続・論理プロレス論考

観戦の感想、レスラー個々、そしてプロレスを見る私と、様々な角度からあれこれプロレスを語りたいブログ

真面目さの足かせか -渡辺桃

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プロレスはエンターテインメントである、というと少しネガティブなニュアンスも含んでしまうかもしれないが、プロはショービジネスに限らず須くエンターテインメントであるべきだと思っている。

 

私は社会人の全てを広告畑で過ごしてきたが、クライアントへの提案にもただ単に合理的な納得感よりも、どこかワクワクするような期待感みたいなものが決定打になることは決して少なくない。

 

私はそういうのが苦手なので、真面目さと誠実さみたいなものしか営業として売りにできなかった。

 

そこをこそ買ってくれる人もいたから、今でも営業をやっているが、いずれにせよエンターテインメントのできる人はどんな世界でも成功しやすいのは間違いない。

 

短い人生、せめて楽しく行きたいからね。

 

 

さて、ブシロード傘下になって以降、その飛躍著しいスターダムであるが、最近注目されているのはジュリアにひめか、なつぽいら、明らかにビジュアルも魅力的な子達だ。

 

まあ、彼女らのこれまでもそれとなく知っているから、彼女らに対しての批判的な気持ちは全然ないんだけど、とはいえ団体という視点で言えば生え抜きの子達をどうしても贔屓してしまうのはプロレスファンならわかってくれるだろう。

 

ジュリアはアイスリボンの時も観ていたから、今の活躍を見れば人生の選択はときに批判を浴びてこそだ、なんて思うし、ひめかにしても顔は圧倒的に可愛いながら、あとはでかいだけで中途半端というアクトレスの頃を思えば、だいぶ大きな飛躍をしたと思う。

 

朱里はもうね、言わずもがなですよ。

 

ただ、こうした彼女たちの台頭がある一方で、スターダムの団体という観点で言えば、生え抜きの中で岩谷以外はなかなか苦汁を舐めている印象がある、というのが実際である。

 

最近になって飯田がいい感じになってきたが、とはいえ言い方は悪いが、ビジュアルはやっぱり才能の一つだ。

 

特にこうした人気商売にあっては、観た目はいいに越したことはない。

 

でも、それだけじゃないのがアイドルとプロレスの違いであろう。

 

飯田もそうだけど、ビジュアル的にキラキラしていなくても、その泥臭さこそ魅力というところがあるのだ。

 

プロレスが人生だ、ヒップホップみたいな物だ、その人が何者なのか、どんな価値観なのか、それを全て見せるからこそ、熱狂的なファンを産むのである。

 

 

そんなプロレスファンの私が、最近観ていて本当に歯痒いような気持ちになるのが、スターダムの生え抜き、中学生の頃からリングに上がっており、いち早くそうしたキッズレスラー的な見え方から脱皮して、ベルトの最多防衛記録ももっているにも関わらずイマイチ日の目を見ない渡辺桃だ。

 

日の目を見ない理由もわからないではない。

 

プロレスラーとしての彼女の印象は、一言で言えば真面目だ。

 

今やWWEで活躍するイオの設立したQueens Questというユニットに入って以来、バチバチの実力はとして成長したものの、ここ最近は林下詩美や元アイドルの上谷のプッシュにより、割りを食っている感は否めない。

 

一応言っておくが、詩美も上谷も私はそれなりに評価しているつもりだが、プロレスという目線で言えばどう考えても桃の方が説得力から何から上だと思っている。

 

悪くないよ、2人とも。

 

ビッグダディ云々抜きにしてスター性もあるのもわかるし、上谷も可愛いしそのくせ泥臭いところもあるし。

 

だけど、桃のここ最近の扱いを見ていると、あまりにも切ないのだ。

 

先の新日本のドームでも、QQの他のメンバーが出ている中で、リーダーである彼女だけがリングには上がれず、セコンドに徹していた。

 

彼女は確かにビジュアルで売るタイプではないし、試合のスタイルも玄人受けするタイプなのはわかる。

 

AZMも渋い試合展開ながら、彼女は実力は随一なのは知っているのでこうしてスポットを浴びるのは嬉しいけど、なぜ桃は上がらんのだ!?と、どうしてももってしまうのだ。

 

 

試合前のあれこれでも、彼女が真面目なのはよくわかる。

 

歯痒いくらい生真面目と言っていいだろう、それは彼女の課題かもしれない。

 

実力はあってもアピールが得意じゃないから割りを食ってしまう、そんな姿が観ていて切ないのだよ。

 

彼女自信がどう思っているかわからないが、すでに引退した花月も彼女への期待をしていたのは、旧来のファンなら知るところだ。

 

排他的な話をしたいんじゃなくて、こうした不器用な選手にももっと目を向けて欲しいという話なんですよ。

 

周りからフックアップしてもらわないといけないほど若手でもない、でも年齢で言えばまだ20そこそこだ。

 

そんなに大人にはなれないよね、という中でやっているわけだが、観ていて切なくなるのである。

 

 

ともあれ、最近では朱里とのベルト戦や、元スターダムな高橋奈苗やよしことのあれこれでも早々に試合が決まったあたりには、団体として一定の信頼性を得ていることは観て取れるだろう。

 

まあ、因縁が成り立つキャリアの選手が少ないというだけの事実もあるけど、少なくとも奈苗と当ててもいい試合をするだろう、と言えるだけの存在感はあるということだ。

 

プロレス的なストーリーという観点はあるにせよ、マイクを撮ったジュリアが蚊帳の外に出されるくらいなので、そこには実力があるのだ(ちなみに、ジュリアもアイスリボン にいた時とは別人というのは重々承知である)。

 

体系的にちょっとぼてっとしたところがあるので、もう少しシェイプアップした方がいいかなとは素直に思うけど、この渡辺桃はいい試合をするのだ。

 

先の詩美とのベルト戦もほとんど勝っていただろうと思うし、今度の朱里とのベルト戦だって、どうか噛ませ犬にはなって欲しくないと本当に思っている。

 

私はこの試合を見るために久しぶりにチケットも勝ったよ。

 

10周年の後楽園じゃなくてね。

 

 

人間根っこは良くも悪くも変わらない。

 

だからこそ歯痒気持ちにもなるし、やるせなくもなく。

 

私個人の願望としても、やるべきことをきちっとやって、実力のある人がちゃんと日の目を浴びる思いをして欲しいと本当に思うんですよ。

 

プロレス的な目線で見ると、今朱里を負けさせる理由はないし、殊朱里については実力がフェイクじゃないから尚更難しい部分もあるけど、桃にはもっと日の目を観て欲しいのですよ。

 

30日の高田馬場は、私は彼女の戴冠する姿を観にいくのである。

 

あの畳み掛けをできる選手が今のスターダムにどれだけいるのか、スターダムだけでなく、少なくとも同世代のレスラーと比べてもなかなかいないぞ。

 

まあ、個人的には彼女のような一重の女の子好きなところもあるけど、私も仕事でアピールは得意じゃないし、とにかく結果で示すしかないと思っているタイプなので、勝手にそうしたものを重ねているだけかもしれないけど、もっと評価されて欲しいんですよ。

 

ショービジネスの中に生きているので、もっと欲を出して、頑張って欲しいな。