続・論理プロレス論考

観戦の感想、レスラー個々、そしてプロレスを見る私と、様々な角度からあれこれプロレスを語りたいブログ

期待に裏切って応える -アイスリボン後楽園0325

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今日は久しぶりにアイスリボン後楽園大会へ。
 
今回はかなり新しい動きが期待できそうだったし、新たにデビューした選手もいたので、トピックは満載だ。
 
その中でも大きいのがメインイベントのチャンピオンシップで、王者は現役高校生王者にして、アイスリボンきっての正統派パワーレスラーくるみに挑むのは、なんと奇人松本都である。
 
一体どんな試合になるのか、非常に楽しみであった。
 
そのほかでは元アクトレス・尾崎が現アクトレス勢と組んだタッグ戦や、アジュレボに挑む同期タッグの試合など、トピックは満載であった。
 
 
今回の大会で全体的に感じたのは、引き出しの差みたいなものだ。
 
試合的に、ベテランvs新人、もしくは若年層的な組み合わせも多く、試合内容的にもそういうテーマで見るとまた面白くもあった。
 
 
まず1試合目は昨年デビューかつ現役中学生の2人、朝陽vs華蓮DATE
 
朝陽はデビュー戦が引退間近の豊田真奈美だったのだけど、それきり見るのは2回目だ。
 
どれだけ成長したのかなと思うとともに、華蓮の試合はちゃんと観た記憶がなかったので、シングルならそれを見るならちょうどいいというところ。
 
で、朝陽はまだデビューしたてだなという感じの試合だったな。
 
まだ技をやるのにいっぱいいっぱいという感じで、試合の組み立てなどがない状況だ。
 
一方の華蓮は流石に格闘技のバックボーンがあるだけあって、動きは素晴らしいよね。
 
蹴り一発でも重みがあるし、何よりも体つきが全然違う。
 
どちらも細身なのは変わらないんだけど、ただ芯の太さがやっている長さだけ違うんだろうなというのを感じた試合だったね。
 
ともあれ、どっちもまだまだ中学生だから、あんまり無茶はせずに頑張ってほしいよね。
 
 
次は華DATE・水落麻衣vs直DATE・ジュリア組のタッグマッチ。
 
水落は外部団体から武者修行参戦、ジュリアは元キャバ嬢ということは知っていたが見るのははじめまして。
 
この試合で印象に残ったのはジュリア。
 
面白かったのが試合中盤で直と華がやりあって、あわや決着も?という展開になったときに、それまであまり出番もなかったのを焦ってか、コーナーから「タッチ!交代!」と必死に叫んでいた。
 
展開的には直が押していて、決めんとしている場面にも関わらずそこまで声を出す姿はなかなか良かったよ。
 
このままじゃ自分は何も残せない、と思ったのかもしれないが、観客はやや笑いながらも暖かく見守っていた。
 
出てきたとてそんなに素晴らしい展開にできるかといえばそうでもなかったのが実際だけど、そのガムシャラさは新人の特権だし、技術がない以上はそれを出すのがプロレスだ。
 
 
次は男女混成タッグマッチ、W藤田vs引退間際の雁之助・モチ組。
 
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元々は普通の試合の予定が、急遽ハードコアマッチに。
 
最近すっかりその路線の藤田あかねと、ハム子とのタッグ路線が頭打ちになり次の展開を探るモチ、そこに男子を交えてのハードコア戦だが、どこかコミカルさを携えてるのはこの団体のカラーだろうか。
 
レゴブロックは地味に痛いからね。
 
しかし、こういう試合を見るとやはり男子と女子のパワーの違いはあまりに明確で、それゆえのこういうルールの時にどれだけ頭を使えるかが見せ所になるんだろうけど、そこはまだまだだね。
 
藤田はこの路線を目指していこうというのが明確なので、ある種覚悟があるのだろうというのはわかるけど、ただ無茶をやる覚悟よりもどう勝つかを徹底的に考える方向に向けば、もっと変わるのになと思う。
 
もちについては、多分どこかで腹を決めているけど、基本的なキャラがコミカルなので、まだそこが捨てきれず半端になってしまっている。
 
やるときはやるからコミカルは立つのであって、もし藤田も焦るくらいのガチガチをできるようになれば大きな飛躍になりそうなのに。
 
 
続くは6人タッグ、うの・テキーラ・トトロvsアクトレス
 
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アクトレスについては安納、本間という現所属に元所属の尾崎を加えた組み合わせ。
 
