続・論理プロレス論考

観戦の感想、レスラー個々、そしてプロレスを見る私と、様々な角度からあれこれプロレスを語りたいブログ

リアル -プロレス流エンタメ

f:id:back_to_motif:20200724221417j:plain

この4連休、久しぶりに趣味らしい趣味を謳歌している。

 

私はプロレス意外に音楽を聞くのも好きだし、美術館に行くのも好きだ。

 

今日は美術館に久しぶりに行って、夜は酒を飲みながら新日本プロレスワールドを観ている。

 

生で観られないのに映像ばかり観ているとうずうずするだけなので遠ざけていたけど、会場観覧もだいぶ解禁されてきたからね。

 

New Japan Capも気になる試合だけ観ながら、今は柴田のLA道場ドキュメンタリーを観ている。

 

すでに2年前の映像ということに驚くけど、柴田は本当にいい顔になったな。

 

私は彼が魔界3号として復帰したあたりから観ていて、これは本当にたまたまなんだけど、それが私がプロレスをみ始めたタイミングと重なっている。

 

確かバラエティか何かで、関根さんが面白いプロレス団体として闘龍門を紹介している映像を観て、そのすぐ後にたまたま闘龍門の試合が深夜テレビで放映されて、それを観たのが初めてまともに観たプロレスの試合だった。

 

それをきっかけになんとなくプロレスを見るようになったが、当時は総合、K-1の全盛期、プロレスは下火の時代だったな。

 

私も当初は冷やかし半分に観ていて、はっきり言えば馬鹿にしながら見ていた。

 

中西や永田がぼこくそに負けていた頃だ。

 

しかし、そんな中現れたのがまだ20代半ばすぎくらいの柴田だ。

 

Mr. IWGPと呼ばれていた永田が陥落して、まさに暗黒時代の手前の頃だった。

 

そんな永田に噛み付いていたのが若かりし柴田だったが、その時はなんかとっぽい奴がでかい声出しているな、みたいな感じで、そもそもプロレス自体を冷やかして見ていたのでその姿は滑稽でしかなかった。

 

 

だけど、なんだかんだ新日本、そして当時は業界の盟主と呼ばれていたノアを見るようになって、いつの間にかすっかりプロレスファンになっていた。

 

当時から好きなのが柴田とKENTAだ。

 

この2人が後々ソウルメイトというほど仲が良くなるとは思っても見なかったけど、やっぱりプロレスの面白さってそういうところにあるんだろうなと図らずも感じたきっかけになったものだ。

 

 

そんな柴田は件の怪我の後、いまだにリング復帰はできていない。

 

ファンとしては待ってるぜ、という気持ち半分、せめて生きていることを嬉しく思う気持ち半分という感じだ。

 

すっかり顔つきも変わったあたりに、人生というもののあり方を思わざるを得ないよね。

f:id:back_to_motif:20200724223313j:plain

最近の報はすっかり聞かなくなってしまったけど、きっと復帰に向けて練習しているのだろうな、ということは想像に硬くない。

 

 

プロレスはここ日本においては、「エンタメだろ?」「やらせだろ?」という声がいまだに根強い。

 

そんな輩を相手にするのは疲れるので私も適当にあしらうが、でも本当に大事なことはそんなことではないのはプロレスファンなら共感してくれるだろう。

 

柴田は本当に生死の境を彷徨った。

 

でも、柴田は今も生きているし、現役の選手ではなくても新しい世代を、それも異国の地で育んでいるのだ。

 

同時に、自らのリング復帰を目指して体を鍛えている。

 

一方の彼の弟子たちは、いつか日の目を見るために頑張っている。

 

その頑張りとか苦労とかはやらせでも演出でもなく全てリアルだ。

 

そんなリアルを、誰が否定できるだろうか。

 

別に興味ないならそれでいいと思うけど、でもそこにあるのは紛れもない事実であって、それぞれの意地やプライドであって、人生に向き合う現実であって、それぞれの物語だ。

 

エンタメはエンタメだよ、だけど無傷じゃないし、苦労が溢れている。

 

それが現実だ。

 

どんな世界だって、本気でやっていれば甘くない。

 

安易に人のことを否定できるやつは、結局一生懸命やってないだけだ。

 

それで人生を幸せに生きられる才能に恵まれた人なら羨ましい限りだけど、大半の人はそうではないはずだ。

 

だからこそ、プロレスって裏側まで見られる瞬間がささるし、実はどんな世界にも通じる話だと思うし、およそ凡人である限りにおいてはどうしたって付き纏われる。

 

私もご多分にもれず凡人なので、こうして足掻いている人、必死になっている人、苦労している人に共感してしまうんだろう。

 

馬鹿にしたくなる気持ちは、まさに自分自身が今そういう状況にあることの証明ではないかと思える。

 

必死であればあるほど、それが痛々しく映るのは自分が投影されるからだと思っている。

 

だって、あんな馬鹿馬鹿しい競技なんて他にないだろう。

 

ロープに振られて帰ってくる、わざわざ攻撃を受けて痛がって見せる、全てがナンセンスだ。

 

だけど、人生ってそんなものじゃないか。

 

いつだって理不尽だし、なんでそんなバカなことをあえて受けないといけないのかと思うことばかりだろう。

 

ロープに振られて粘っていい場面の方が少ないだろう、クソみたいな上司やクソみたいな顧客のアホみたいな攻撃をとりあえず受けなければいけない場面だってたくさんある。

 

それを避けたら仕事にならない場面っていっぱいあるだろう。

 

一生懸命仕事やってれば、そういう人こそそういう場面っていっぱいあると思うのですよ。

 

私が柴田やKENTAを好きな理由は、そういうものに真正面から立ち向かっているからだし、特に柴田はプロレスの試合ではギブアップ負けって多分かなり少ないんだよね。

 

 

プロレスはエンターテインメントだ。

 

でも、エンタメの本質はどこまで共感できる見苦しい、しんどい、きつい場面を前向きな方向に向かわせるかだと個人的には思っている。

 

まあそれは感受性の問題だから別にどうこういうつもりはないが、いずれにせよこういうリアルなものが垣間見えるエンターテイメントは、やっぱり楽しいよね。

 

明日は久しぶりのプロレス観戦だ。

 

マスク3重にして見に行こう。