続・論理プロレス論考

観戦の感想、レスラー個々、そしてプロレスを見る私と、様々な角度からあれこれプロレスを語りたいブログ

スターダム 4.29両国大会

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さて、1発目の記事は去る4.29両国で開催されたスターダムのゆずポン引退興行について。
 
ここ数年の女子プロ、並びにプロレス界でも話題をかっさらったのはゆずポンこと愛川ゆず季であった。
 
グラビアアイドルが本格的なプロレス参戦とあって、話題性はそら十分だ。
 
当時アイドルとしてうだつの上がらなかったとはいえ、ある程度全国放送にも出ていた現役アイドルだけに注目度は高かった。
 
とはいえ、当時はどこまで言っても色物視されていた事は否めないし、実際私自身「舐めんなよ」が率直な感想であった。
 
仮に彼女を話題性だけで勝たせるような展開などした日にはいよいよプロレス界は終わると思ったものさ。
 
 
ただ、当時驚いたのはこの子が所属したのがスターダムだったという事。
 
まだこの団体自体発足してすぐであったし、どう転ぶかもわからない状態だったしね。
 
この団体自体、女子プロ会の重鎮・ロッシー小川とここ最近ではトップ人気を誇っていたアイドルレスラー風香がGMとして立ち上げた団体という事もあり、個人的には興味を持っていた。
 
風香はアイドルレスラーという事もあり、デビュー当時から負けても頑張る姿を、みたいな存在であったが、ある時期からアスリート気質が開花、総合にも打って出るなどかなりアグレッシブに進化し、元々の身体能力の高さもあって非常に面白い成長を遂げていた。
 
