃と関節を主体にした格闘技スタイル、世羅はジャイアントスイング始めオールドスクールな技が中心である。
世羅も昔とはずいぶんスタイルが変わったし、少し前まで大分大味な試合が多かったけど、細かな展開から大技につなげるなど、また少しレベルが上がった印象であったね。
とはいえ、結果は朱里が関節でタップを奪って勝利。
これで次の展開だろうか。
雪妃がシングルチャンピオンでいるため、世羅は朱里とのタッグでやっていくのもなかなか面白いかもしれない。
今後の展開に期待である。
続いてはタッグのチャンピオンシップ。
同じカードを続けて組むという勝負に出たわけだが、結論から言うととてもいい試合だったね。
謹慎明け以降今一突き抜けない印象のつくしだったが、ここへきてようやく本領が出始めている。
その中で奪取したベルトだが、そこに向かうは10代コンビ。
昨年デビューの鈴季すずは、試合前のあれこれも含めて実にいい味を出している。
元々気が強いのだろう、そこも含めて存在感が増している。
いぶきもデビュー当初は母のハム子と近いスタイルだったが、徐々に変化しており、思い切りの良さも出てきて試合内容も良くなってきている。
ほんと、若い子って見てて面白いよね。
試合はそれぞれつくし、すずがパートナーを振り回すような展開が続いて、何かの系譜も感じさせる。
序盤は若者タッグがかなりハイスパートに飛ばしていたものの、中盤からやや息切れ感も出てしまったが、それでも最後までやり切ったね。
特にすずは動きもよく、定番を上手く崩しながら応酬しており、大したものだと思ったね。
最後はやはりの貫録勝ちという感じだったが、今後を期待させるには十分だった。
それにしても、つっかのお母さん感がますます増しているな。
そしてダブルメインの1つ目、シングルベルトの雪妃vs尾崎、まさか尾崎がシングルベルトに、しかも後楽園クラスで挑戦するとは正直思っていなかった。
あのパワーと試合スタイルは、ことアイスリボンにあって独自性はあったし、ここのところ存在感を増しているのは間違い無いが、こんなに評価上がっていたんだね。
まぁアイスリボン自体、元々特定の選手だけにフォーカスを当てるようなやり方はしないので、その意味では順番が巡ってきたという見方もできるけど、いい意味で勝負に出ているな。
対する雪妃もここ数年の成長はめざましく、技や試合展開のバリエーションも増えて、チャンピオンとしての存在感も着実に増している。
惜しむらくはまだそれが団体内に収まってしまっていることだ。
スタイルもよく見栄えもいいし、もっと広く活躍できるポテンシャルは十分にありそうだが。
で、試合については引き出しの差が出たなというのが実際ではないだろうか。
良くも悪くもパワーで真正面からぶつかっていく尾崎に対して、雪妃はきちんと組み立てがなされていた印象である。
さすが頭がいいんだろうな。
攻め込まれる展開があってもどこか余裕が感じられたし、見ていて危ないと思う場面は個人的にはなかった。
また最近は尾崎魔弓と組んだりもしている影響だろう、エグい攻撃も普通に出てくるようになって、ずいぶん幅が広がっている。
決め技もタイガードライバーやキャプチュードなどの投げ技から、ファーストフラッシュみたいな蹴り技、スノーターンボムのような飛び技と充実しているし、出すポイントもいい。
いやほんとに、後は外に発信する力だな。
そしてメインはようやく迎えた、というべきか、テキーラ沙耶の引退試合だ。
女子では恒例ともいえる何人がけのやつだが、今回は38人がけ、一人1分とはいえ、これはなかなかハードなやつだ。
所属選手はじめ、これまでも参戦していたアクトレスやWaveなど、幅広に登場。
一部引退した選手なんかも登場して休憩タイムがあったり、かと思ったら終盤では地獄のドSタイムがあったりと、結局ハードなままであった。
それでも何とか最後まで行けて良かったね。
図らずも伸びた引退ではあったが、却ってよかったのではないかという大円団であった。
しかし、この試合でも光ったのはテキーラのプロレス力というか、試合ごとに言葉や展開も絶妙に展開させていたし、それは序盤から終盤まで変わらなかった。
こういう頭の回転はさすがだと思うし、引退がもったいない感じがしてしまうところでもある。
今後は裏方に回るっぽいので、是非その辺りの手腕に期待したいところだ。
すっかり恒例になったこの年末後楽園だが、今回は1300人を超えるなど集客面もとても良かったようだ。
実際客席はほぼ埋まっており、北側席も開放していたくらいだしね。
女子プロを全盛にしたいと宣言したつっかにとって、今年のスターダムの一連はとても穏やかな気分ではなかったろう。
まして自分が発掘して育てた選手を結果的には引き抜かれた上に、裏切りに近い形で出て行かれては、そうそう余裕かませないよね。
早速PR掛けまくりのスターダムである。
その中でアイスリボンはどう戦っていくか。
来年はその辺りの大きな鍵になるかもしれないね。