元々遺恨のようなものがあったらしいが、先の戦いでそれも解消されたので組むことになったらしい。
 
個人的に気になったのは安納。
 
確か最初はスターダムにスポット参戦していて、その時に見たことがあったんだけど、当時から明らかに美人ながら全体的にぽっちゃりして緩慢な印象であった。
 
その後、確かWAVEか何かの大会を見にきていて、たまたますぐ前の席に私が座っていたのでマネージャーらしきとの会話も聞くともなく聞こえてきたんだけど、その時にちょうどつっかが出ていて、彼女の試合をみて勉強しているんだなというのがわかって、へぇと思った記憶があった。
 
そして今ではかなり体が絞れて、攻撃もキレができている。
 
尾崎はゴリゴリのパワーファイターなので、結構アクトレス勢は面白かったよね。
 
一方のアイス所属チームもバラエティがあって、うのはすっかり謎キャラが定着している。
 
トトロも体格と目つきの悪さを武器にキャラが立っている。
 
テキーラは元々バーの店長をしていたくらいなのでやはり大人の印象があって、ちょっと見え方が違うよね。
 
この団体は10代からいるので年齢層も幅広いけど、その前のキャリアもいろんな人がいるから、それがキャラクタにも出ているから見ていて面白い。
 
だけど、このままじゃトップには出られなそうな3人なので、シングルプレイヤーよりはタッグ屋みたいな感じで育っていくと面白い3人かもしれない。
 
 
次は弓李vsまる子vsつくしの3wayで、鈴木秀樹の持つトライアングルへの挑戦権争奪戦。
 
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注目はやはりつくしである。
 
復帰戦以降イマイチパッとしない中で訪れたこの機会。
 
ブレイクスルーなこの試合では、勝ったのはつくしだった。
 
あの肩周りの筋肉はさすがである。
 
次の相手は鈴木秀樹、この体格差でどう試合するかが楽しみだ。
 
ただ、この試合で個人的に印象に残ったのはまる子だった
 
確か一年かそこら前まではがむしゃらな負けキャラだったが、今はそこは脱しているが今ひとつポジションが定まらなくなっている印象だ。
 
しかし、動きの一つ一つは正確だし、実はプロレスラーとしてのレベルも決して低くないのである。
 
あとはこれだという文字通りの必殺技があれば、結構上も狙えるようになると思うんだけど。
 
この試合では弓李はあまり目立たなかったんだけど、この3人は団体からの期待値も特に高いと思うから、頑張ってほしいよね。
 
 
次はセミファイナルのタッグのチャンピオンシップ。
 
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この試合はまあある程度安心して見られる試合だったんだけど、印象に残ったのは2008年同期チームの2人の引き出しの多さとプロレス的な引き出しである。
 
やっぱりつっかとハム子はプロレス力高い。
 
つっかは中島とかとも組んでいるからずっと最前線でやっている分わかっていたけど、ハム子についてはもちと組んでコミカル寄りの試合が多かった分表に出にくいけど、そのコミカルさはやっぱりあるものの、つっかと組んでも余裕でちゃんとついていくし、チャンピオン2人にも全然負けていない。
 
というか、やっぱりこの団体は若い選手が多い反面、レベル感で言えばチャンピオンといえどもそこまで高いとは言えない。
 
だからこそ、もうそろそろ外を向くべき時期にもきていると思うけど、果たしてそうなった時にこの団体の子達がどう輝くかがポイントである。
 
世羅は以前はスターダムにも出ていたけど今はないし、雪妃はOzには出ているがある程度守られているポジションである。
 
それを脱してそろそろばちばちを向き合うあり方もいいと思うよね。
 
以前と比べれば飛躍的に成長しているし、技も説得力が出た。
 
だからこそ、次のブレイクスルーをどう展開するかがポイントになるだろう。
 
その点は戦前につっかからも指摘されていたが、防衛した今後どうするかは重要なところである。
 
 
ラストは注目の都vsくるみ。
 
くるみはまだ17歳ながら体格、実力含めて類い稀である。
 
この団体にあっては異色な正統派に強いレスラーなので、他団体でもバンバン活躍してほしい逸材だ。
 
一方の都は鬼才と呼ぶにふさわしいアイデアと展開で、プロレス的な頭は一番強い。
 
しかし、いわゆるまともな試合などここ最近は多分していないから、この正統派レスラーと団体の象徴をかけてどう戦うのかはなかなか想像しにくかった。
 
くるみは真正面から叩き潰す、というあり方をすればいいと言えばいいのだけど、都は違う。
 
いつものコミカル重視というわけにはいかないし、真正面から行っても勝ち目はない。
 
そこでどうするのかが注目だったのだけど、意外にも真正面から向かう方針だった。
 
選んだのはサブミッション、技自体はオーソドックスなものだったが、諸所にアレンジを加えて特に中盤以降はそれが効果的な攻め手になって、最後はしっかりとタップをとって勝ったのだ。
 