キャリア終盤には自らがプロでユーサー的な立ち位置もこなしつつ、風香祭りなどで独自路線を築いて行ったので、引退は非常に惜しかった。
 
しかし、その後のスターダムでは愛川を招き入れ、見ずからのアイデアをより活かす立場に立ったのはある意味では必然であったかもしれない。
 
 
さて、団体についてはまた別の機会にかくとして、この大会について。
 
そもそも女子の団体で両国開催をぶち挙げただけでも大したものである。
 
ゆずポンの引退興行を絡めたと言えどそこまでの集客がのぞめるのか、正直疑問だった。
 
で、案の定蓋を開ければ会場はスカスカであった訳だが、主催者発表で5,500人ほどというからまあそんなものだったと思う。
 
それでもよく集まった方である。
 
 
で、今回は他団体やフリーのレスラーも多数出場しているが、カード的には基本的には所属選手に華を持たせよう、的な感じはぷんぷんであった。
 
別にそれは構わない。
 
問題は、この規模の会場のお客さんを納得させられるだけの試合をできるか、あるいはその片鱗を魅せられるかである。
 
 
結論から言うと、課題がいっぱいの試合であった。
 
でも、この時期にこの規模で出来る事は選手に取っては必ずプラスになるはずである。
 
それをキチンと反省できれば、だけど。
 
全体的に言って、もう少しプロレスと言うものに付いて考えるべき、という事。
 
みんなそうなのだけど、そこに対して意識的と思えたのは岩谷麻優紫雷イオ高橋奈苗、夏樹たいよう、ゆずポンくらいかな。
 
要はちゃんと流れを考えているということ。
 
世Ⅳ虎も良いのだがもう少し足りない印象、他は意識がないように思う。
 
 
いくつか気になった試合についてだが、まずは安川悪斗。
 
ダークエンジェルとのタイトルマッチだったのだが、正直この子の技で決まるイメージがない。
 
何が得意技なのかわからないが、試合が全然組み立てられていないというか、かみ合っていない。
 
ただひたすらやられているだけの印象で、これでは勝てないし、勝っても誰も納得できんぜ。
 
顔も実は美人だし、キャラもあって人気もあるので、現在その負けを理由に修行中とあらば是非その辺りの勉強もして、進化してほしいものだ。
 
 
次に宝城カイリ翔月なつみのタッグ。
 
こちらもタイトル戦だが、一応タイトルは取ったものの、あれはダメだろ。
 
こちらも試合が全く組み立てられておらず、ひたすらやられた挙げ句に丸め込みの強引な決着。
 
会場中がひっくり返った。
 
勝った事実以上にダメダメな事実が浮き彫りであった。
 
翔月さんは恐らく打撃、宝城は?だが、もっとそちらでの勝ち方というのを研究してほしいものだ。
 
マイクも空回りですよ。
 
 
次に夏樹vs夕陽。
 
この試合では、ハイスピードなんちゃらという夏樹が考案したタイトルの防衛戦。
 
何より感心したのは夏樹の一貫性。
 
この子は自分のファイトスタイルを追求しており、その為にこのタイトルを自らテーマとして立ち上げ、かつスタイルや技もそれに合致するように研究してることが見て取れた。
 
小柄でパワーファイトをしても全く様にならないので、スピードを活かして以下に相手を倒すか、という視点で技を使っているため、このこの試合には説得力がある。
 
対する夕陽は、打撃をベースにした比較的オーソドックスなスタイルで、ずんぐりした体系の割には動きはキレがある。
 
しかし、まだプロレスラーとしてのスタイルがない。
 
今回もこのベルトにチャレンジする必然性は感じられなかった。
 
今後そういったテーマも意識できれば、まだ若いし面白いんじゃないかなと思うけど。
 
 
次に今回デビューとなった彩羽匠、見た目も名前も男の子みたいだが、格闘技経験のバックもあり、入場からなかなか堂々としており大型新人というのもうなずける。
 
対するは女子プロ界の大重鎮、里村である。
 
彼女は男子プロでも一目置かれている感のある選手で、女子プロの最高峰との呼び声も高い。
 
試合の外ではかなりおっとりした印象の人なのだが、試合ではかなりえぐい。
 
この人自身団体を立ち上げて、小規模ながら着実に選手も育てており、存在感もある。
 
引退試合で彼女を相手に選ぶ選手も多いため、この新人に何を魅せるかを楽しみにしていたが、結果はさすがの一言。
 
初めは派手さを抑えて、相手の技もしっかりと受けるし、ある程度打ち込む。
 
会場の誰もがあの新人やるなぁ~なんて思わず思ってしまうほどである。
 
それまでの試合の流れからして、まさかもありうるか、なんて一瞬思わせたし、恐らく新人の子も「私は出来る!」という自信すら抱いたかもしれない。
 
しかし、たった1発で流れは変わった。
 
2段蹴りが側頭部にモロ入ってしまい、そこでほぼノックアウト。
 
場外にエスケープするも、和田京兵と里村にカウントギリで無理矢理引きずり上げられるも、そこからは立つ事すら出来ず、完全に気持ちが折れたようだった。
 
その後は里村のスリーパーでレフェリーストップ。
 
会場中が静まり返った。
 
やっぱり里村すげぇ~と、色んな意味でみんな思ったに違いない。
 
 
で、次にイオ。
 
巨大外人選手とのタイトル戦。
 
如何にして勝つか、である。
 
結論からいうと、試合展開自体は悪くなかったので、非常に惜しかった。
 
秘密兵器としてのソバット、蹴り技の使い方は悪くなかったけど、精度がまだ低く、ちょっと間延びがしてしまった。
 
デカイ相手との闘いなので、自分の強みをうまく行かしつつというのは良かったが、終盤ちょっと強引になったのは勿体なかったな。
 
もう一息である。
 
 
そして最後はゆずポン。
 
相手は世Ⅳ虎。
 
因縁の2人と言う事だが、なんだかんだスターダムでは気がつけばこの2人が中心といっても過言ではない。
 
19歳ながらに世Ⅳ虎はなかなかの者である。
 
改めて試合を観ても、ゆずポンの引退は非常に惜しいが、一方でここらが引き際と言う判断は団体的な視点でも正しいかもしれない。
 
世Ⅳ虎はこれから色々外の選手とも試合をする中で、キャラだけでなくもっと魅せると言うやり方含めて勉強して行けば、かなり大物になれそう。
 
試合は世Ⅳ虎が勝って世代交代的な終わり方で、フィニッシュも悪くはなかったので、これで一応はいいだろう。
 
ここでもやはり間の取り方などが勿体なかったが、これからに期待である。
 
初の大会場でこれだけ出来ればいいだろう。
 
 
と、足場やなのにやたら長くなってしまったが、両国大会は全体的には60点くらい。
 
でも、これからのタメを思えば価値のあるものだったと思う。
 
あとは各人がこの経験をどう活かすかだけである。
 
スターダムの団体についてはまた別途書くとして、この思い切った興行は良かったよ。
 
これからも頑張ってほしいものだ。