続・論理プロレス論考

観戦の感想、レスラー個々、そしてプロレスを見る私と、様々な角度からあれこれプロレスを語りたいブログ

衝突の解決方法 -アイスリボン0708

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今日はまたアイスリボンの後楽園へ。
 
月一の後楽園大会にはここ最近は結構な頻度で見ているんだけど、なんだかんだ今のこの団体にはいろんな見所があるんですね。
 
最近活況を呈しつつある女子プロレス界であるが、その中でも非常に面白いと思う。
 
プロレスの何を楽しむかは人それぞれだろうけど、人間模様だったり女の子たちのガツガツしたところとか、そういうのを観ていて色々と考えさせられるわけである。
 
その期待にたがわず、今日も非常に色々の事があって、また今後が楽しみになりましたね。
 
 
その中で今回あえて一番中心に置くのは第1試合。
 
全体的に今日は重たいトーン、テーマの試合が多かったと思うのだけど、その中でやけに個人的に気になったのですね。
 
松屋うの・つくし組vsテキーラ沙弥・ジュリア組のタッグマッチ。
 
なかなか目に見えた結果が見えないそろそろ中堅に差し掛かりつつあるうの、沙耶、一方でデビュー当時から注目されておりそろそろ結果が求められ始めるであろうジュリア、そして件の事件以降すっかり大人しく変に遠慮しているようなつくしという、試練を迎えたメンツによるタッグマッチだ。
 
この試合ではつくしのプロレス的な能力がやっぱり抜きんでていたんだけど、個人的に印象に残ったのはテキーラ沙耶であった。
 
デビューしてまだ2年とかだけど、実は年齢的には34歳とかなので、決して若くはない。
 
元々社会人としてのキャリアがあって、ヘアメイクなどもやっていたらしいので見た目にこぎれいな印象で、しかもテキーラのソムリエの資格も持っているという変わり種なので、その意味でもなかなかのキャラクタを持っている。
 
動き自体は決して悪くはないし、プロレスが下手とかそういうこともない。
 
だけど、反面イマイチ試合のインパクトにも欠けるというのが正直なところで、なまじ大人だから強烈に主張をすることもないからこのまま埋もれてしまうのかというくらいのタイミングだろう。
 
おなじみ週プロモバイルの後楽園前のつっかのインタビューでもその辺りに触れられていたわけだが、今日の彼女はなんだか雰囲気も違ったね。
 
試合は彼女がつくしから丸め込みで3カウントをとったんだけど、試合後に雄叫びをあげた彼女の姿はこれまでのスマートな印象とは違ったし、その後セコンドについている時もなんとなくこれまでの小綺麗な印象とは違って、色々葛藤とかもあるのかな、なんて思ったわけだ。
 
あまり色々な主張を表に出す事が得意ではない人も世の中にはいて、それが理由で成果がなかなか認められない人は少なくない。
 
やっている当人からすれば努力もしているわけだけど、特にこういエンタメの世界ではそればかりが結果をうむとは限らないわけで、そこに葛藤は生まれるだろうけど、自分の求める注目率を集められていないことは、プロレスラーとしてはやっぱりちくしょーと思うだろうしね。
 
これからどんな風になっていくのか、ここから半年くらいが彼女にとっては大きな岐路になるのかもしれないね。
 
 
続く第2試合は下克娘+アクトレスvs10代の6人タッグマッチ。
 
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この試合は今日のカードの中ではかなり明るい試合であった。
 
下克娘+アクトレス本多は、最近和解して組むようになったとて入場時も一緒に踊っていた。
 
対する15歳3人娘はまあ元気。
 
華蓮は格闘技のバックボーンがあるので元々動きもよかったし、明らかにプロレス的なセンスもいいので見るたびに結構驚くんだけど、今日はハム子の娘、いぶきに一番驚いたね。
 
