女子の団体にあって今一番勢いがあるのは、間違いなくアイスリボン だろう。
集客も年々増えているし、活動も幅も広がっており、Yhaooニュースで登場する機会も女子の団体では一番多いだろう。
色々な方面に進出しており、ポジション的には女子のDDT的なイメージであったが、選手の中には他団体でデスマッチもガンガンやる子もいるのである。
このデスマッチというもの、プロレスを見ない人にはピンとこないかもしれないが、平たく言えばマジで血みどろになるような狂気を使った試合スタイルである。
ナイフで刺すとかそういう殺人的なところまではいかないまでも、漫画みたいな釘バットや、蛍光灯、画鋲などを試合で使っている。
全身切り傷だらけなのはデフォルト、中には指がちぎれかけたりする人もいるから、マジで危ない奴らである。
それを基地外といってしまえばそれまでだけど、このスタイルにもコアなファンは結構いて、一つのジャンルとして確率されている。
私はプロレスが好きだけど、このデスマッチはどうしても好きになれない。
その理由は、多分プロレスに求めているものによるのだろう。
プロレスは演技だなんだと言われるけど、試合を見ればわかる通り痛いものは痛いのである。
3mの高さから落とされて痛くない奴がいるか?足4の字固めとかもそうだし、逆水平チョップもそうだけど、体重100kg以上の男に力一杯殴られれば痛いことなんて想像しなくてもわかることだ。
そうした無茶苦茶をやっているのがプロレスラーなわけだが、その痛みに耐えて相手を叩きのめす姿とか、何度でも立ち上がる姿に人は感動するのである。
ちょっと日本人的な価値観かなとも思うんだけど、徒手空拳で肉体のみで力をぶつけ合って、どっちがすごいかみたいな我慢比べみたいなものって、単純な興奮をもたらしてくれる。
人生なんてほとんどが我慢比べだし、潰し合いでもないし、共生的なところってあると思っているんだけど、プロレスはそれがリング上で繰り広げられる。
だから面白いと思っているんだけど、デスマッチってちょっと違うと思っていて。
やっている本人たちはもちろんそんなことは思っていないと思うけど、私は個人的に画鋲とかいわゆる凶器を使うものって、逆に楽しているというか、面白くないんだよね。
かつて大仁田が邪道と呼ばれた理由もそういうところにあると思うけど、そういう痛みに耐える姿ってSMと一緒で、何かを伝える以上にそいつの性癖とかを見せられている気持ちにさせられるのである。
この感覚ってわからない人にはわからないのかもしれないけど、少なくとも私が面白いと感じるプロレスではないのである。
だって、自分の手首を切るいわゆるリストカットに興奮する人がいるとしたら、それって同情とか共感ではなくてただの性癖だと思うのである。
殺し屋1という漫画をふと思い出したけど、本当にそれだと思っていて。
だから、それを好きだという事象も理解できる部分はあるわけだけど、ちょっと違うジャンルだと感じてしまうのだ。
元々はアイドルちっくなところも含めて売り出されたが、20過ぎたあたりからちょっとゴツくなってきてはいるんだけど、なぜかデスマッチ路線にも進出しており、セルフプロデュース興行でもそうしたものを行うようになって久しい。
彼女自身のいくつかの理由はあるようだけど、ファンとしても是非貫いて欲しかったんだけど、なんと結果OKをしたらしいのだ。
どうしてこんなことになったのかはまあ彼女なりの理由があったのだろうけど、やはり私は疑問符しかなかった。
もっと色々のやり方はあったはずだし、やるべきこともあったはずだ。
個人的なこと言えば、女の子が血みどろになる姿なんてみたくないし、そもそも男子でもその意義を感じられない私のような人間からすれば、やっぱり理解できないのだ。
そこで何をみせたいのか?
覚悟?本気度?でもそれって本当にデスマッチという形でないとみせられないの?
素人がやっても明らかに痛いとわかることで伝えたいことってなんなの?と私にはわからないのである。
先にも性癖と同じといったのはそこで、もしそういう痛みに何かしらの快感を覚えるというならもう何もいうことはないし、もしそういうSMショーでもやりたいならそれはそれで何も言わない。
そういう試合を断るとヘタレとかビビリとかくだらない批判をするやつも確かにいるけど、そういう奴は自分の性癖を満たしたいだけだろ。
そんなものはそれ専用のクラブにでもいってくれと個人的には思っている。
まして、せっかく少しずつ話題も広がっているアイスリボン でそんなことをやるのか理解できない。
いろんなニーズに応えていくことは大事かもしれないけど、間違えると全盛期を目指したいという目標の妨げにもなることは、まあわかっているのかもしれないけど、それでも歓迎はできない。
これまでの路線の延長線上にまだまだやるべきことはたくさんあるはずだ。
ちなみに、アイスでは世羅だけでなく、藤田もハードコア路線を突き進んでいるし、今度テキーラ沙耶もやるらしい。
なかなか突き抜けられない彼女らにとっては、飛び道具でもなんでも話題になるための手段としては魅力的なのかもしれない。
実際これにより話題になる側面もあるだろう。
だけど、多分一部のマニア以外は見ることはないから、結局もっと小さな世界の住人になるだけなんじゃないかという気もするけどね。
もっとも、それでもその分野で一流になれば、それなりの成功は得られるだろうから、そっちを極めるというならそれはそれで個人の判断だ。
でも、そこにいるのはこれまでのプロレスファンではないと思うし、それが彼女たちの求めた姿なのかはわからないけどね。
そんな凶器を使えば肌に傷はつくし、顔にだって一生消えない傷も残るだろう。
そんなこと気にしてたらレスラーなんかやっていられないのは当然だけど、そうじゃない理由でついた傷なんて、いいとは思えない。
残るものについてもそうだけど、少なくとも私が面白いと思っているプロレス的なものはそこにはない。
結局ファンといってみたところで、彼女ら自身がどうするかは好きな方にするべきだと思うけど、少なくともアイスリボンの試合で見たいものではないのは大勢のファンと同じだろうな。