続・論理プロレス論考

観戦の感想、レスラー個々、そしてプロレスを見る私と、様々な角度からあれこれプロレスを語りたいブログ

未来は俺らの手の中

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最近ますます勢いづくスターダム、この短期間でここまで話題性も獲得して、会場の規模も増しているのはもちろんブシロード資本力はあるにせよ、何よりコンテンツとしてのプロレスの魅力の証左ではないだろうか。

 

新日本プロレスも、今では後楽園クラスではチケットを取ることも難しくなってきているくらいだし。

 

スターダムはまだそこまでではないにしろ、着実に拡大しているだろう。

 

しかし、古株のうるさいオタクファンからすると、こうした状況の中でちょっと納得いかねぇぞ、と思うところもないではないというのが正直なところだ。

 

そんなわけで、私も結構口うるさい、年齢的にもそろそろ老害に差し掛かろうとしている層に差し掛かってきているが、最近のスターダムについて思うところをポコポコと書いてやろうと思う。

 

新規ファンの奴ら、可愛いからって贔屓してんじゃねえぞ!アイドルのサブジャンルじゃねぇんだ!でも、可愛い子は、見ちゃうよね、なんて思いが共有できれば幸いだ。

 

 

まずはアイスリボン から移籍して以降活躍著しいジュリアについて。

 

以前にも書いているけど、アイスの時はまだまだ1新人でしかなかった彼女が、この1年半で恐ろしく成長した。

 

単純に1レスラーとしてのスキルとかいう次元ではなくて、業界にまで目配せできるレベルにまでなっていることは特筆すべきところだろう。

 

イタリア人とのハーフということもあって、元々見た目に華やかさはあったけど、それ以上に年下の選手や後輩に対しての接し方、けしかけ方、やりとりを見るにつけ、本当にプロレスというものを理解しているんだろうなと感じる。

 

この精神は、多分藤本から影響を受けた部分も多分あるんだろうなとは思うが、それを違う形で示しているのが面白いところだ。

 

試合のクオリティ自体も上がってきているので、ちゃんと実が伴っているところが何よりだ。

 

一方で、ちょっと心配になるのが、そうした気遣いが広がりすぎていて、どこかで疲弊してしまわないかというところだ。

 

昨年の木村花の事件がやはり大きな契機なんだろうけど、昨夜もライバル・中野たむの深夜の呟きに一早く反応したのは彼女だった。

 

週プロのコラムも毎週結構楽しみに見ているんだけど、元々気遣いの人なんだろうなと思う。

 

ハーフ(今はミックスっていうのかしら)ということもあり、色々とアイデンティティ的なところでも考えながら育ってきたところはあるのかもしれないかな、というのは邪推かもしれないが、彼女なりに同じことが起こらないようにとやってるのかな、なんて思ったものだ。

 

彼女は強い女性というタイプだろうし、実際タフなんだと思う。

 

でなければ今の状況はきっとないと思うけど、とはいえ人間である。

 

どこかでちゃんとそこをフォローしてくれる人がいるといいよね。

 

人ってのは意識や環境でこんなに変わるんだという、非常に理想的なプロレスラー像を描いているようにも思う。

 

 

続いてはそんなジュリアにちょっかい出されている渡辺桃

 

私は彼女が中学生レスラーだった時から見ていることもあって、なんだか知らんが妙に思い入れがある選手なんだけど、彼女の強みはひたむきに真面目なところ、他方で弱点もその真面目さだ。

 

ジュリアも様々なインタビューで言っているが、彼女の根っこは本当に優しい子みたいだね。

 

まあ、あの細い目とデビュー当時を知っている人からすれば容易に想像がつくことだ。

 

まだ20そこそこながら、今や世界的選手になった紫雷イオの後継者という責任をいまだに背負っている印象があり、今の彼女にはそれが主にというか、足かせになっているように感じるのである。

 

QQのリーダーという立場を守ることがメインになっていて、肝心の彼女の成長を阻害していると感じるのである。

 

試合そのものは、これだけメンバーが充実してもなおトップクラスのものをもっている。

 

