ASKAがバリバリのトップ戦線で存在感を示している中で、彼女の活躍は日本のプロレスファンとしてはやはり期待せずにはいられない。
ちょっとストイックすぎるところがあるので、それがWWEにいてどう的そうさせていくかが見所だろう。
そんな嬉しいニュースがある一方で、彼女の所属していたスターダムはカイリに続くトップ選手の離脱により戦力的には大きな痛手ではあるが、それを埋めるべく新しいスターが頭角を現し始めている。
イオと同じユニットとして活動しており、団体の中でも若手だった渡辺桃である。
赤いベルトがようやく花月に移ったとはいえ、これまでトニーストームが持っていたことで実質団体トップであるはずのこのベルトが機能していない中で、2番手的な位置付けだった白いベルトをイオが持つことでベルトの存在感がまし、むしろこちらが本流のようになっているわけだが、そのベルトをイオから奪ったのがこの渡辺桃である。
その意味合いは言わずもがな、だろう。
正直数年前までは彼女がこうして中心的な立ち位置になるとは私は思っていなかった。
彼女がデビューしたのはまだ中学生だったと思うけど、細い目で細い体で、あくまでジュニアレスラーの一人、ファンとしても自分の娘や孫でも見るような目で彼女を応援していただろう。
いっときはジャングル叫女とJKグリーンというユニットも組んでいたけど、純アイドルというわけでもなく、そのビジュアル含めて親しみやすさの方が全面に出ていた。
そんな彼女が変わり始めたのは、やはりイオと合流してクイーンズクエストというユニットとして動き始めてからだろう。
高校生も卒業するようになると、体も出来上がってくるし、特にデビューの早い女子レスラーにとっては一つの岐路になる年齢だろう。
あくまで前座~中堅くらいになるのか、そこから一歩先へ出るのかというところで、彼女は一歩前に出たのである。
それまで大きな実績もない中だったにも関わらず、ここ半年くらいの結構大きなものだった。
元々はこんなである。
体もサイズアップして、ファイトスタイルや、笑うと目がなくなるくらい細かったのにそういう親しみやすさは封印して、かなりガチガチのスタイルへシフトチェンジして行ったわけだが、その甲斐あって今では団体のイチオシ選手にまで成長したわけだ。
なんて言いつつ、私は最近スターダムを見にいっていないので、実際の彼女の今の試合についてはわからない。
あくまで週プロなどの紙面で追いかけているだけである。
なので、多分プロレスラーとしての実力はまだまだなのかもしれない。
だけど、彼女は彼女で近くで見て来たイオのすごさをきっとわかっているし、だからこそ自分にかけられた期待と実力や評価との間で結構なプレッシャーだろう。
それでも先の初防衛戦でもしっかりとメインを勤め上げたようなので、たいしたものだ。
スターダムの面白いところは、あるタイミングで主力の選手がごそっと抜けることがこれまでもよくあったが、その度に大きく成長して中心になる選手が出てくるところである。
プレレスラーの技術的な側面でいえば、それでもイオ以外は足りないところがたくさんあったけど、見ているこちらとしては非常に惹きつけられる魅力のあるレスラーに成長した。
やっぱり気持ちとか精神的な要因て結構大事で、背負ってやるぜという決意はかなり大きいのである。
精神論は馬鹿にできない。
この団体は一定の周期でトップの選手が入れ替わっているのが面白くて、しかも思っても見ない子がものすごく成長したりする。
しかも短期間で。
色々批判されることも多いけど、そんなものはたいした問題ではないよね。
この後この渡辺桃がどんな成長を遂げるのかはまだまだこれからの話だけど、彼女はまだ19歳。
人としての成長はこれからである。
人が成長するために日々の小さな努力は必要不可欠だが、その変化が訪れる瞬間は一瞬である。
これから彼女がどんな成長をするのか、楽しみだよね。
それにしても、自分がおっさんになったのかなと思うのが、こうして年端もいかないうちから見ていた子が、こうして一人前に成長していく姿がぐっとくるんだよ。
彼女に限らず、今やWAVEの主力選手となっている大畠も、元々はあんな感じじゃなかったんだけど、すごく大きくなったよね。
今って、ほら、女性の社会進出が叫ばれて久しいし、実際にすごいなって思う女の人もたくさんいるわけだけど、環境的に言えば男と対等に扱われるかと言えば必ずしもそうでもない現実がある。
そんな中で、プロレスというある種特殊な世界の中で、いろいろな目にさらされながら、批判に遭いながら、いやらしい目にさらされながらも戦う姿というのは、結構いろいろなものの象徴にもなるように思うんだよね。
だからこそ、女子プロレスは女性にこそ見て欲しいと個人的には思っている。
これからの渡辺桃に期待である。