思い切りよく当たっていくし、動きもお母さんよりも当然だが俊敏、前に観た時とは別人みたいだったね。
 
朝陽も徐々に良くなっているけど、この二人に比べるとちょっと遅れているかなとは思う。
 
結果は年上チームの勝ちだが、今後が期待できる子たちがいてよかったね。
 
 
続く第3試合は世IV虎華DATE vs トトロ・直DATEのタッグ戦。
 
世IV虎については復帰してから見るのは初めてであるが、アイスリボンにあってこれまでなかなかいなかった大型選手、トトロさつきにとってはようやく真正面からぶつかれるタイプか。
 
それにしても、改めて観ていて思ったのが世IV虎っていわゆるパワーファイターではないんだよね。
 
体がデカイ(ていうか重い)し、ライアットをよく使っているのでイメージとしてそう思っていたけど、動きは早いしその速度と体重を生かしてぶつかっていくような攻撃が主体なので、実は大きな技は持っていない。
 
対するトトロは、まだ戦い方が独自のものになっていないし、この試合でもまだまだ生かしきれていなかった。
 
この子はそこまで敏捷性が高いわけではないので、もっとパワーをつけて真正面からのパワーファイターを目指した方がいいように思う。
 
それこそ尾崎とかの方がパワーがありそうだし、たんにデカイだけでは存在感は示せないからね。
 
それにして、華は正直プロレスラーとしてはまだ最適化できていないと思うんだけど、キャラクタとかはさすがというか。
 
見た目は普通に可愛らしいし、今日も世IV虎に寄せてヤンキー的なムーヴをやっていたんだけど、逆に言えばそれしか印象には残っていない。
 
とはいえ、これもプロレスの面白いところで、それはそれで一つのスタイルにもなるから、できればもっと試合自体ができるようになるといいんだけどね。
 
 
続くは私もイマイチよくわからないが氷結相撲。
 
一応ベルトもあるんだけど、元々は3wayのベルトを氷結相撲として位置付けているだけなのだろうけど、鈴木秀樹が絡んでいるからすっかりネタベルトだろう。
 
そこに藤田あかねが絡んで、今は都もきたから完全にコミカル担当になっている。
 
試合も終始笑いが溢れる展開で、すっかり鈴木秀樹がこの路線に慣れている。
 
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試合コンセプトから試合中まで、ずっと?だったが、面白かったからいいや。
 
どうやら横浜文体まで続くらしい。
 
 
続くは次期シングルベルト挑戦権獲得兼先日タッグベルトを落としたばかりのアジュレボ、世羅vs雪妃。
 
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気合満点の雪妃だが、序盤から元気良かったものの、早々にアクシデントが。
 
世羅の腕を攻めに出たわけだが、ちょっと当たりが悪かったのか世羅が明らかにアクシデントな痛がり方。
 
幸い脱臼などはしていないようだったが、その後はちょっと失速。
 
それでも意地でやり抜いた世羅は大したものだが、期待していた分ちょっと残念な部分も。
 
とはいえ、それで変に萎縮せずにその右手を攻めに行った雪妃には成長を感じたし、最後は三角絞めのような形で世羅が落ちたのか、レフェリーストップであった。
 
試合後、客席にいた志田に急に絡み出した世羅、そういえば志田も元アイスリボンなんですね。
 
数年前に退団して以来らしいのだけど、辞め方として結構揉めたのか、試合後に世羅が激昂、正直観客も誰もついていけていない状態だったが、とりあえずシングルマッチや志田の自主興行ん宣伝をして一旦引くことに。
 