 
正直プロレスファン的にはちょっと想定していたけど、いざ勝つとやっぱり驚く。
 
ただ、ここでも際立ったのは都の引き出しの多さだった。
 
付け焼き刃的な技もあるにせよ、あれこれと繰り出すのはすごいなと思ったし、こいつもしややるんじゃねえか?という展開をなんども作って行ったのである。
 
一方のくるみは、良くも悪くもストレートすぎたし、だからこそ今後に生かすべき経験になったのではないかと思うよね。
 
まだ若いし。
 
 
試合後、つぎの挑戦者にはまさかの華蓮が挑戦表明するという展開だが、ここのマイクでも都はさすが。
 
ぱっと見ただ得意の無茶を炸裂させているだけのようだけど、とにかく相手にマイクを求めるようなところがあって、何度となく「お前とはやらない!」と拒否を示した。
 
それでも食いついた華蓮とやることになったのだけど、華蓮も中学生ながらなかなかよかった。
 
つっかもこの大会のテーマを発信力と言っていたけど、確かに今後団体が大きくなっていくために必要なのはそういうところだろう。
 
それこそドラゴンゲートも、外との交流は滅多にしない中であそこまで確立できているのは、何よりレスラー自身のセルフプロデュース力や発信力でファンを惹きつけているからに他ならない。
 
その後外に出た選手はすべからく活躍している姿を見れば、それがどれだけ重要なことかは明らかである。
 
 
スターダムは世界路線、Waveは国内中心の独自路線を開拓、Ozやそのほかの団体は伝統派という感じかなと思うんだけど、別にどこを見るかはそれぞれの方針だし、何がいい悪いなんていうつもりはないけど、生き残ることを考える時に何を目指すかは重要である。
 
幸いこの団体は伝統からは切り離されてるし、若い子もたくさんいる。
 
プロレス的な実力のある選手が団体を引っ張っていて、いろんなバックボーンを持っている子が集まっているから半端なことはそうはない。
 
その特殊性は随一だし、だけど反面手探りがずっと続くと思うから間違いなく大変なんだけど、それゆえにそこの先には圧倒的な価値があると思うよね。
 
 
都がチャンピオンになって、必然それが興行のイメージを作っていく。
 
やっぱりこれがベルトの価値だし、今はまだ内側のみで価値のあるベルトだけど、それが外側に波及するものになるのかどうかはこれからだろう。
 
それを考えるとくるみでは力不足だし、力=全てではないというのがプロレスの面白くもあり難しいところでもあるだろう。
 
なんだかんだ今見にいく団体ってアイスリボンくらいなんだけど、いろいろ変化もあって、発展途上でどう転がっていくかがわからない状況だから、面白いんだよね。
 
スターダムは変な安定の仕方が見えているけど、風香が辞めて選手も減っていく中でどういう見せ方をしていくのかは興味深いところだ。
 
Waveはもう明確になっているので、ある意味安心して見られる部分があるし。
 
男子で行けば、新日本はもう明確だから何が起こるかわからないワクワク感って個人的には小さいんだよね。
 
よく言えば純粋にプロレスを楽しめるんだけど、プロレスの外のプロレスはあんまり見えなくて。
 
Noahは、拳王が頑張っていたけど次の挑戦者の小峠が正直ショボすぎるというか、タイトル戦に向けての発言一つとっても「それって拳王が王者になる前に言ってなかったけ?」という話だし、今更かよという感じが強すぎて話にならない。
 
全日本は今面白くなってきているから今度見に行きたい。
 
 
と、男女分け隔てなく見ても面白いのはやっぱり何かが変わる予感がある時だ。
 
それを一番感じるのがアイスリボンだと個人的には感じるので。こうして見にいくわけだ。
 
まあ、つっか好きだから頑張ってほしいというファン目線もあるんだけどね。
 
とりあえず、チャンピオン・都の実力に期待である。