それはジュリアも朱里も岩谷も、団体のトップどころを言われる選手がみんな認めているところなんだけど、ただそれがトップレスラーとしての存在につながっていないところが問題だ。

 

そんな中でジュリアが食指を伸ばしたのはとてもよかった。

 

本人は否定しているし、舞華の絡みも跳ね除けたことをで一段落かに見えるが、今開催中のグランプリの結果によって展開するだろうな。

 

桃はまだ成長できるはずである。

 

そのためには、ちょっと気軽に自分と向き合える立場に身を置くことが大事だと思うし、DDMかは別にしても、違う立場で違う経験を積めば、本当にトップに行けるはずである。

 

こういうクソ真面目な子って、好きなんですよ。

 

普段はニコニコしてとても可愛らしい感じなので、こういう子には報われて欲しい。

 

 

そしてそんな桃と長らくタッグパートナーとしてもやっているのが、AZMである。

 

彼女は桃よりも若く、まだ19とかだと思うが、小学生の頃からやっているのでキャリア的にはベテランだ。

 

それこそAEWで活躍する里歩とかと同じようにキッズレスラーからの選手である。

 

以前はあずみというひらがな表記だったが、数年前に改名、高校も卒業していよいよプロレスに本腰を入れる環境になった訳だが、贔屓目なく彼女はすでにトップに一角でなんの遜色もない実力を持っている。

 

トーナメントなどでは朱里に勝つなどの実力を示しながら、(嫌な言い方をすれば)団体としてフックアップしたい選手を目立たせるための踏み台的な役割をすることも最近では少なくない。

 

しかし、その試合はちゃんと見ているファンであれば、流石にないだろ思う展開ばかりだ。

 

なぜなら、AZMはプロレスセンスについては岩谷とも比肩して遜色ないし、しかも本当にオールラウンダー、決めてよし、投げてよし、丸めてよし、何より全ての技が性格だし、試合の組み立ても非常にうまい。

 

キッズと呼ばれていた頃からあずみ先輩と呼ばれるくらいマイクは面白かったし、発想が非常に素晴らしく、まさにザ・プロレスという感じだ。

 

あまり主張する感じでもないけど、その実力はみんなわかっているだろう。

 

今日の試合でも朱里に勝ったらしいが、その結果には別に驚かない。

 

朱里が実力者なのはもう知っている、だけどAZMはそれに匹敵するくらいの実力があるのも知っているからだ。

 

アイドルルックではないし、19という年齢ということもあるだろうが、こういう選手をちゃんと中心に据えないと、本当のプロレスの魅力は伝わらないだろう。

 

まあ、団体としても彼女を軽視しているわけではなさそうなので、これから半年くらいが注目かもしれない。

 

この子の試合は見ていて面白いのですよ。

 

 

そんなAZMとかつてはライバルと言われていたものの、気がついたらただの優等生になってパッとしなくなってしまったのがマスクウーマン、スターライトキッドだ。

 

正統派のベビーとして長らく岩谷とコンビだったが、先日ヒールユニット大江戸隊に強制加入、闇落ちなどと表現されてコスチュームなども刷新したが、正直そういうことじゃないという感じだ。

 

引き続きSNSでの情報配信も盛んで、それ自体は別にいいが、言って終えば単に格好を変えただけで何が変わったわけでもないのが現状だ。

 

先の試合でジュリアにまさに指摘されていたんだけど、そういうことじゃないだろと。

 

真面目すぎるんだよ!というツッコミが全てだと思うけど、ちょっと作りすぎているのかなと。

 

正解の形を探しすぎというか。

 

ファンが見たいのはもっと本質的なものだし、岩谷に勝つと宣言した彼女がガムシャラに、ぐちゃぐちゃになってもしがみつく姿ではないだろうか。

 

私はWWEってあんまり魅力を感じなくて、反面日本のプロレスの魅力的なところってどうしても滲み出てしまうレスラー個々の泥臭さだったりする。

 

それこそジュリアにマスクを切られた場面においてもそうだけど、そういうやられてますみたいな演出はいらないんだよね。

 