どうなることやら。
 
 
そしてセミファイナルは、先にアジュレボからベルトを奪取したらぶっちゃvsアイスリボンOG、希月・真琴組。
 
ふと思い出したけど、アイスを見始めた頃にはまだ希月は所属で、確かベルト戦だった気がする。
 
その後フリーになって色々な団体に出ていたようだが、正直活躍していたとは言い難いだろう。
 
しかし、なんかジュディ・オングみたいだったな。
 
試合はらぶっちゃの防衛で幕を閉じたけど、もちがだいぶレスラーとしての成長も見られる試合だっただろう。
 
 
最後のメインはつっかvsくるみのシングル戦。
 
殊プロレス力では団体のトップ2と言っても過言ではないいいカードである。
 
フィジカルについては確実にトップと言えるくるみに対して、プロレス力ではやはりずば抜けたツッカ、過去の戦績ではくるみが勝ち越しているんだけど、総合的に見てつっかだろうなと思っていたんだけど、結果はつっかの勝ち。
 
途中かなりあやうい展開もあったけど、終盤になればなるほど引き出しの差が出ていたし、やっぱりつっかすごいと思わせるには十分だっただろう。
 
ただ、ビーナスシュートはフィニッシュブローには向かないね。
 
ともあれ、ここぞという場面での畳み掛けや切り返しなどは、キャリアのある選手は伊達じゃないというところを見せてくれるね。
 
 
この試合後にも色々の展開が。
 
まず負けたながらも文体でやりたい相手としてくるみがあげたのが、第1試合に登場したつくし。
 
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多分ファンの誰もが思っていたであろう、何いつまでもそんなところでちまちまやってんだ!ということをくるみが代弁。
 
本来はベルトをかけてやりたかったということだが、実際彼女にはそれだけの力があるし、そこにいて当然の存在である。
 
それがあの事件のせいで謹慎があったわけだが、復帰後コスチュームも戻したわけだけど、結局パッとしないまま。
 
そのままで終わるにはあまりにもったいない存在だから、そこにもともとタッグも組んでいたくるみが真正面から切り込んだのは、よかったよね。
 
つくしも涙を流して答えたわけだが、いつまでも過ちに囚われても仕方ないからね。
 
取り返しがつかないことをしたわけでもないんだから。
 
そして雪妃も正式につっかに挑戦表明して、文体のメインを飾ることに。
 
志田についてはどうなるかはわからないが、ともあれこれもつっかの仕掛けだろう。
 
こんな感じで、色々の事が起こって幕を閉じた。
 
 
先にも書いたけど、プロレスにはいろんな見方があって、単に技の攻防を楽しむのもいいし、ストーリー的な捉え方をしてもいいし、もっとレスラー個人にフォーカスしても面白い。
 
それがプロレスだし、実は女子プロの方がそうした人間模様が色濃く出ているように思う。
 
仕事でもしばしば「女は感情でモノを言う」と言って毛嫌いしている人も実際いるんだけど、だからこそ逆に活かせるところもあるし、こういうエンターテイメントでは面白いところもある。
 
多分女性の方が性根が真面目なので、それが絡み合うとエンタメにも関わらずマジな闘争を生むから、見ていると面白いし、グッとくるところもある。
 
まだ若い子が多いから、ちょっとの失敗やうまくいかなさなんて気にせずに頑張れよって思うし、一方で自分と近い年齢の子たちには、また違う目線で応援する気持ちにもなる。
 
それこそつっかもそうだし、沙耶もそうである。
 
トップとしてどう動くかという立場と、現場という立場にあってどう動くかというところでの違いはあるけど、いずれにせよ見る人の立場によっても共感できるレスラーも側面も違うだろう。
 
余談だけど、今日は北側席は女性専用席として開放していたようだけど、かなり食い入って見ている感じもあったしね。
 
実際アイスリボンは特に女性ファンの拡大を声高に叫んでいる。
 
相変わらずアイドル的な見られ方をしている分、男性ファンの方が多いけど、むしろ女性の方が楽しめる側面もたくさんあると思う。
 
流石に会社で上司を殴るわけにもいかないけど、プロレスでは殴って解決する世界だから。
 
好みはあるにせよ、そのわかりやすさって結構面白いと思うんだよね。
 
是非とも一度見てみてほしいし、女性のこそオススメしたいエンターテイメントである。
 
と、男の私は思うのであった。