続・論理プロレス論考

観戦の感想、レスラー個々、そしてプロレスを見る私と、様々な角度からあれこれプロレスを語りたいブログ

変化は一瞬、努力は継続 -アイスリボン横浜文体(観戦後)

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先にすでに書いているので、今回は結果について。
 
 
とにかく今日一番印象的だったのは、メインで藤本と戦った雪妃真矢である。
 
本当に半年ちょっと前まで、イマイチ突き抜けないななんて思っていたんだけど、メキメキ成長していて、ベルトこそ取れなかったもののとても力強く、畳み掛けの迫力も抜群。
 
上背を生かした攻撃もさることながら、まさかキャプチュードまで繰り出すなど、技の幅も広がって入りるし、試合の流れもよかった。
 
負けん気も出しまくりで、あわやという場面は1度や2度ではなかった。
 
やっぱり腹を括った人間というのは、こうしてちゃんと花開くのである。
 
アイスリボン は所属選手も多いし、若手もたくさんいる中で、だからこそポスト藤本となる存在がなかなか出てこないのが課題だった。
 
純粋にレスラーというだけで見れば、つくし、くるみ、世羅といるけど、ただそれだけではないのがつっかだし、同じことをできないにしても本当に団体を背負うというところまでいけるかといえば、それがなかったのだ。
 
昨年ずっとチャンピオンだった世羅も、個人の資質的に好き勝手1レスラーとしての道を選んだようで、今はエース街道からはちょっと違うところにいるのは明らかだ。
 
それこそ、今回の文体のカードにも組まれた志田との1戦についても、正直そんなこと言ってる立場か?と思ったんだけど、でも彼女はその方が輝けるのかもしれない。
 
しかし、今回の一戦で立場は大きく変わるだろう。
 
雪妃は選手会長に就任、そして一見冗談にも映るつっかの「私に挑んでくる人にはどんどん役職を与えます!」という試合後のマイクが、実はものすごくシビアな彼女の問題意識を反映しているし、なんだかんだそれを一番敏感に感じたのは雪妃だったのだろう。
 
人の成長、変化は一瞬で訪れるんだけど、それは日々の努力の果てにしかない。
 
それを一番わかりやすい形で示したのが雪妃だろう。
 
試合後のマイクはいつもの謙虚というか、自信なさげな彼女だったけど、もう他の子達とは一歩違う世界が見えているのではないだろうか。
 
ここまで鮮やかに変わった選手を見るのって、ここ数年で個人的にはあんまりなくて、本当にびっくりした。
 
是非つっかと共に女子プロの全盛期を呼び起こしてほしいものだ。
 
 
とりあえず一番鮮やかなトピックを扱って見たけど、今日は全体的にもいい興行で、試合も熱のこもった熱戦続きで、全体的にもとても良かった。
 
大きな会場でもいつもの変わらずに力を出せるのは若さゆえか。
 
実際いぶき、朝陽、華蓮の中学生トリオは元気いっぱい。
 
10周年記念のハム子、都もさすがの仕事だった。
 
個人的には第1試合で気を吐いたテキーラ沙耶には、雪妃に続いてほしいと思っている。
 
あの子も(と言って多分年上だと思うけど)、ほかの選手とは違う雰囲気を持っていて、だけど何かつく気抜けなさもあって、だから頑張ってほしいのだ。
 
 
また、今回のトピックとしてはつくしvsくるみの1戦も。
 
試合自体については、もっとグチャグチャでもいいからがむしゃらさが見たかった気持ちもあるけど、これを機に二人は再びタッグを組むことに。
 
その試合を通じて、つくしがかつての山っ気を取り戻して、リング上ではくるみと共に女子プロ界をかき回す存在になってほしい。
 
まだ二人とも10代だ。
 
こんな才能、他の団体にだってそうはないぞ。
 
 
プロレスの面白さって、試合自体はもちろんなんだけど、試合を通して見えてくる選手の人間模様である。
 
特にアイスリボン はその色が強くて、それが個性になっている。
 
世知辛い世の中だからこそ、こういう表現ってすごくいいと思うんですよ。
 
今日は一人で来ている女性客も結構いて、正味入りは1,800人弱と苦戦はしたものの、今日の大会を見た人はきっと何かを感じられたんじゃないかなって。
 
私は個人的に必死な人って大好きだし、やっぱりそういうのは応援したくなる。
 
プロレス界のベンチャー企業みたいだけど、それくらい期待できると思っている。
 
スターダムはロッシーがいるので、選手は試合に集中できるので、それはそれで大事なことだけど、アイスリボン は選手一人一人の意識が大きく舵を動かす状況にある。
 
そういうのも個人的に好きなんですよ。
 
 
興行としての収益は厳しかったかもしれないけど、今回の大会はとても大きな価値があったんではないだろうか。
 
豊田真奈美もSVに就任して、体制的にも変わったわけだが、今後ますます期待していきたいね。