個人的にはあの場面は白けたし、プロレス的といえばそうかもしれないけど、WWEじゃないからさ。

 

彼女もまだ19とかだから若いし、本当の意味でプロレスラーになって欲しいなと本当に思う。

 

真面目な子だと思うし、努力もしているのは体を見ればわかる。

 

でも、大事なことはそこじゃないところにあったりもするから、そこを掴めるかどうかが彼女のブレイクスルーのポイントだろう。

 

 

こうして若い選手が活躍する一方で年齢的には社会的に色々言われる年齢の選手が新人枠にいるのもスターダムの面白いところだ。

 

コズエンにいるウナギと白川がそんな二人だと思うが、ここ最近は注目度も増している印象だ。

 

個人的には白川の方が泥臭くて、不器用ながらも必死な感じがして好きである。

 

対するウナギは正直苦手なタイプだ。

 

あえていえば、見せ方にこだわることは大事だが、それ以上に大事なのは本質である。

 

プロレスにエンタメ的な側面があるにせよ、格闘技であることを忘れていけない。

 

技の独自性とかはあっていいけど、見たいのはサーカスじゃない。

 

とはいえ、最近はまた評価も変わってきているようだが、試合をちゃんと見ていないのでわからない。

 

それでも、こういうでかいこと言って喚き散らす奴がいても面白いかな、とも思うから、彼女なりの必死さが見えるといいのかなと。

 

試合に全ては見えるから、それだけである。

 

 

最後に先頃話題をかっさらった元アイドルの上谷ちゃんについて。

 

たむと大仁田のやっていたプロジェクトからデビューした彼女だが、おっとりした雰囲気と顔立ちながら身体能力は抜群、ダンスでは世界大会にも出たというくらいだから動きはデビュー当時から抜群に良かった。

 

一方で、それこそデビュー間もない紫雷イオもそうだったけど、そこに寄りすぎてやっていることがただのアクロバティックという状態にもなっており、なんだかもったいないなと思っていたんだけど、ここ半年強くらいで急成長しており、シングルのベルト戦にも挑むくらいになってきている。

 

でもそうした環境的なことよりも、なにより表情の変化が印象的であった。

 

以前のようにほんわかした感じよりも、たまにちょっと心配になるくらい切羽詰まったような必死さが表情からも出ていて、試合中も鬼気迫るいい顔をするようになったのだ。

 

フェニックススプラッシュができるとか、そんなことは個人的にはあんまり興味がなくて、それ以上にどれがでこの子は必死なのかということの方が私には魅力的なのだ。

 

それが出てきたことがとてもいいなと思う一方で、先の会見では天然ぷりというか、ひたむきさが裏目にでるようなヤラカシをかますわけだが、でもそれも今の彼女には魅力になるからね。

 

爆笑だよ。

 

すっかり絶叫キャラとしても定着してきている感もあるけど、でも一生懸命さは伝わってくるからね。

 

とはいえ、まだトップに立つイメージは正直つかないけど、今はまさに過渡期なんだろうね。

 

元々可愛らしい顔をしているし、身体能力が高いのはアドバンテージ以外の何者でもない。

 

上背もあるから見栄えもするし、どこかで突き抜ければ本当に世界を舞台にも他帰る選手になるかもしれない。

 

しんどい時期だろうけど、頑張って欲しいよね。

 

 

スターダムには、他にもレディ・Cとか南姉妹とか、若い選手からもう大人の選手までタレントが豊富に揃っている。

 

ビジュアルでチヤホヤされて満足する程度の選手はいないと思わせてくれるのが頼もしいところなんだけど、いずれにせよ団体としての伸び代もまだまだあり、かつ以前のような危うさも無くなってきたのは底力がついてきた証拠だろう。

 

人生は常に不平等で、それを乗り越えるためには存在感を示して結果を出すしかない。

 

歳を取ったせいもあるけど、やっぱり若い子には頑張って欲しいし、負けないで欲しいなと思うんですよね。

 

悲しい事件は繰り返したくないし、かといって甘やかすことがいいことだとは思わない。

 

 

なんだかんだ言いながらも応援しているので、頑張ってほしいですね。