最近またプロレスをよく見るようになっていて、会場にもタイミングとカードの案配を見て足を運ぶようにしている。
といって、気がつけばスターダムか新日本を見ているんだけど、やっぱり他の団体と比べても単純なスキル以上に魅力的に映るものがこの両団体からは感じる。
別に他の団体がダメなわけではないし、個別の選手で見ていけば団体の大小に関わらずいい選手はいるけど、正味3時間くらいのパッケージとして見た時に、やっぱり団体力というのは差が出てくる。
私は普段、あんまりシリーズを通して見ることはしないし、気になる試合だけをピックアップしてみるようなことが多いんだけど、ほぼ全試合を見たのはBest Of The Super Juniorが初めてだった。
開幕から最後まで全試合非常にクオリティも高いし、何より選手たちの必死さだったり気合いだったりが本当にすごくて、見ていて面白かったんですよ。
すでにあちこちで言われているが、まずは外人選手たち。
ロビーやファンタズものような常連をはじめ、初登場になったエース・オースティン、アレックスゼイン、ウィラー・ユータ、TJP、ティタン、コナー、フランシスコ・アキラといずれもとてもいい選手。
それぞれが久しぶりの海外の試合ということもあったろう、気合が初日からめちゃくちゃあって、見ている側としても応援したくなる。
試合そのものを見ても、技も流れも全て一流、まだ20代の選手もたくさんいる中で、これはすごかった。
中でもエース・オースティンとゼインは華もあってSNSのやり取り含めて楽しい二人だった。
最終戦で結果的に袂を分つ展開もあったが、エースのコメントが非常に良かったね。
バレットクラブ入りを果たしたわけだが、ジェイも復帰、KENTAも復帰、石森はチャンピオンで、他の外人勢も協力。
今年は海外に向けても強く発進していきたんだね。
また割と膝への負荷も大きい技を多用するティタンは、戦績こそ振るわなかったが非常に気持ちのこもった試合を毎回やっており、なんかハングリーさみたいなものを本当に強く感じたね。
いい選手だ。
また他団体からはGLEAT所属のエルリンダマンが参戦。
デスペの呼びかけもあっての登場となったが、いい選手だね。
ドラゲー時代に多分1回くらいは見た記憶があるけど、正直その時はあんまり印象に残っていないけど、小さい体ながらスピードでもかき回すし、何より真面目さが隠せないキャラグッドだ。
デスペを破った後楽園大会が彼のハイライトだったかもしれないが、躍動感も何も凄かった。
試合後のマイクはさすがドラゲー出身者、見事なものでしたね。
解説席ではミラノがいたので、しばしばアナウンサーと悪ふざけがすぎるやり取りもあったが、もはやネタと化しており違う彩りを添えていたね。
しかし、この大会でも主軸にいたのはやはりヒロム、デスペ、石森の3人だったんじゃないかなと思う。
特に前2者は新日本ジュニアの中心的存在で、単に試合自体だけでなく発信する言葉も含めて注目を集める存在である。
ライバル同士でもあるので、決勝はやはりこのふたりであった。
最後はヒロムが3連覇を成し遂げて幕を下ろしたが、私は御多分に洩れずやはりデスペの方に気持ちを持って行かれてしまう.
今回メインイベントを1番張っていたのはデスペではないかと思うが、試合後や前段のマイクでも、彼のコメントは相手を立てるものばかりだ。
自分自身の発信力だったり懸けられている期待値を十二分に理解した上で、相手に注目がいくような発言を終始行っており、これが意識というものだよなとまざまざと見せつけるようなものだった。
特にこの大会での個人的なベストマイクは、同じ鈴木軍にいるDOUKIに対してのものだった。
この前で葛西らとのタッグマッチで戦ったが、その際にフォールを取られたDOUKIが、自身をかませ犬と表現したことでデスペがふざけるなと怒りを露わに。
それを踏まえてのマイクではあったが、その言葉は彼自身が今まさに1番考えてることだろうし、実は多くの人にとってそうなってしまっている現実をついたような発言で、非常に個人的にも刺さるものだった。
お前の価値を下げてるのはお前自身だ!お前のステージはもう変わってんだから、ちゃんと自覚しろ!いつまで野良犬のつもりだ!と、まあこんな感じのことを言ったわけだ。
謙虚といえば聞こえはいいが、その態度は得てして周囲を悩ませることにもなるし、何より件のタッグマッチでもあえてデスペが彼の実力を見て選んだにも関わらず貶めるような発言をしたことで、選んだ俺のこの期待値をくだらないことで下げるな!という怒りもあっただろう。
下に見ているんじゃなくて、むしろ同じステージで戦えるのはこいつだという思いで選んだわけだし、結果はフォールを取られてしまったとはいえ相手の選手からも賞賛を受けたにも関わらずなんでそんなつまらないことを言うのかというわけだ。
こういうのって、実社会でも結構あって、めちゃくちゃ頑張っていてめちゃくちゃできるのに、過剰なまでに自信のない発言をする人。
謙遜ではなくただの卑屈になってしまっている人、でも実力は周りも認めているので、そんなこと言われるとこっちの立つ背がないんだけど、ということはままあることである。
プロレスの面白さってこういうところにあって、DOUKIのその気持ちは彼のリアルだろうし、またデスペのこのマイクもまさにリアルな彼なりの感情である。
私はプロレスはレスラーの人生そのものを見せるところが魅力的だと思っているのだけど、そんな瞬間がかいまみえたマイクだったね。
このシリーズ終了後、どのレスラーが継続参戦するかも楽しみだけど、DOUKIもどう変わっていくかだし、デスペがまたどうやってトップに返り咲くかも見どころである。
石森がジュニアのベルトをもっているので、優勝したヒロムの挑戦が決まったみたいだね。
ヒロムはヒロムで、デスペとは違う切り口で、彼は自分を常に主語にすることで周りを挑発するような態度もそれはそれでアリなんだよな。
この二人につぐのが誰になるのかが、今年後半の注目点だろうな。
非常に乱暴な総括で悪いが、今年は本当にいい大会だった。
外人選手たちの初日からのあの気合が本当に良かったのが1番かもしれないけどね。
プロレスってのは、なんだかんだ人を熱くさせるものがあって、人によって共感するレスラーも感情移入するレスラーも全然違うだろう。
だからこそ懐も深いわけで、ファンになると沼と同じである。
引き続き、楽しみたいですね。s